今週、校内を歩いていると同僚の女性の先生が、2人の子どもとお話をしていました。
どうやら喧嘩の仲裁をしていたようで。
「いい、もう叩かない。約束だよ。」
と言って握手して仲直りをさせていました。
よくある光景なのですが、片方の男の子が、ADHD診断が出ている多動行動が目立つ子どもでした。
私の経験上、ADHD症状や多動傾向のある子供に、「もうやらない。」という約束は避けた方がいいです。
理由は、約束をしても再度喧嘩をしてしまう可能性が高いからです。
ADHDの子は、頭ではやってはダメなことを理解していることが多いです。しかし、その理性を上回る衝動によって喧嘩に繋がる行動をしてしまいます。
するとどうなるか?
「もうやらない。」と言う約束をする。(本人も納得する)
↓
衝動を抑える手段を得たわけではないので、また喧嘩をする。
↓
・周りの子「約束したのに、またやってる。あの子は嘘つきだ。」
→周りの子の信頼が低下し、「嘘をつく子」の印象がつく
・先生「約束したのに、なんで喧嘩するの?」
→再度叱られ、先生からも冷たい態度を取られる
・本人「わかってるのに、やってしまった。僕はダメな子だ」
→わかってるのにやってしまうため、「僕はダメな子だ」と自己肯定感が低下する
このように、悪い結果に繋がることの方が多いです。
ではどうするか?
方法は色々ですが、おすすめは「やらない」ではなく、「我慢に繋がる行動」を約束させる」です。
例)
・カッとなったら「目を瞑る」
など、怒りの抑制につながる行動を約束させます。
これは、アンガーマネジメントを応用してみました。
(参照:アンガーマネージメント)
こうすれば、また喧嘩をしても、周りの子からの「嘘をつく子」のレッテルは回避できます。
また、本人も一瞬でも目をつむれば「我慢できた!」となるので、成功体験になります。
先生も「よく我慢した!偉いぞ!」とほめることができます。
最悪、一瞬も我慢できずに喧嘩になっても、人間必ず瞬きはするので「偉い!一瞬でも先生との約束を守ろうとしてくれたな!嬉しいぞ!」と強引に持っていくことができます。
ADHDや多動傾向にある子は、本人の意思に関わらず人に迷惑をかけてしまうことがあります。それは、誰のせいでもないことです。
「約束」と言う曖昧な行動で制御できるものではありません。必ず「対策」を教える必要があります。
そして、「できる」と思わせ、自己肯定感を保って行動させる。そうすれば時間はかかっても必ず変化をしていきます。
(私のクラスのやんちゃ君は10ヶ月かかりました)
放課後、さりげなく同僚の先生に上記の話をしました。
「それいいですね!」と言って次はトライしてみるそうです(*^▽^*)
どうなるかわかりませんが、あの子が変わるきっかけになればいいと思います!
PS:「ADHDだからと決めつけるのはどうなのか?」とご意見をいただきました。
もし記事を見て不愉快になったかたがいれば、申し訳ありませんでした。
「できないことは言わない」とは決して多動性衝動性のある子どもの対応を諦めろ。という意味ではありません。
私としては、子どもの傾向にあった対応をしなければ、より自体が悪化する可能性があるということを伝えたかったつもりです。
逆上がりができない子に、「次は絶対に成功させよう。」と約束してもできません。
必要な筋力、踏み切る位置、お腹に棒をよせる、など一つひとつの手順を覚えていくことが、できるようになるための方法です。
やり方を教えればどんな子でもできるようになります。そのための一例のつもりでした。
私の表現力のなさで、誤解を与えてしまった方が出てしまいました。本当にすいませんでした。
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