紙の月

『紙の月』 2014年・日本 


ううう、痛々しい。
女が堕ちて行く物語で、そのさまが辛い。

他人事ではない。
というのも、私事ながら、年が近い。
ほうれい線が実にリアルで、絶妙な衣装メイクもあいまって、身につまされる。
若者に対した時の、あの感じ。
自分もこう見えているのかと、背筋が寒い。ブルブルブル。

と、このように、宮沢りえに自分を重ねた恥知らずババア(当方)が鑑賞する、今日の1本。
働く主婦が恋をして、他人様のお金をいただく話。

この女性がババアにしか見えないから、怖い。
そういうふうに作られている。
これは、凄いことなんじゃないのか。
ババアが浮かれている感じが、辛い。辛すぎMAX。


宮沢りえは、かなり抑えた芝居。感情が迸らないので、寄り添う隙が見つけにくいような。

長年、あだち充マンガの男子の髪型がナゾであったが、池松壮亮を見てハッとした。これだ!無邪気でズルくて、いい。

小林聡美が素晴らしい!お局OLの人物造形が見事。厚みが生まれた。

大島優子の芝居は歯切れが良くて、好き。
石橋蓮司の豹変に、ちょっと笑う。

思うに、脚本が薄いような。
角田光代の原作はきっと、アレコレと描きこまれているのだろう。

その辺りを補って余りある天才・吉田大八監督の力量はやはり、確かだ。
殊に後半の力業には、感嘆。


実は徹頭徹尾、この女に共感を覚えられない。
全てが定型であり、そうしてあえて、共感を排除しているのか。どうですか。
ありがちな話だから、あえて、ありがちな描写なのであれば計算だろう。

エピソードの順番によるものかもしれない。
もしや、サイコパス設定?と思ってしまった。

ラストの少し手前で大鳥肌であったので、落としどころにも共感できずに。
もちろん、作り手、書き手の思い入れはあるだろう。

とはいえ、その映像は、眠気が吹き飛ぶサスペンス。
とっても好き系であったからこそ、そんなことをちょっとグチグチ。



映画 スクリーン

[関連作品]
吉田大八監督 『桐島、部活やめるってよ』
大島優子 『劇場版SPEC ~結(クローズ)~ 漸(ゼン)ノ篇』『劇場版SPEC ~結(クローズ)~ 爻(コウ)ノ篇』『さんかく』
石橋蓮司 『ふしぎな岬の物語』『家路』『銀の匙 Silver Spoon』『脳男』『アウトレイジ』『今度は愛妻家』『山形スクリーム』



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