「春の待ち歌」
見慣れたはずの窓の外、風はいまだ鳴りやまず、
枝から葉へと移り住んでく光一滴、静かで耳を澄ませば届く、
糸のように細く拙い春の雨、空へ還った鳥の姿を憶い出しては、
忘れようと何度繰り返しただろう、雪は溶けてきれいな水になってゆく、
思いつきを口笛で、春の歌を風に乗せる、
新芽のことを、そこから咲く花の色、
通りで倒れて風雨に泣いてた自転車や、
通りの赤い雨靴からは水滴ぽつり、
弾ける、転がる、踊る光線、
見慣れたはずの景色はいまや鮮やかななる色を伴い、
水色混ぜた風が流れる、きれいな水に似た色の、
季節重ねて人は老い、鼻先くすぐる花の匂い、
糸のようにもつれて絡まる私たち、美しいやら哀しいやらで、
さよなら星空、さよなら星空、
おやすみの時間がきたみたいだよ、
さよなら砕氷船が渡る海、さよならオルゴールの子守唄、
春待ち歌を羊に歌い、犬に教えて、
さよなら星空、さよなら星空、
美しき時を重ねる旅にたつ、
さよなら過ぎた宝石たちよ、青く若い草原で、
君は僕は柔らかなる奇跡の風に立っている、
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