七夕<舞灯火>


曖瀬七海
七海と書いてナツミと読む
母が大好きな海と父の大好きな夏。
そして、わたしの生まれた日から名付けられた。
今日7月7日。24年前のこの日わたしは生まれた。

そして、あの日からわたしの中のあなたは
わたしにとって、とてもかけがえのない存在となった。
今日この日をあなたと迎えられる喜びに
あなたに抱き締められる喜びに

わたしの心も体も震えている

大好き。。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

葛木実架(みか)最初は女の子だと思った。
友達らしき人に呼ばれてたとき返事が男性の声だったから思わず後ろを振り向いた。
そのときに目が合い、嫌な顔をされた。
彼自身この名前は好きじゃないって言ったけどわたしは好き。
大好きなあなただから・・

そして付き合うようになった
きっかけは7月7日彼も同じ誕生日だった
まるで織姫と彦星だね
そういうとあなたは照れた顔を見せてくれた。

あの日はちょうど雨で見えなかった星たち
昨夜も雨と雷が凄く寝付けなかった。
今日も朝から曇っている。
逢えない日々がわたしを押し潰すけど
その日々がわたしたちを深めていくような気もした。
せめて誕生日だけは逢いたい

そう我が儘を言うわたしにあなたは応えてくれた

あの日以来・・互いに離れ距離は遠いけれど、あなたを想う気持ちは・・
わたしを想ってくれる気持ちは・・
すぐ側に感じている

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

久しぶりにあなたと逢えることを
わたしは指折り数えるようにこの日を待った。

朝から何をするにしてもソワソワとし、気持ちが落ち着かない。

昼前になると日差しも強まり
夏を思わせる気温となった。
夕刻になる頃には、刻一刻とわたしの鼓動が高まってくる。

ふいにチャイムが鳴りあなたを知らせる音だと認識すると
よりいっそうドクンと胸に響いた。

玄関を開けるとあなたが目に飛び込んでくる。少し伸びた髪・・
ちょっとだけ息を切らせ汗が額を滲ませていた
4ヶ月前に逢って以来・・
待ち望んでいたのにまともに顔を見ることも出来ない

ポンと頭に乗る手
その重みとぬくもりが心地いい

「準備できてるか?」

抱きしめられたまま聞かれるとコクンと頷いた。

わたしは彼の運転する車に乗り込んだ
どこに行くの?と聞いていたけど教えてくれなかった。

車内でもあまり会話が進まない
緊張もあるし、何より今同じ場所・同じ空気・同じ景色を見てるって気持ちで
心が満たされてる。繋いだ右手から彼のぬくもりが入ってくる

きっと実架も感じてくれてる
そう思うと頬が熱くなった

エアコンから流れる風がわたしの火照った頬の熱を下げてくれた

1時間ほど車を走らせるとやがて山道に入った
標識には美星町と出ていた。

いつか彼に教えてもらった事がある
美星天文台
県下最大の一般公開用望遠鏡(口径101cm)を備える公開天文台。
また、渾天儀のレプリカが置かれいる。
この渾天儀は中国にある現物をもとに中国にて作られ、
中国の技術者により組み立てられた実物大模型となっているそう。
(Wikiより)

そこに行くのかな?
すると少し荒れた駐車場に入ると止まった
日は暮れ、少しだけ薄暗い。なんだか怖くも思う。
どこ?と聞いてもお楽しみと言って教えてくれない

車を降りたわたしたちは一本のケモノ道のような場所を下った
怖がりなわたしは彼の腕にしがみつく

次第に川のせせらぎが聞こえ始めると
ひんやりとした空気が頬を撫で涼しく感じ始めた

「ここから目を瞑って」そう言った彼。
わたしは怖くない?大丈夫?と不安を示す。
だけど「大丈夫だから」クスッと無邪気に笑った。
彼の顔が月明かりだけの薄暗い中でも見えた。
わたしは目を瞑りいっそう腕にしがみつく。

「着いたよ」

ゆっくりと目を開けた
そこに見えたのはとても幻想的な景色だった




綺麗・・

ホタルの光りが点滅する
天の川のように
手を広げるとそのうちの一匹がわたしの手のひらに止まった

小さな光りなのにとてもあたたかく感じた

その手のひらに彼の手がやさしく重なる
重なった手のひらから零れるホタルの光り

彼の顔を見る

「ほら、上」

彼に促され空を見上げると木の間から満天の星空が降り注ぎ
わたしたちに落ちてきそうだった。

影が重なる・・

離れた手の平からホタルが飛び立つ気配を感じた
同時に唇にあたたかさを感じた


あなたのあたたかさを・・

【続】

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※七夕に願いを込めて大好きなあなたへ
あ!実話じゃないですので(笑)

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