みりんは本来、焼酎、もち米、米麹で作ります。もち米と米麹を、焼酎の中に半年から一年かけて発酵させます。
米麹によって、もち米のデンプンがブドウ糖やオリゴ糖などの糖に変え、それによって様々な甘みが醸し出されるようになります。アミノ酸なども同時に作られ、酸味や香りが生み出されて、みりんの風味が出るようになるのです。
みりんはアルコール分がだいたい14度くらいあり、分類上は酒類になって酒税がかかり、その分価格が高くなってしまいます。
こうして作られたみりんは、そのまま飲んでも美味しいもので、戦国時代には台所で働いていた女中さんやお酒が苦手な人が飲んでいました。
19世紀(江戸時代後期)になると、鰻のタレや蕎麦つゆに使われるようになり、調味料として活用されるようになりました。
明治以降では、一般家庭でも使用されるようになりますが、まだ贅沢品であったので多くは日本料理店で使われていました。
昭和30年代になると、みりんに対しての大幅な減税があったことで、一般家庭にも普及するようになりました。
現在出回っているみりんの多くは、とても美味しくの飲めるような代物ではありません。製造法が本来とは異なっており、味も全く違うものになっているからです。
売られているみりんの多くは、三増酒のように、蒸したもち米と米麹に、アルコールと水飴を加えて短期間で仕上げる工業的製法で作られて います。伝統的な製法に比べて、同じ量のもち米から約三倍の量を作ることができます。このようにして作られたみりんは、飲めないことはありませんが美味し くはありません。伝統的な製法で作られた物と、この方法で作られた物が、一応「本みりん」と言われている物です
本みりんには、以下のように様々な効果があります。
①甘み
砂糖とは異なる上品な甘みを付けることができます。砂糖の甘みはショ糖だけですが、本みりんにはブドウ糖やオリゴ糖など多種類の糖類が含まれているため、やわらかでさっぱりとした甘みになります。
②照りと艶
本みりんには多くの糖類が含まれており、それらの糖が素材の表面に膜を作り、照りと艶をつけ水分と美味しさを保ちます。また、糖とアミノ酸が加熱されることで、綺麗な焼き色に仕上がります。
③煮崩れ防止
本みりんに含まれるアルコールが、煮崩れの原因となるペクチンを溶けにくくして、煮崩れを防止します。煮崩れしないことで、見た目が美しいだけでなく、食材の旨みを閉じ込めて逃がさないようにできます。
④深いコクと旨み
アルコールの作用で食材への味の浸透を早くし、均一に仕上げることができます。また、アミノ酸やペプチドなどの旨み成分や糖類などの成分が複雑に絡み合って、深いコクと旨みが生まれます。
⑤消臭
素材にしみ込んだアルコールが熱により蒸発し、その際にアルコールと一緒に魚や肉の臭みも飛ばします。また、アルコール、糖類、アミノ酸、有機酸の反応によって、臭い成分の構造に化学的な変化を起こして臭いを消します。
⑥香り
熟成や調理の加熱によって、甘い香り成分が生み出されます。焦げると、更に香ばしい香りが出てきます。
「醤油風調味料」と同様に、みりんにも「みりんタイプ調味料」というものがあります。「みりんタイプ調味料」は、「発酵調味料」と「みりん風調味料」の二種類に分けられます。
「発酵調味料」は、米やトウモロコシなどを原料としてアルコール発酵させます。味は、ブドウ糖やグルタミン酸ナトリウム(化学調味料) や酸味料で調えます。甘みを強くすると「みりんタイプ」となり、日本酒のように調整すると「料理酒」となります。また、塩を加えて製造しますので、酒類に分類されず価格が安くなります。塩分濃度が約2%あるので、塩味の調整が必要となります。本物のみりんのような、上品な甘みはなく旨みもありません。
「みりん風調味料」は、シロップを原料として使い、グルタミン酸ナトリウムや酸味料で味を調え、カラメル色素で色を付けます。材料を混ぜて作り、発酵はさせていませんので製造コストを低く抑えることができます。アルコール分が1%以下ですと、酒税法上は酒に分類されないため価格は安くなります。アルコールがほとんど含まれていないので、アルコールによる調理効果は期待できません。また、みりんがもたらす味や香りへの効果もありません。
みりんだと思って「発酵調味料」や「みりん風調味料」を使っても、みりんの調理効果は期待できないので、注意が必要ですね。
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