便秘薬の副作用


便秘の解消法:女性の便秘解消対策! 便秘の解消に便秘薬を用いている人も多いことでしょう。しかし、便秘薬といえどもお薬ですので、副作用も現れます。妊婦さんや授乳婦さんは、原則、浣腸剤も含め、便秘薬の使用は禁止となっていますが、妊婦さんや授乳婦さんでなくても、さまざまな副作用が現れます。しかも、便秘薬を牛乳と一緒に飲みますと、胃が荒れて胃粘膜障害を起こして、胃痛、腹痛、吐き気や嘔吐などの副作用が、より強く現れます。便秘薬は、腸に届く前に、胃で溶けないよう特殊なコーティングがなされています。牛乳には、胃酸を中和する働きがあります。便秘薬は、強い胃酸の下では溶けませんが、胃酸が中和されますと、コーティングが溶けてしまい、溶けた薬の成分が、胃粘膜を刺激するために、副作用が強く現れます。健康な人でも、更年期、40歳代以上になりますと、ほとんどの人が、低胃酸あるいは無胃酸といって、胃の中の酸性度が弱まり、ちょうど牛乳で中和されたのと同じ胃液の状態となって、便秘薬の副作用が現れやすくなります。40代以上の人に、便秘薬の副作用が現れやすいのは、この理由によるものです。40歳を過ぎれば、便秘薬の使用は避けた方がよいです。ここでは、便秘薬の副作用についてお話します。


便秘薬には、刺激性下剤、塩類下剤、膨張性下剤、生薬成分、整腸剤などさまざま種類があります。市販の便秘薬で、最もよく知られているのが、内服用の刺激性下剤です。ビサコジル、センノシド、アロエエキス、ピコスルファートなどを有効成分とする便秘薬です。刺激性下剤の便秘薬は、大腸粘膜を刺激して、腸の運動を活発化して排便を促します。刺激性下剤の便秘薬は、大腸で作用しなければならないお薬です。もともとこれらの有効成分には、粘膜刺激作用がありますので、胃で溶け出したり、胃酸で分解されますと、胃の粘膜が刺激され、激しい胃痛、吐き気や嘔吐などの副作用が現れます。そこで、刺激性下剤の便秘薬は、腸溶製剤といって、胃では溶けないで、小腸に移動してから溶け出す製剤設計となっているのです。刺激性下剤の便秘薬は、弛緩性便秘には向いていますが、痙攣性便秘の人には、使用してはいけないことになっています。また、妊婦さんおよび授乳婦さんも、原則、使用してはいけないことになっています。


市販されている刺激性下剤の便秘薬には、コーラック、コーラックファースト、コーラックⅡ、コーラックハーブ、コーラックソフト、コーラックファイバー、サトラックス、サトラックスビオファイブ、サトラックスエース、三快錠、ピコラックス、スルーラックS、スルーラックデトファイバー、スルーラックデトファイバーM、スルーラックBB、スルーラックプラス、カイベールC、カイベールアロエプラス、アロエ製薬便秘錠、ツージーQ、ナチュラコート、などがあります。


刺激性下剤の中で、最も腸粘膜刺激性が強いといわれているのが、ビサコジルです。ビサコジルを主成分とする便秘薬には、コーラック、サトラックス、スルーラック、カイベール、ツージー、などの製品があります。ビサコジルは、化学合成によって製造された医薬品成分です。結腸および直腸粘膜の副交感神経に作用して腸の蠕動運動を高め、また、腸粘膜への直接作用によって排便反射を刺激する作用があります。さらに、Na,K-ATPaseという酵素を阻害することによって、結腸腔内における水分や電解質の吸収を抑制するとされています。これらの作用によって、排便機能が促進され、便秘が解消されるといわれています。しかしながら、ビサコジルには、子宮収縮作用があり、妊婦さんにおいては、早産や流産リスクを高める危険性があります。また、便が非常に硬い重症の硬結便の人は、ビサコジルの蠕動運動促進作用や排便反射刺激作用によって、むしろ、便秘が悪化しますので、そのような人も、ビサコジルの便秘薬を使用してはいけないこととなっています。


ところで、ビサコジルを主成分とする便秘薬には、不思議なことがあります。病院などの医療機関で使われるビサコジル製剤は、全て座薬のみで、内服薬は存在しないのです。その一方で、薬局などで販売されているビサコジルの便秘薬は、内服薬のみで、座薬は存在していません。実は、この違いが、市販されている一般の便秘薬の副作用を考える上で重要となるのです。


そもそも、ビサコジルの便秘薬は、海外にて、内服薬ではなく座薬として開発されたのがその始まりです。ビサコジルの粘膜刺激作用は、非常に強いために、内服薬として用いますと、胃や小腸粘膜に作用して胃痛、吐き気、嘔吐、腹痛などの副作用が発現するために、直腸への局所投与剤として開発されたのです。この便秘薬は、大腸に存在して、はじめて便秘解消の効果が現れます。ですので、この便秘薬の理想的な製剤は、副作用の回避の観点からも、内服薬ではなく座薬ということになります。このような理由で、現在もなお、病院などの医療機関では、座薬のビサコジル便秘薬が用いられているのです。


では、なぜ、薬局などで販売されているビサコジルの便秘薬は、内服製剤なのでしょうか。市販のビサコジル便秘薬は、5層構造などのように、ビサコジル成分を覆うような製剤設計がなされています。ビサコジル成分をそのまま服用しますと、胃粘膜などのように、大腸粘膜以外の消化管粘膜を直接刺激するために副作用が現れます。これを防ぐ目的で、有効成分が直接、胃粘膜に接触しないような製剤設計となっています。5層構造は、2重、3重に、ビサコジル成分が露出しないような工夫という意味なのです。ですので、通常、ビサコジル便秘薬を服用しても、胃の中では、薬剤が溶け出さないようになっているのです。


お薬が胃の中で溶け出さず、小腸に移動してから溶け出す薬剤のことを、腸溶剤または腸溶製剤といいます。胃の中には、酸性の強い胃液があり、胃の中は、絶えず酸性の状態となっています。しかし、胃につながる十二指腸の中では、胃液の酸は中和され、中性の腸液として存在しています。腸溶剤は、この胃と小腸の中の酸性度の違いを利用して、酸の強い胃では溶けずに、中性の腸に入って、はじめて溶け出すという製剤設計となっています。ですので、この腸溶剤の原理では、仮に、胃液が酸ではなく、中性の液体となりますと、胃の中でも腸溶剤は、溶け出してしまうことになります。


便秘薬を牛乳と一緒に飲んではいけないこと、ご存知でしたか。便秘の時は、牛乳がいいので、便秘薬と牛乳を一緒に飲めば、より一層、便秘が解消されると思われている人も、きっと多いことでしょう。しかし、これは、間違いです。便秘薬と牛乳との飲み合わせは、禁忌です。便秘薬を牛乳で飲みますと、胃の中で、便秘薬の成分が溶け出してしまい、胃粘膜障害が起こり、吐き気、嘔吐、胃痛、胃のむかつき、腹痛などの副作用が現れてしまうためです。牛乳は、胃液の酸を中和してしまいますので、これによって、腸溶剤である便秘薬は、胃の中で溶けてしまうのです。牛乳は、水とは異なり、緩衝作用(バッファー作用)が強いために、強い酸の胃液でも、容易に中和されてしまうのです。また、牛乳に含まれる脂肪分が、便秘薬成分の溶出を促進させるために、より一層、便秘薬は溶けやすくなるのです。同じ原理で、胃酸を中和する制酸剤や整腸剤と便秘薬との併用に関しましても、禁忌で、避けなければなりません。ちなみに、牛乳には、便秘解消の効果がないことが、臨床調査によって明らかにされています。牛乳の便秘解消効果の有無に関しましては、別の項でお話しいたします。


便秘薬と牛乳との飲み合わせから生じる副作用の発現に関しましては、牛乳を水に替えれば、問題は解決します。しかし、胃液の中和を、どうしても解決することができない問題があります。加齢による低胃酸化あるいは無胃酸化とよばれるものです。若い世代の人は、胃液の酸度は強酸性なのですが、歳を重ねるにしたがって、健康な人でも、胃液は、中性に変化するのです。これを低胃酸あるいはまったく胃酸がない無胃酸とよばれるものです。18歳から80歳までの4,000人以上の日本人を対象とした無胃酸の頻度に関する臨床調査によれば、10代の人に無胃酸はみられなかったのですが、20代で5%、30代で10%、40代で25%、50代で45%、60代以上で75%の人が無胃酸であることが判明したのです。すなわち、40代は4人に1人が無胃酸であり、50代では2人に1人は無胃酸となります。60代以上の高齢者では、そのほとんどが無胃酸となります。


これら無胃酸の人が、腸溶剤である便秘薬を服用しますと、胃の中で、便秘薬の成分が溶け出し、副作用が発現するリスクが高まるのです。このような観点から、40代以上は、便秘薬は避けた方がよいということになります。なお、胃潰瘍や胃癌の原因となるヘリコバクター・ピロリ菌は、加齢とともに、その陽性率が高まりますが、その原因は、低胃酸あるいは無胃酸によるものと考えられています。


加齢に伴う胃液の無胃酸化は、ビサコジルを主成分とする便秘薬の副作用の発現において、深刻な問題を与えることになります。40歳を過ぎれば、便秘薬に頼らない便秘の解消法を選択する必要があります。やはり、便秘解消の基本は、食習慣あるいは食事の質ということになります。まずは、規則正しい食習慣を身につけ、なおかつ、食物繊維の多い食事の質に心掛けることが大切です。特に、食物繊維の摂取に関しましては、不溶性食物繊維よりも、イヌリン食物繊維のような水溶性食物繊維を多く摂ることが、便秘の解消あるいはその予防につながります。ニンニク、ゴボウ、アスパラなどに含まれるイヌリン食物繊維は、胃液が強酸性であっても、無胃酸であっても、胃の中では分解されず、また、小腸内においても、消化酵素では分解されずに、大腸に到達します。大腸内に到達したイヌリン食物繊維は、大腸内に生息するビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を効率よく増やす作用に優れており、腸内環境を整えることができます。便秘の原因のほとんどは、大腸菌などの悪玉菌が増えることによる腸内環境の悪化ですので、腸内環境を改善すれば、便秘の解消につながることになります。


市販されている便秘薬のほとんどは、合成下剤であるビサコジルを主成分とする便秘薬ですが、そもそもビサコジルは、副作用の発現を回避する観点から、内服ではなく、座薬として用いられるべき薬剤です。加齢による胃液の無胃酸化は、便秘薬の副作用を発現させる、大きなリスク要因となります。


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