アベンジャーズ／インフィニティ・ウォー

原題：Avengers: Infinity War
監督：アンソニー・ルッソ／ジョー・ルッソ
ｷｬｽﾄ：ロバート・ダウニー・Jr／クリス・ヘムズワース／マーク・ラファロ
配給：ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ
公開：2018年4月
時間：149分

【くた★むび】について

GW洋画２作目の紹介はもちろん『インフィニティ・ウォー』。これまでの10年間に公開されてきたMCU作品18タイトルの全てが，この作品へのプレリュードであったかのように，重厚で壮大なシンフォニーが始まる。コンダクターは『キャプテン・アメリカ／ウィンター・ソルジャー』『シビル・ウォー／キャプテン・アメリカ』のルッソ兄弟。

すでにご覧の人も多い様子だが，これから観る人，ソフトで見る人には，できればMCUの全18作品で予習をしてほしい。最低でも『シビル・ウォー／キャプテン・アメリカ』，『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー／リミックス』，『マイティ・ソー／バトルロイヤル』，『ブラックパンサー』の４本は見ておくと，キャラとストーリーが格段に楽しめるハズ。

宇宙誕生とともに出現し，それぞれに異なる強大な力を秘めた６つの石“インフィニティ・ストーン”。すべてが揃うと，指を鳴らしただけで全宇宙の半分の生命を滅ぼすほどの恐るべきパワーを手にするという。アスガルドの滅亡後，新天地として地球に向かっていたソー（クリス・ヘムズワース）率いるアスガルドの民を乗せた宇宙船“ステイツマン”を，圧倒的なパワーで全宇宙に恐れられる悪の支配者サノス（ジョシュ・ブローリン）の宇宙船“サンクチュアリII”が襲う。人口過多の宇宙のバランスを完全に保つために，全生命の半分を消し去る必要があると信じるサノスは，全ての“インフィニティ・ストーン”の収集に乗り出したのだ。

ソーと同乗していたハルク（マーク・ラファロ）はサノスに敗北し，ヘイムダル（イドリス・エルバ）のビフレストの力でドクター・ストレンジ（ベネディクト・カンバーバッチ）のいるニューヨークのサンクタムへ逃がされる。サノスが２つの“インフィニティ・ストーン”のある地球を狙うという，かつてない危機の到来をストレンジがトニー（ロバート・ダウニー・Jr）に知らせたその時，ニューヨーク上空にドーナツ状の“Qシップ”が出現。サノスの配下エボニー・マウ（トム・ヴォーン＝ローラー）とカル・オブシディアン（テリー・ノタリー）が地球に降り立ったのだった…。

『マイティ・ソー／バトルロイヤル』と『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー／リミックス』のポストクレジットから始まる息も吐かせぬ衝撃の連続。スピード感に溢れる展開の中で，キャスト全員に見せ場が与えられ，過去作の伏線も巧みに回収されるという，まさに映画史に類を見ない圧巻のタペストリーが織りなされてゆく。マーベルファンであればあるほど，アドレナリンは過剰に分泌され，唖然とし，愕然とする。そう，これは観る者を“あえてスッキリさせない”ヒーロー作品。

“スッキリさせない”のはヒーローたちの運命だけではない。最強の敵サノスのキャラ描写も上手く，ガモーラ（ゾーイ・サルダナ）との過去を映しながら，無慈悲な強さと共存する苦悩を伝えてくるからズルい。このサノスにさえ感情移入させられ，単純に憎めなくなってしまうのだ。

さらには今回欠席のホークアイとアントマンの動向も気になるし，ロバート・ダウニー・Jr，クリス・ヘムズワース，クリス・エヴァンスの“卒業表明”も聞こえる中，元々は後編として作成されていた，やはりルッソ兄弟の監督で来年５月公開予定の『アベンジャーズ4(仮)』が待ち長い。

ちなみに現時点で発表されている今後のMCU作品は『アントマン&ワスプ』(2018年8月31日公開)，『キャプテン・マーベル(原題)』(2019年3月8日全米公開)，『アベンジャーズ4(仮)』(2019年5月3日全米公開)，『スパイダーマン2(仮)』(2019年7月5日全米公開)，『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3(原題)』(2020年公開) となっている。