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「オペラの犬の朝」
オペラの夜を歩いてたんだ、生まれてからそう、
きっとずっと迷い続けた、朝の市場は焼けるパンの甘い匂い、
ミルクをもらう小猫たち、そんな喧騒まぎれては、
僕はひとりじゃないような、少し優しい夢を見られた、
港の倉庫、赤茶けたレンガが列ぶ、
連なるその下、小さく丸く体を寄せて、
雨も風も避けきれない、だけどその身を預けられるから、
目を閉じれば夢を見られた、
喧嘩騒ぎと囃し声が賑やかな、船乗りたちが集う街、
汽笛が鳴るたび僕は踊った、食べ残しのパンももらえた、
ある日、僕は嵐がくる海に気づいた、
汚れを混ぜた黒い風、噛みつくように四方から鳴る、
朝になるまで、僕はずっと吠えているから、
荒ぶる波や嘘つきの風、そこからずっと遠くまで、
届かぬくらい遠くまで、
誰も彼もがオペラ離れるその時までは、
僕がずっと吠えているから、
嵐がくる前、オペラの犬の朝、
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