Young and Beautiful | In The Groove

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a beautiful tomorrow yea

 
音もなくスピードをあげて上がっていくエレベータに乗っているわずかな間、私は緊張をほどいて肩の力を抜いた。刺激的なかおりの香水と真新しい革のかおりが入り混じり、単なる昇降機でしかないエレベータをエロティックな乗り物に変えていた。エレベータは高速で上昇し、フロアに留まるたび、《シック》や《マントラ》や《バズ》や《コケット》の美しいスタッフたちが降りていく。どのフロアでも、ドアが厳かに音もなく開くと、その向こうには真っ白な受付があった。

ローレン・ワイズバーガー著『プラダを着た悪魔』より

 

MIU MIU 青山店

 

東京都心のが23日(月)、昨年より2日早く開花した。そして先週末の3日間は、連続で20℃を越える暖かな日が続き、29日(日)には昨年より1日早く、桜が満開となった。
 
尚、先週26日(木)に来日されたデンマークのフレデリック皇太子同妃両殿下は、東京湾の船上から東京視察、代官山の蔦屋書店でのプロモーションをはじめ、渋谷のスクランブル交差点を
SPに囲まれ歩くなど、が訪れた東京を愉しまれたようだ。

 

同じく、先週26日(木)は、英国のシンガーソングライター<カインドネス>が渋谷クラブクアトロで単独公演を行い、
 
イタリアの女性ファッションデザイナー<ミウッチャ・プラダ>は「ミュウミュウ」青山店の移転オープンに伴い来日し、ショー及びパーティを開催した。先週の渋谷界隈は、色んな意味で“
HOT”だったとも言えよう。

 

プラダ>好きの人であればともかく、東京におけるプラダの移転事情は少しばかり異常だとも思えるが(笑)、プラダのセカンドライン<ミュウミュウ>の移転は、「(港区)南青山5丁目58」→「同3丁目17-8」の数十メートルの距離であり、南青山のランドマーク<プラダ>旗艦店を中心に、道路を挟んだ目と鼻の先だったのだ。

 

ミュウミュウ>の南青山エリアにおける移転は先述したとおりだが、銀座エリアにおける<プラダ>の移転に関しては、2013年10月18日付ブログ“No Communication, No Love”で書いたように、「(千代田区)有楽町1丁目」→「(中央区)銀座6丁目」→「銀座5丁目」と、移転を繰り返していたのだ。こんなに移転を繰り返すブランドは他にはなく、<プラダ>愛用者でなければ、まず気付かないはずだ。世の中のほとんどの人が、<ミュウミュウ>の路面店が南青山5丁目に存在したことすら知らないと思われ、ミウッチャ・プラダが先週来日していたことを知る人もごくごく少数だろう。

 

ミア・ゴス

 

 
ミュウミュウ青山店の移転オープンに伴い、今回来日したセレブリティは、ミュウミュウの2015年春夏キャンペーンの広告に起用されている・・・<ミア・ゴス><イモージェン・プーツ><マリーヌ・ヴァクト>の3人をはじめ、映画「はじまりのうた」での演技が記憶に新しい18歳の米女優<ヘイリー・スタインフェルド>ちゃん、菊地凜子(34歳)、チャン・ツィイー(36歳)などなど、豪華な面々だった。そして、なぜかディオールのデザイナーを務めているラフ・シモンズの姿も。

 

特筆すべき点は、ミュウミュウの広告に起用されている先述した女の子3人は、過去このブログで取り上げた映画に出演した若手女優ばかりだったのだ。この起用に、とりわけ“センス”を感じ得たのは俺だけではないはずだ。以下、簡単にまとめてみたい。

 
ミア・ゴスは、ロンドン生まれのカナダとブラジルのハーフで、デンマーク映画『ニンフォマニアック』で映画デビューを果たした今年22歳の女の子であり、個性派若手女優という位置づけだろうか。彼女は、世の中のほとんどの人がまだ知らないインディーな存在の女優ではあるが、イタリア版VOGUE』誌の最新号の表紙を飾るなど、将来を有望視される女優のひとりなのだ。最新作は、今年9月に全米公開される映画『Everest』なのだが、同作品にはキーラ・ナイトレイをはじめ、ロビン・ライトジェイク・ギレンホールほか、数多くの有名なハリウッドスターがキャスティングされている。付け加えると、ミア・ゴスの現在のボーイフレンドは、俳優のシャイア・ラブーフくん(28歳)その人だ。

 

イモ―ジェン・プーツ

 

 
25歳の英国人女優<イモージェン・プーツ>に注目したのは、マイケル・ダグラスと共演した映画『ソリタリー・マン』(2009年/米)が初めてだと思うが、彼女は当時19歳だった。2011年6月26日付ブログ“If you start me up I'll never stop”の中で感想を綴ったが、同作品の監督は、彼女について「映画で若い女の子と年上の男が関係を持つ時は、女の子のほうが犠牲者みたいに見えがちなんだ。でもアリソン(イモージェン・プーツ)は全然違う。皮肉だけど、むしろ遊び人を気取っているベン(マイケル・ダグラス)のほうが、どん底にハマってしまって抜け出せなくなるんだ」と言ったが、魅力的で今どきの美人だとも言えよう。

 

そう、『ソリタリー・マン』の次に、彼女の出演作をブログで取り上げたのは、ジェームズ・マカヴォイと共演した傑作『フィルス』(2013年/英)だったが、彼女については言及していないが、2013年11月18日付ブログ“You're so fucking special!”で感想を綴ったので、興味のある方はどうぞ。付け加えるならば、『Chatroom/チャットルーム』(2010年/英)での役柄も魅力的だったが、映画そのものは評価するに値しない駄作だった。

 

マリーヌ・ヴァクト

 

 
23歳のフランス人女優<マリーヌ・ヴァクト>に注目したのは、フランソワ・オゾン監督作『17歳(英題: Young and Beautiful)』(2013年/仏)が初めてであり、2014年11月10日付ブログ“L'Écume des jours”の中で、<先日観たオゾン監督作『17歳』(2013年)は、万人にオススメできないと前置きしておくが、洗練されたオトナ向けのドラマであり、とても俺好みな作品に仕上がっていた>と綴っていた。

 

要は、『インフォマニアック』『ソリタリー・マン』『17歳』の3作品は、いずれも俺好みの作品であるのは確かなのだが、その3作品で私的に興味を持った3人の女優が、ミュウミュウの2015年春夏キャンペーンに同時に起用されたことに驚きを隠せなかったというのが本音だ。そして、広告の起用とは関係ないが、このブログで詳細に取り上げた映画『はじまりのうた』に出演していた18歳のヘイリー・スタインフェルドも来日するなど、ミュウミュウが珍しく、俺の“五感”を強烈に刺激したことも付け加えておきたい。また、ミュウミュウの先見性をはじめ、広告の起用などなど、そのセンスは秀逸だ

 

プラダ×イーサン・ホーク

 

ミュウミュウの話はそれくらいにして、プラダの近年の傾向(ファッションの話ではない)についてだが、ジョルジオ・アルマーニを真似るかのように、映画に積極的に衣装提供を行ったり、広告にハリウッドスターを起用するなど、従来のプラダとは明らかに異なり、モードに敏感でない人でも、その“変化”に少しばかり気付いているはずだ。映画『グランド・ブダペスト』での衣装並びにトランクの提供然り。

 
イーサン・ホークは今年私的に最も注目しているひとりなのだが、今月13日に全米公開となったシェイクスピアの戯曲を題材にし、エド・ハリス、ミラ・ジョヴォヴィッチダコタ・ジョンソンと共演した映画『Cymbeline』(2014年/米)をはじめ、4月10日全米公開のジャニュアリー・ジョーンズとゾーイ・クラヴィッツと共演した映画『Good Kill』(2014年/米)、8月28日全米公開のエマ・ワトソンと共演した映画『Regression』(2014年/米)、そして12月4日全米公開のジョン・トラヴォルタと共演した映画『In a Valley of Violence』(2015年/米)などなど、今年は“イーサン・ホーク・イヤー”と言っても過言でないくらいに、彼の主演作が目白押しなのだ。

 
付け加えると、プラダの2015年春夏キャンペーンの女性用広告に起用されているのは、2005、6年頃にブログで度々取り上げたスーパーモデルの<ジェマ・ウォード>ちゃんその人なのだ。2006年12月10日付ブログ“A DIFFERENT STORY”をはじめ、2009年3月21日付ブログ“Realize your dreams”の中でも取り上げたが、2005年、明治乳業のヨーグルトのCMに起用された17歳だった彼女は、現在27歳となり、2013年に結婚し、娘をひとり儲けている。とはいえ、彼女がまだ27歳というのが信じられないくらいだが、10年も経てば、俺がブログで過去に注目してきたスーパーモデルや女優が結婚し、子供を儲けるのはごくごく自然な流れなのかもしれない。

 

プラダを着た悪魔』刊行から12年

 

ところで、コーネル大学を1999年に卒業後、世界一有名なファッション誌『VOGUE』に就職し、9カ月後に退職したローレン・ワイズバーガーを憶えているだろうか。彼女が自身の経験を基に書き上げた小説『プラダを着た悪魔』が2003年4月に刊行され、世界的なベストセラーとなり、プラダを着た悪魔<ミランダ>役にメリル・ストリープを、新卒の垢抜けない女の子<アンドレア>役にアン・ハサウェイをキャスティングし、2006年に映画化され、音楽にはデヴィッド・モラレスの名曲“Here I Am(Kaskade Radio Edit)”を使用するなどし、世界中で映画は大ヒットを記録した。

 

同作品の日本公開は2006年11月まで遡るが、同年12月にはデヴィッド・モラレスがジャパンツアーを行い、西麻布の伝説のクラブ<Yellow>に降臨した。俺自身、独身最後の年となった2006年当時の週末の狂ったようなキラキラした夜は、シャンパンに溺れる日々を過ごしていたが、当時の「TOKYOの夜のパノラマ」に関する記憶は、2006年12月17日付ブログ“You give me something I can feel”の中で綴ったので、興味のある方はどうぞ。

 

そんな生涯忘れないであろう東京の夜のパノラマの記憶はさておき、ローレン・ワイズバーガー著『プラダを着た悪魔(原題: The Devil Wears Prada)』から10年、同小説の続篇となる『プラダを着た悪魔 リベンジ!(原題: Revenge Wears Prada)』がアメリカで2013年に、そして邦訳本が今月20日(金)にそれぞれ刊行された。ニューヨークを舞台にした『セックス・アンド・ザ・シティ』も『プラダを着た悪魔』も面白かったと前置きしておくが、その続編は、今の俺にはノーサンキューだ。なぜなら、俺自身、ローレン・ワイズバーガー以上に、もう若くはないから、ただそれだけ。小説の舞台がニューヨークだとしても、ね。参考までに、1977年生まれのローレン・ワイズバーガーは先週末28日(土)、38歳の誕生日を迎えたばかりだ。Congrats!

 

Time flies like an arrow.