本日は浅草橋周辺で打ち合わせをおこなっていたのですが、屋形船が並ぶ運河脇の植え込みに小さな笹竹をみつけて、そういえば自生する竹を久しぶりに見たなと気づいたのです。

日本の風景を象徴するものはなんでしょうか。
大きくは富士山、田舎の山々、きれいにあぜで区割りされた田んぼ、そしてたくさんの川そういったものでしょう。
小さな風景としては家の坪庭とか裏山とか小川の土手とかでしょうかね。
都会でも整然とならんだビルの脇の公園とか、坂道の石垣や石畳とか、植え込みとかプランターが並んだ路地なんかにも江戸情緒が残っていたりますね。

そんな身近な風景から消えてしまいそうなのが竹藪です。
都会だから減っているということだけではなく、地方都市でも開発された新興住宅地周辺には
竹がほとんど見られません。
一方、伊豆半島はじめ地方の山々で竹が増えに増えて、山が荒れてこまっているとも聞きます。

一見竹が消えたように見えて、竹が増えているという不思議な現象です。

これはどういうことかというと、身近な生活から竹の存在が消え去ってしまって、
ほとんど利用されなくなってしまったことを意味しています。

竹はかつては、もっとも身近な有用植物でありました。
竹を加工したものの多くが、身近な生活用具でもあり、もっとも身近な建材でもあったのです。

だから、竹藪とは竹の畑だったのかもしれませんよ。
竹の畑が荒れ果てていると考えた方がわかりやすいのではないでしょうか

建築エコノミスト 森山のブログ

これは、もう一般の住宅でもなかなかなじみのない世界かもしれませんね。
おそらく、ほとんどの設計事務所、工務店さんでこの10年かかわったことのない素材の代表が竹ではないでしょうか。

昔の家では、まず壁の中に竹が入っていました。

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小舞竹といいまして、土壁の荒壁下地としてメッシュ状に麻紐で組まれていました。
家の外でも竹を組んで塀や垣根をつくっていました。
照明の傘も竹ひごでしたよね。