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Kierkegaard
(このシリーズ、挿絵のコンセプトを決めてなかったorz)

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『夢の先へ』

想いが通じ合っての初めての朝、きらめく朝陽がレースのカーテン越しにマヤへ降り注ぐ。

目覚めたマヤであったが、高熱をだしたせいか全身にけだるい痛みを感じたが、上体をゆっくり起して唇を指でなぞった。

互いの唇が重なったその場所が愛おしくて、そして夢のようで、大好きなあなた、あなたも私が好きだと答えてくれた。

どのくらいそうしていただろう、自分の体を包むシャツが真澄のものだということを気づいて、恥ずかしくなってしまった。

シャツはうっすらと汗ばんでいる、マヤはそろりとベッドをおりて、着替えようとして、シャツ以外着ていないことに気が付いて、先生に見られたと思いどきどきしてしまった。

「きれいだったなあの人・・・」

自分の貧相な体を見られてとても恥ずかしいと思った。

トントンとドアがノックされ

「マヤ、中に入ってもいいか」

「せ、先生、はいどうぞ」

真澄がドアを開け中に入るとシャツ一枚で立っているマヤを見るとすたすたと近づき、ひょいと抱き上げベッドに寝かした。

「せ、先生・・・あの、見たの?」

「ん?何を」

「えーと、あの・・、その裸・・・」

真澄はこつんとマヤの額を軽く叩いて、言うのだ。

「大きなタオルケットでくるんで着替えさせたし、まじまじとは見ていない」

「先生のエッチ」

「大分元気そうだな」

真澄は、マヤの頭を優しくなでた、その優しい掌のぬくもりが心地よい。

「マヤ、俺は君が好きだ、本当の家族になろう」

「本当の家族?」

「結婚してくれませんか」

「・・・はい」

「左手を出して」

真澄はズボンのポケットから小さな箱を取り出し、箱の中にある指輪をマヤの薬指にはめた。

「これはお袋から譲り受けたものだ、いつか大切な人にと」

「先生」

「君が高校を卒業したら結婚しよう」

マヤはコクンと頷いた。

真澄はマヤを優しく抱きしめた、大切で大好きな君をずっと愛し守ると告げた。

「あ、先生はやめだ、今度から真澄さんと呼ぶこと」

「はい先生」

「マヤ」

「ご、ごめんなさい、真澄さん」

「よく出来ました。今日はゆっくり休みなさい」

真澄は優しい口づけを落として、部屋を出て行った。

マヤは左手の薬指を見つめた、小さな石が輝いていた。

大好きな大好きなあなた・・・

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