自分なりのまとめです。


○大前提:全世界の食料自給率は100%ではない。全世界の人口に対して全世界の食糧生産能力は足りていない。


○日本の食料自給率はほぼ40%。かなり低いとされる。理由は大きく分けて二つ。

 ・肉及び肉関連食品(乳製品、卵など)、油の自給率が低い・・・正確にはそれらの原料&家畜の餌となる穀物の自給率が低い。それらは高カロリーな食品ばかりなので、カロリーベース食糧自給率では大きく反映される。
 ・近年の食生活が、内食から中食・外食へ大きくシフトしてきた。特に中食(スーパーなどで買ってきた調理済みの惣菜や冷凍食品などを家で食べること)が非常に多い。内食ならばけっこう国産食品ばかりの献立も出来るが中食・外食の海外依存率は相当高い。


 対策としては、Aについては政府・農水省が様々に対応中。→けどたぶんダメ。
 Bについてはいわゆる食育で対応。→けどもう下火。


○自給率を上げるにはどうしたらよいか。

 前項目Aに対しては、
 ・麦・大豆・トウモロコシなどの生産を増やす。
  → 品目横断的経営安定化対策で対応。が、思うように資金が集まらず頓挫。
   → 減反廃止して米を大量生産し、トウモロコシなどの代わりに米を使わせよう。下がった価格は税金で補填しよう。 ←今ココ
    → (予想)いくら安く米を作ってもそれでもトウモロコシより高いので畜産業者打撃。米を作る生産者にとっても嬉しい価格&補助金ではないので打撃。なまじ米が大量に生産されるとそれと同じ比率で税支出もぐんぐん伸びやっぱり国庫も打撃。三方皆損。
      なおかつこの仕組みが理想的にうまくいくと、アメリカなどから大量に輸入している穀物の使い道がなくなるので廃棄あるいは取引停止、貿易摩擦拡大。
      飼料用米の一般食用への大量の横流し発生し、米業界全体がいろんな意味で大暴落。


 暗い予想は無視して、とにかく穀物を大量に作るために必要なのは。
 ・相当額の補助金(税金)。→要するに増税。
 ・遺伝子組み換え導入による超多収品種の開発。→狭い国土を有効活用するためには本来必須。というか今どき「感情のみを理由にして」遺伝子組み換えをかたくなに排除し続けるのも限界。
 ・水利。→八ツ場ダムが話題だが、実は穀物をさらに大量に作るには水が必要。農業が衰退した現在は足りて(余って)いるが、いわゆるバーチャルウォーターを国内で賄うと考えると日本の食生活に対して水資源は決して豊かではない
 ・輸入穀物の排除。→暗い予想とかぶるが、しかし少なくともやることはやらないと、生産した穀物または輸入した穀物がダダ余る。


 Bに対しては、
 ・食生活・食文化そのものの大幅な見直し。
  →焼き肉やフランス料理、イタリア料理などから人々を遠ざける。
  (最近は地元産の食材を使ったイタリアンなどもよくあるが、やっぱり限界があるし、むしろこだわる人ほど「イタリア風トマトソースならやはりイタリアのトマト」「パスタはデュラム・セモリナ」などとなる)


☆これらのことを踏まえて、つまりこれだけのことをやってまで食糧自給率を上げる必要はあるか??
○これだけのこと(いわゆる消費者に関連するもの)
 ・増税
 ・食費の高騰
 ・遺伝子組み換え食品適法化・導入
 ・焼き肉禁止
 ・etc


○そもそも自給率を上げることにどういうメリットがあるか/自給率が下がって何が困るか。
 ・個々の農家や消費者(と言うか、大多数の人々)にとっては、たぶんどうでもいい。
 ・自給率向上を公約に掲げた政治家・政党は喜ぶかも。
 ☆ただしそれは現在での話。


○近い未来の脅威。
 ・いわゆるBRIC’sやそれに続く国々の、購買力強化に伴う食料の輸入拡大。
  ・冒頭の大前提に書いたように、地球全体で見れば食料自給率は完全ではない。日本がいつまでも食料を輸入し続けられる保証はない。
   ・日本の場合、相手は要するに中国。→その人口はもちろん、未だにバスケットに守られて暴力的に強い人民元を背景にし、最近はすっかり食糧輸入国に。
    ・実例・数年前からのマグロの買い負けはTVニュースにもなり話題に。また同時期よりボルドーワインの大高騰(中国富裕層の大量購入による)
     ・そもそも日本は中国からたくさんの食糧を輸入していた。その中国がよそから食糧を輸入しだしたと言うことは・・・?


☆つまり現状はともかく、将来の買い負けに対する備えは必要だとは思う。
 ・ただし、未来の日本国の食糧事情に対する責任を担っているのは現政府。自覚されているかはアヤシイ。生産者・消費者は協力しなくてはならないだろうが主体ではない。
 ・タイミング的にはすでにかなり瀬戸際な予感。



 妄想もだいぶ含んだお話ですが。