10月19日付TuoiTre紙インタビューに答えたベトナム内務省副大臣。記事のタイトルは「若い人材がリーダーになっていくのは喜ぶべきこと」とのコメントを引用。まあ一見どこの国で誰が言っても、「そりゃそうだろうなあ」という至極当たり前に聞こえるコメント。ただ、ベトナム政治の季節にこう出るとその背景も勘ぐってみたくなる。

 そもそもこんなインタビューを内務省がされているのは、クアンナム省という中部地方省で、元同省党書記の息子が、投資計画局という投資許認可権限を持つ重要な局の局長に、30歳という異例の若さで昇進したことがベトナムメディアで話題になっていたからである。こちらツイートでも紹介したように、お父さんまで出てきて「問題ない」と息子の能力に太鼓判を押したものの、メディアを通して大きな話題になったところ騒ぎが収まらず。ついには内務省がその手続きを調査することになった。

 そこでその調査を指揮した内務省副大臣が「手続き上問題ない」という結論を出したことが、冒頭に紹介したインタビューの背景となっていたのだ。ネット世論でも「本当に能力あるなら良い」という声と同時に「まあこんなのここだけじゃなくて色々なところであるでしょ」なんて冷めた声も。

 それもそのはず。このインタビューが紙面に載った前々日、17日にはグェンタンズン首相の息子、グェンタィンギー氏がキエンザン省という南部地方省党書記、39歳(1976年生まれ)という現時点では最も若い地方省党書記となった。更には末の息子さんのグェンミンチエット氏もビンディン省の共産党常務委員に、何と27歳での選出(当たり前ですが最年少)。まあこれらのニュースの後にインタビューされれば、相当な強者でない限りは「経験のない若手の内に、父親の経歴が故に出世するのはけしからん」とは言えませんわなあ。

 先週にはダナン市でも同じく1976年生まれのが同市の共産党委員会書記に選出された。彼の父親も元中央検査委員会主任のグェンヴァンチー氏というサラブレッド。親が共産党リーダー職を担った(っている)ベトナム版「太子党」(中国政治で共産党高級幹部の子弟たちを指す)の地方人事での躍進、これらはお父さんたち(のお友達?)の来年1月第12期共産党大会での躍進を暗示するものなのだろうか?