米国で豚の伝染病が大流行しているため、豚肉の価格が高騰しているようです。その影響でハムやソーセージが値上げされ、価格据え置きでも内容量が少なくなる(実質的な値上げ)ようです。

 

家畜生産においては、家畜が病気にならないように餌に抗生物質を入れることがあります。これは、国内であろうが海外であろうが関係なく行なわれています。狭いところに何頭も飼育し、糞尿が放置された状態であれば、家畜が病気にかかる割合は高くなります。逆に、広い場所で糞尿をこまめに掃除して取り除いたり、外で放牧のような形で飼育したりすると、病気になる割合は低くなります。当然、病気にかかる割合が高い状況で飼育していたほうが、それだけ抗生物質を多く与えることになります。

 

また、牛や豚というのは本来草を食べる動物です。しかし、米国では草よりもコストが低いトウモロコシを原料とした餌を与えています。本来は食べないトウモロコシを食べると、消化不良や病気になることがありますので、それを防ぐために抗生物質を与えているようです。

 

米国の豚には抗生物質が大量に投与されています。20134月には、米国食品医薬品局(FDA)が全米耐性菌監視システムの報告書で、米国国内に流通している多くの食肉から抗生物質に耐性を持っている細菌が検出されたことを書いています。牛肉が55%、豚肉が69%、鶏肉が39%の割合で細菌が検出されてようです。

 

抗生物質に耐性を持っている細菌が検出された肉を食べると、どうなるのでしょうか。例えば、抗生物質に耐性を持つサルモネラ菌が検出された肉を食べたとします。それにより食中毒になったとき(サルモネラ菌は食中毒を引き起こす病原菌です)、治療に使われる抗生物質が効果を発揮できなくなってしまいます。このように耐性菌というのは、非常にやっかいなものなのです。

 

また、牛肉と同様に豚肉にも成長ホルモンが投与されています。米国産牛肉の安全性については以前にブログでも書きましたが 、成長ホルモンが残留している肉を食べると、発癌リスクが高くなります。また、女児に初潮が起こったり乳房がふくらんだりという異常成熟も発生することがあります。

 

国内食肉加工業界の大手企業ついて、米国産豚肉を原材料に使用している製品を調べてみました。米久は製品ごとの原材料が同社サイトでは見つかりませんでした。プリマハムなど以下に挙げた4社は製品ごとの材料原産地を見ることができます。

 

プリマハム

http://www.primaham.co.jp/quality/ingredients/raw_materials_hs.html#0001

 

日本ハム

http://www.nipponham.co.jp/customer/place/01_ham.html#id00002

 

丸大食品

http://www.marudai.jp/products/ingredient/sausage/01.html

 

伊藤ハム

http://www.itoham.co.jp/product/place/ham.html

 

 

米国産豚肉は、非常に多くの製品に使われていることが分かります。しかし、材料の原産地をしっかり公表して確認できることは良いことだと思います。外食産業などでは、確認できないことが多いですからね。

 

日本でも多くの抗生物質が使われており決して安全とは言えませんが、米国産の豚は安全性に問題ありということははっきりしているようです。チャイナ産の豚も同様ですし、カナダ産やオーストラリア産なども問題はあります。この分野ではEUが最も規制が厳しいので、デンマーク産は比較的安全性が高いのではないでしょうか。

(関連ブログ)
○危ない米国の牛肉
○牛乳は薬でもあり毒でもある
○危ないのは中国産食品だけでなない