⭐︎かほの日記⭐︎
長年認知症介護をされて
実母を見送られたその女性が
口にしたのは、
「ごめんない、
アドバイスできることは
何もありません…」

「!!!?」
今は
こんなに情報が
あふれている時代、
認知症介護を
したことがない人たちでも
アドバイスを
してくるのに (←ちょっと失礼)
実際に
ずっと
認知症介護を
献身的にされたこの人に
アドバイスできることが
一つもないなんて
びっくりして
言葉が出なかった私に
彼女は言いました。

「私は母の介護中、
必死でした。
必死で、
いつも必死で、
必死すぎて
あなたと同じように
何が正しいかなんて
分からなかった。
でも
期日は迫ってくるので、
決めなくていけない。
母が亡くなるまで
ずっとその繰り返しでした。
だから、
ごめんなさい。
私には分かりません」
不思議なことですが、
今まで
質問してきた人たちの中で
彼女の答えが
一番ストンと
心に落ちました。
「正解が分からない」
のが正解。
そう言って
もらえた気がしました。
それからは
母の介護のことで悩むたび、
医療・福祉の専門の人たちと
相談をするときに
正解を
聞き出そうとすることはせずに
情報をいただいて、
その中から
ベストと思えるものを
一緒に決めていくように
しています。
認知症介護においては
「正解が分からない」のが正解。
その言葉が
あのマダムの心に
響くかどうかは
分かりませんが、
一緒に考えていくことは
できるな
と今思っています

前へ進めなくなったとき
助言を求めたのは、
ある一人の女性でした。
それは
私の
友人のお母さん
以前、友人が
「自分の母親は
認知症だった
祖母の介護を
長年ずっとしていたんだ」
と言っていたのを
思い出したからです。
私は友人と連絡をとり、
彼女のお母さんと
一度お話ができないか
頼んでみました
友人のお母さんは
すぐに
快諾してくれた上、
私の母の様子も見たいから
と言って
有難いことに
我が家まで
足を運んでくれました
家を訪問していただいた日、
私は
母に今起きていることを
伝えながら
「自分は
何が正解なのかが
分からない」
「でもお母さんに
幸せになってほしい
気持ちは大きい」
「どうしたら
母にとって
いい道を選べるか
教えてほしい」
と率直にうかがいました。
どんなアドバイスも
受け入れよう
と思っていました。
母のためには
自分にとって
厳しいと思える指摘でも
逃げてはいけない
と思っていたからです
私の話を聞き終わった
彼女は
口を開いて…
次回につづく
助言⑥

私が
マダムとのお話で
思い出していた
自分の過去は
母が
認知症以外の病気を
いくつも
併発したときの
ことでした
治すために
手術するにしても
認知症である母は
自分でサインが
書けません。
全て
娘である私が
しました。
病院からの説明書には
手術を受けるリスクや
手術後に起こりうることも
書かれており、
それらを承諾した上で
サインしなくてはいけない
というのは
人生経験の浅い
20代の私には
とてつもなく
心理的に
負担が
大きいものでした
自身のものではない
生命のための
サインをする。
(もし私がサインして、
母に何か起こってしまったら
どうしよう…)
いつもそんなことばかり
考えていました
母は
何度も
手術をしましたが、
現に
私がした数ある
サインの中には、
私がサインした後になって、
手術中の生命の安全性が
確保できない
と判断した外科医が
「やはり手術をするのは
やめましょう」
と言って
取りやめになったものも
ありました。
かと言って
現実は変わらず、
医療関係者の人たちからは
次から次へと


「では、この後
いかがいたしますか?」
と言われ、
選択肢を提示され続けます。
何が正解か分からないのに
決めていかなくては
いけない毎日に
頭も
心も
ぐちゃぐちゃ

でも
時間は待ってくれない。
藁にもすがる思いで
私が助けを求めた相手は…
次回につづく
助言⑤

歯科クリニックでの
思いがけない出会いで
過去の自分を
思い出しながら
女性の今の苦労が
痛いほど
伝わってきました
認知症介護に
携わったことがある
専門の方たちの意見や
認知症介護を
手伝ったことが
ある人たちの感想なども
もちろん
とても大事ですが、
日々
認知症介護を担いながら
全ての決断の中心に
いなければいけない人
が感じている苦労
というものは
また別のところに
ある気がします
とても疲れているように
見えたマダムに
実は
かけたかった言葉が
ありました。
それは
以前
認知症介護をされていた人から
私に対して
かけられた言葉で…
次回につづく
助言④

歯科クリニックで出会った
おキレイなマダムは
私が長年
認知症介護をしている
と知るやいなや
まるで
藁にでもすがるかのように、
物凄い勢いで
質問を浴びせてきました。
その急変ぶりに
びっくりしながら、
「私の母は
『若年性』で
進行のスピードが
速かったので、
参考になるか
分かりませんが…」
と前置きして、
彼女の質問に一つ一つ
答えました。
そうこうしているうちに
非情にも
奥から
助手の方の

「◯◯さ〜ん、
ご用意ができたので
中へどうぞ〜」
という声で
話は中断となりました。
女性は
「え、
あ、でも…
あ…
では、失礼します…」
と言って、
まだこの先
聞きたいことが
山ほどあるのに
行かなくていけないという
状況で、
後ろ髪を引かれるような
面持ちをされながら
離れて行きました。
私は
その様子を見ながら、
自分の過去
を思い出していました…
次回につづく
助言③


