雲の階段 第4話 「無資格医大病院へ! 裏切りと野望のキス」 | 日々のダダ漏れ

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日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

雲の階段

第4話
無資格医大病院へ!
裏切りと野望のキス


そういえば、あなたの夢を、
聞いたことがなかった。
あなたには何か、夢があったの?
私には、あったわ。

あなたには、わかってたはず。
その時どうすべきなのか、
あなたにはわかってた。

あなたが上りかけている、
その、未来への階段は、
あなたの、噓という幻が、
作り出したもの。
取り返しがつかなくなる前に、
自分が偽医者であることを明かし、
周囲を騙していたことを詫びる。
そして、その部屋から、出てゆく。
今が、その、
最後のチャンスだということ。
あなたには、わかってたはず。

**********

三郎) そうですよね。
    あなたには、きちんと、お伝えしなくては。
    今の今まで、決心できませんでした。
    迷ってました。
    僕は、あなたが、好きです。



**********

村木) しかしな、お前がしようとしていることは・・・
三郎) 世の中には、手段を選ばず、金儲けに走る
    人間なんて、
当たり前にいるじゃないですか。
    その一方で、
馬鹿正直に生きて、足もと救わ
    れて、馬鹿みたく、
野垂れ死ぬ人間もいます。
    僕の価値を、認めてもらえたんです。
    君のような、医者を探していたと、言われまし
    た。あんな大病院が、僕の事を、
欲しいって、
    必要だって、言ってくれたんです。




三郎) こんな僕を。
    こんなこと、この先、2度と僕には、
ないと思い
    ます。ただ・・・ただ、もしも、
向こうで無資格で
    あることがバレたら
その時は、所長にも、診療
    所の皆さんにも、
島の皆さんにも、絶対にご迷
    惑をおかけしません。
僕が、みんなを騙してい
    たということで貫き通します。
村木) お前、俺と、
    この島のみんなとも、縁を切るつもりか!
三郎) 今日は、すべてにけじめをつけるつもりで、
    来ました。
これまで、ありがとうございました。

**********

あなたを、あなたを求めようとすると、
きまって、私は嫌な女になる。
こんな女にだけはなりたくないっていう女に、
なってしまってる。

私からあなたには、もう、何も伝えられない。
私の大好きなあなたには、会えないから。
だって、あたしは、死んだから。

**********

村木に語った三郎の言葉は、まるで恋愛の話をして
いるかのようで、興味深かったです。「僕の事が欲し
いって、必要だって、言ってくれたんです。こんな僕
を」って・・・。まるで、恋人から言われたセリフだとい
ってもおかしくないセリフで。だからこそ、どうやらず
っと自己評価が低く、コンプレックスの強い人間だっ
たのだろう三郎の心が見え隠れして、滅茶苦茶だと
思われるチャンスを選んだのかと思わせてくれます。

天才的な手先の器用さと、結果オーライ的な強運。
ただ流されて、運命をただ受け入れていただけのよ
うにみえる三郎が、自ら運命を切り開こうとする時。
どんな風に乗り切っていくのか、なぜ乗り切れるの
か観てみたい。ありえない運命を、ありそうにどう見
せてくれるのか。稲森・明子が死んでいたら話にな
らないので、「あの頃の私は死んだ」、のでしょうね。
渡辺淳一が描く女性はファンタジーなので、気にし
ないのが一番だけれど、なんだかなあ・・・な設定



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