日本は明治以降に急速に近代化を成し遂げ、大東亜戦争で焼け野原になっても急激に復興を果たして先進国の仲間入りを果たしたと言われています。

 

一方で、アジア、アフリカ、南米などの途上国は、何故日本のように発展できていないと言われています。

 

よく、日本人は勤勉だから他の途上国とは違って発展できたという意見を聞きます。確かに日本が発展できたのは、日本人の勤勉性が影響していると思います。しかし、日本が発展した理由として、大きく見落としていることがあります。

 

それは、日本は明治以降に急速に近代化するための下地があったということです。多くの人は、江戸時代は鎖国をしていたため、欧米に比べて日本は発展が遅れたと思い込んでいます。

 

確かに、英国で産業革命が起き、欧米各国が開発した武器などの技術については、当時の日本は欧米に後れをとっていました。

 

しかし、日本が明治以降に近代化する時には、以下のように近代化をするための素地が江戸時代までに出来上がっていたことが大きかったのです。

 

・江戸時代の日本は世界で最も識字率が高く多くの人が教育を受けていて庶民の知的水準が高かった

・江戸時代は法治社会であり近代国家としての基礎ができていた

・街道など物流、上下水道、治水などインフラが江戸時代に整備されていた

・国が近代化するための資金が国内に蓄えられていた

・合議制や稟議制など意思決定の仕組みが機能していた

 

江戸時代の日本は欧米に比べても一般庶民の教育レベルが高く、社会インフラも日本の方が整備されているものもあり、法律も欧州のように為政者に都合の良いように解釈されるようなことはほとんどありませんでした。そして、職人の技術の高さは欧米人も驚くほどでした。現在の途上国の中には、江戸時代の日本よりも社会的に未成熟な国は多くあると思います。

 

明治以降近代化を進めた日本は、昭和15年には米国・ソ連・英国・ドイツに次いで、経済規模で世界第5位の大国になりました(詳しくは「日本は戦前には既に大国だった」 参照)。

 

日本は大東亜戦争に敗れて、都市部の多くは無差別爆撃を受けて焼け野原になりました。そこから必死になって復興して、敗戦から約20年後には高速鉄道の新幹線を作りオリンピックを開催するまでに急速に発展しました。

 

戦後の懸命な努力もありますが、戦前から日本は既に世界の中では大国であり、トップクラスの技術も多く保有していました。そういったものが戦後の急速な発展に役立ったのです。新幹線は、戦前の弾丸列車計画が下敷きとしてあったために実現できたものです。

 

また、近代化に必要な土台が江戸時代に備わったのは、江戸時代に突然出来上がったのではなく江戸時代以前の積み重ねがあったからです。途上国の多くが日本のように発展できないのは、歴史の積み重ねの差が最も大きな要因ではないでしょうか。


(関連の記事)
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○大規模な治水工事が江戸時代に行われていた
○都市が発達し街道が整備された江戸時代
○江戸時代は法治社会だった

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