さてさて、
 
ヴィッパーサナとの出逢いはいきなり、
『おまえさん、ヴィッパーサナを舐めとるね!冒涜じゃ!』
だった。
 
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ゴエンカおじさん(ヴィッパーサナを現代の世に伝えた人)は
一瞬たじろいだ。
 
講師は言った。
『ヴィッパーサナはね、
人が生きる中で味わう喜びや苦難を
どの様に乗りこなして行くかの、
"生きるアート"なんだよ。
人が持つ
あらゆる苦しみから解き放つ、
古来から伝わる智慧なのだ。
 
ブッダが見出して以来、2500年間、ここビルマで大切に保持し、
信条、階級などに関係なく、分け隔てなく、
人々とこうして
分かち合ってるものだ。
 
この叡智を、たかが頭痛を治したい一心で
欲しいとは、
お主、ヴィッパーサナを
少々軽んじておろう~
 
頭痛治療であれば、
医者に行けばよい。
 
こちらに来る必要はない』
 
 
ゴエンカおじさん、
マジで頭痛がその時の一番の悩みだったから、
二の句が継げない。
 
『世界中の名医という名医にかかり、
未だ治らないのです。私の頭痛は…。』
 
 
たじろぐゴエンカおじさんを
しばしの間、見守ってから、
師は優しさのこもった声で言った。
 
『サトウキビを知っているかな?』
 
『はい』
 
『サトウキビはなんの原料かな?』
 
『砂糖です』
 
『いかにも。
では、サトウキビか糖蜜が採れることをご存知かな?』
 
『はい。ま、副産物として、ですが』
 
『いかにも。
人は砂糖をつくるのに、
サトウキビの恵みをいただいている。
が、同時に副産物として
糖蜜も頂いている。
 
糖蜜が欲しくて
人はサトウキビを採るのではない』
 
『仰せの通りです』
 
『人があらゆる苦しみから
出でるための、
生きる叡智を体感する中で、
その副産物として、
お主の頭痛も癒えるであろう』
 
『……‼︎』
 
『では、心して、10日間、
ヴィッパーサナに集中すると
約束してくれるかな?』
 
『もちろんです(≧∀≦*)ノ』
 
 
この10日間が、
その後、世界中がヴィッパーサナに触れるきっかけを創る。
(そしてゴエンカおじさんの特殊な頭痛も
癒えてしまう。)
 
 
実はこのブッダが見出したという
ヴィッパーサナという瞑想の手法は、
 
ブッダ存命中、現在のインドで普及し、
その普遍性と実践的な智慧に感嘆した
とある王が国外へ人を派遣したりして
広めたが、
 
 
時とともに廃れ、
 
聖人、教祖が溢れるインドでは、
より"安易な"戒律でも苦しみから解き放たれるという教えへ、
人々が惹かれていった。
 
 
そして、実に2500年もの時が流れる。
 
 
この2500年もの間、
 
『あるがままを観る』を
バーリ語で意味する
『ヴィッパーサナ』瞑想の手法を、
 
その戒律(殺生せず、盗みご法度、ノーセックス、嘘を付かない、お酒、タバコなどの嗜好品を摂らない)をきちんと守り、継承してきたのは、
 
前述の、その昔、インドのとある王が
ヴィッパーサナを広めようと遣いを派遣した先のひとつ、
ビルマだった。
 
 
いみじくもそのビルマで
たまたまヴィッパーサナを学んだ
インド人のゴエンカさんが、
2500年経って、再びインドへ
その教えを伝えることになる。
 
 
59年を経た今、
その手法を体験できるセンターは
世界中に154。
 
 
そこへ、ふと"魔が差して"
インドはムンバイまでヴィッパーサナを体験しに行った日本人、
ここにあり。
 
 
やっていたのは、
生きていれば誰もがしている呼吸、
それも"自分の"呼吸の観察。
 
 
いま、シャバに戻って、
あちこちから降ってくるハプニングと
それに煽られ、生ずる感情もろもろを
受け止める際、
 
 
ふと思う。
 
 
なるほど、自分の人生を乗りこなす術は、
"生きるアート"なんだなと。
 
 
乞食から王様まで使える
 
ここまで普遍性の高い
心の羅針盤は、
 
持っていて、決して損にはならない。
 
 
☆ヴィッパーサナ瞑想体験記☆
第一話   ヴィッパーサナ瞑想10日間から下界復帰♬
第二話   おならとげっぷと集中力
第三話   寝ても覚めても息を観る

第四話   息して、息して、観えるもの
第五話   連続TVドラマ『ブッダ』に萌える
第六話   魔法の紙きれで毎日がクリスマス
第七話      
純粋な男子、現実的な女子
第八話      舐めんじゃねぇ、ヴィッパーサナだぞw
第九話   舐めんじゃねぇよ、つづき ~vippasana 体験記~
第十話  こっちの水は甘いよぉ~
第十一話 入ったひとだけ、守ってあげるっ☆
第十二話 スピリチュアリティについて、本気出して考えてみたw

ふろく
ムンバイ帰りに麻薬探知犬