抗不安薬、睡眠薬の投与制限 | kyupinの日記 気が向けば更新

抗不安薬、睡眠薬の投与制限

平成20年3月の厚生労働省の告示以前、向精神薬の中でもたいていの抗不安薬と睡眠薬には処方日数に制限が設けられ、14日までしか投与できなかった。従って、患者さんは14日ごとに通院しなくてはならない人が多かったのである。

この処方日数の制限について、患者さんからも撤廃の希望が多かったし、精神病院協会も制限を緩めるように厚生労働省に働きかけを行っていたこともあり、平成20年の告示以降、特別なものを除き30日処方が可能となった。(平成20年4月~)

告示以前、5月のゴールデンウイークと年末年始のみ、特別に14日を超えて処方が認められていたが、平成20年以降は、この特例もなくなっている。

もっと以前には、1ヶ月処方可能の人でも1ヶ月に8週間は処方できなかった。これは非常に困るルールだったが、案外、ローカルルールだったような気もする。

これはどういう意味かと言うと、例えば、ある日、28日分処方したとしよう。28日処方になりやすいのは、同じ曜日に通院するためである。28日処方では月初めに来院した場合、同じ月末に再診することになる。その日は28日処方できなかった。この理由だが、1月内に56日分処方することになるため。この日は、患者さんに説明して14日分だけ処方していた。

患者さんはワケがわからなかったと思うが、説明するこちらも同じようなものである。たぶんだが、同じ月内に大量に処方させないルールなんだと思う。

以下は、現在の処方ルールである。

投与制限が設けられている睡眠薬
14日
バルビタール
イソミタール
ラボナ

30日
ハルシオン
レンドルミン
ロラメット・エバミール
ロヒプノール・サイレース
エリミン
ユーロジン
ベノジール・ダルメート
ソメリン
ドラール
マイスリー
ベゲタミンA、B
(ただし、ベゲタミンは添付文書には睡眠薬とは記載されていない。鎮静系薬物である)

90日
フェノバール
ベンザリン・ネルボン

投与制限が設けられている抗不安薬
14日
メンドン

30日
メイラックス
コントール・バランス
セレナール
レスミット
セパゾン
エリスパン
レキソタン
ワイパックス
ソラナックス・コンスタン
リーゼ

90日
セルシン・ホリゾン

抗不安薬のメンドンが14日制限なのは謎だが、この薬は半減期が非常に長く、100時間と言われているのも関係があるのかもしれない。

上に出ていないもので抗不安薬に準じるものとして、抗てんかん薬リボトリールの90日が挙げられる。これは正式な抗不安薬としての適応が認められていないため。(参考

90日制限のものは抗不安薬、睡眠薬とも「抗てんかん薬」の適応もあるためで、特別に安全性が高いからではない。運用上、こうせざるを得ないのである。

抗不安薬や眠剤としてしばしば処方されているのに、投与制限を受けていない向精神薬もある。例えば、

リスミー(睡眠薬)
アモバン(睡眠薬)
ルネスタ(睡眠薬)
ロゼレム(睡眠薬)
デパス(睡眠薬・抗不安薬)
セディール(抗不安薬)
リスリン・デジレル(鎮静系抗うつ剤)
リフレックス・レメロン(鎮静系抗うつ剤)
テトラミド(鎮静系抗うつ剤)
ルジオミール(鎮静系抗うつ剤)
トリプタノール(鎮静系抗うつ剤)
コントミン(鎮静系抗精神病薬)
レボトミン(鎮静系抗精神病薬)
セロクエル(鎮静系抗精神病薬)


SSRIも抗不安作用を持つが、上記には挙げていない。(投与制限なし)

なお、アモバンなどの睡眠薬に投与制限がないのは、書類上?向精神薬とされていないためである。