双極性障害の治療と自殺のリスク | kyupinの日記 気が向けば更新

双極性障害の治療と自殺のリスク

「統合失調症の疑い」があると告知のコメントで服薬しない場合、自傷他害のリスクが上昇するのか?という質問があった。

精神科業界の常識では、治療しないよりは治療した方が自傷他害のリスクが下がる。

そのようなことを踏まえ、措置入院や医療観察法の制度が作られている。治療するしないで危険性が変わらないなら、最初から大変な予算をかけて医療観察病棟や治療費用を国費で賄う必要はないし、国民の理解も得られない。

過去ログで、精神科救急では自殺企図で救急車で搬送される人は、精神科で治療を受けていない人が意外に多いという記載がある。

また、殺人などの重大な犯罪には希死念慮と関係が深いという記事があるし、実際の報道でも犯人が自ら動機に挙げることもみられる。

双極性障害では、特に双極2型は希死念慮や自殺企図、既遂が生じやすい。つまり、双極性障害に限らないが、精神疾患は放置した場合、心理社会的予後が不良とされているのである。

双極性障害だけが自殺の原因ではないが、双極性障害では、

自殺企図
未治療;29.2%
治療;6.4%


と低下している。治療をするかしないかでは、4倍以上のリスクの差が生じている。

なお、双極性障害の自殺企図のリスクは、一般人口の60倍近いと言われている。

「向精神薬の服薬と精神科治療は違う」と言う反論は屁理屈である。

一般に双極性障害は、薬物療法が全てといって良いほど有力な治療法とされている。それは同じ内因性疾患の統合失調症も同様である。