久々にお伝えする今回は、カリ肥料をめぐる中国と世界の大企業とのせめぎあいです。華夏時報2010年9月4-10日を訳しながらお伝えします。
現在、世界最大のカリ肥料生産者であるカナダのPotashCorpをどこが買収するかと言う争いの中に、中国企業も関連してきているというのです。そもそもはBHP Billiton Ltd.社が敵対的買収を試みたのですが、価格面で折り合わずせめぎあっているところから始まりました。カリ肥料の業界は初期投資が大きいため参入は容易ではなく、企業数も少なく、また代替品もあまりないということから、PotashCorpのようなトップ企業の買収は価値があります。その中で中方の買い手として脚光を集めたのは中国アルミです。また中国アルミが規模の大きさに買収を断念した後は、より大手の中国中化集団(SINOCHEM Corp)も商談に関心を見せ始めました。ただ、数百億ドルにも上るであろうという買収資金は、中国企業にとっても大きなリスクで、中国アルミも以前に同じような買収などで大量の債務を負ったところから計画を断念したとのこと。他にもモルガンスタンレーやスイス銀行、土居ちぇ銀行、野村證券などは中国の政府各部門及び中国化学と共に、どのようにBHP Billiton Ltd.の買収公正に対抗しようか(約385.6億ドル)と相談しているところです。(ただ、別のニュースでは中国中化集団は買収検討を否定しているともあり、詳細はまだ闇の中のようです。)
この中国中化集団はCNPC、Sinopec、CNOOCなどと並ぶ、中国石油4大メジャーの一つで、国有資産監督管理委員会に直轄する企業。当然主要業務は石油、及び石油化学関連なのですが、同社HPによりますと「中国農業投入品(化学肥料、農薬、種子)一体化企業」ともあり、業務は農業資材関連でもかなりのようです。
そもそも「カリ肥料」がこれほど注目を集めるのは何故なのでしょうか?中国はその広大な耕地から肥料への需要は旺盛、その中でもカリは世界の需要の20%を中国が占めている一方、その80%は輸入に頼っています。2004年にはアメリカに替わり、世界最大のカリ肥料消費国となりました。業界関係者によれば毎年の輸入量は1200万トン、国内の生産量は2007年に254万トンに増えたものの、需給は引続き逼迫し、輸入カリ肥料に頼る構造は続いています。
「中国のカリ肥料生産地区は新疆、青海などの西部地域で、交通インフラなどが発達しておらず、それが国内カリ肥料生産の阻害要因となっている」と中国無機塩カリ肥料協会の職員は話しています。2020年には生産量350万トン、自給率を50%にしようという目標です。中国のカリ肥料投入は世界レベルよりを大きく下回っています。一方、供給側は不文律の申し合わせとして、毎年のカリ肥料生産量は3-5%以上増加させないようにとしており、これらが今回の中国資本企業によるPotash Corp買収への動きの背景となっていると言います。
ちょうど日本ではレアアースの確保に関する、中国とのせめぎあいが多く報道されている中、カリ肥料なんてなんだか地味のように見えますが、そこでも数兆円というお金が飛び交う資源確保に向けたせめぎあいが繰り広げられているようです。確かに国有企業が多い中で、中国はこの方面で動きが早いですよね。肥料の3大元素であるリンでも、日本はリン鉱石の全量を輸入に頼っており、その多くを中国に依存していると言います(リンク参照)。資源獲得競争とは無縁に見える農業の世界でも、熾烈な争いが繰り広げられていきそうです。
現在、世界最大のカリ肥料生産者であるカナダのPotashCorpをどこが買収するかと言う争いの中に、中国企業も関連してきているというのです。そもそもはBHP Billiton Ltd.社が敵対的買収を試みたのですが、価格面で折り合わずせめぎあっているところから始まりました。カリ肥料の業界は初期投資が大きいため参入は容易ではなく、企業数も少なく、また代替品もあまりないということから、PotashCorpのようなトップ企業の買収は価値があります。その中で中方の買い手として脚光を集めたのは中国アルミです。また中国アルミが規模の大きさに買収を断念した後は、より大手の中国中化集団(SINOCHEM Corp)も商談に関心を見せ始めました。ただ、数百億ドルにも上るであろうという買収資金は、中国企業にとっても大きなリスクで、中国アルミも以前に同じような買収などで大量の債務を負ったところから計画を断念したとのこと。他にもモルガンスタンレーやスイス銀行、土居ちぇ銀行、野村證券などは中国の政府各部門及び中国化学と共に、どのようにBHP Billiton Ltd.の買収公正に対抗しようか(約385.6億ドル)と相談しているところです。(ただ、別のニュースでは中国中化集団は買収検討を否定しているともあり、詳細はまだ闇の中のようです。)
この中国中化集団はCNPC、Sinopec、CNOOCなどと並ぶ、中国石油4大メジャーの一つで、国有資産監督管理委員会に直轄する企業。当然主要業務は石油、及び石油化学関連なのですが、同社HPによりますと「中国農業投入品(化学肥料、農薬、種子)一体化企業」ともあり、業務は農業資材関連でもかなりのようです。
そもそも「カリ肥料」がこれほど注目を集めるのは何故なのでしょうか?中国はその広大な耕地から肥料への需要は旺盛、その中でもカリは世界の需要の20%を中国が占めている一方、その80%は輸入に頼っています。2004年にはアメリカに替わり、世界最大のカリ肥料消費国となりました。業界関係者によれば毎年の輸入量は1200万トン、国内の生産量は2007年に254万トンに増えたものの、需給は引続き逼迫し、輸入カリ肥料に頼る構造は続いています。
「中国のカリ肥料生産地区は新疆、青海などの西部地域で、交通インフラなどが発達しておらず、それが国内カリ肥料生産の阻害要因となっている」と中国無機塩カリ肥料協会の職員は話しています。2020年には生産量350万トン、自給率を50%にしようという目標です。中国のカリ肥料投入は世界レベルよりを大きく下回っています。一方、供給側は不文律の申し合わせとして、毎年のカリ肥料生産量は3-5%以上増加させないようにとしており、これらが今回の中国資本企業によるPotash Corp買収への動きの背景となっていると言います。
ちょうど日本ではレアアースの確保に関する、中国とのせめぎあいが多く報道されている中、カリ肥料なんてなんだか地味のように見えますが、そこでも数兆円というお金が飛び交う資源確保に向けたせめぎあいが繰り広げられているようです。確かに国有企業が多い中で、中国はこの方面で動きが早いですよね。肥料の3大元素であるリンでも、日本はリン鉱石の全量を輸入に頼っており、その多くを中国に依存していると言います(リンク参照)。資源獲得競争とは無縁に見える農業の世界でも、熾烈な争いが繰り広げられていきそうです。