11月21日15:30
我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案
第189国会 内閣提出法案第七十二号
平和安保法制その8
事態対処法の改正による自衛隊法の改正
すでに可決されたこの法制を述べているが、国会で議論中は、右も左も頭に血がのぼっており、冷静な議論がなく、法案の中身も読まないで感情論、かつての安保闘争の思いが再燃したのか、若者も騒ぎたいのか、彼らが述べたものを聞いても読んでも、単なる子供の喧嘩としか思えないような罵詈雑言ばかりが飛び交い、そのときに論ずるべきではないと考えた。
今になっても、いまだにこの法律をろくに読まず、自分と同じ思想の人の言うことをまた聞きしたうえで、固定化されたイデオロギーに支配されて主張を続けている人ばかりではあるが、いつまでもこれでは進まないので、11月に入ってから書くことにした。今回はその八回目。
この事態対処法改正に伴う自衛隊法の改正案も同時に提出された。
改正前の自衛隊法第三条は、
「自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする。」
の「直接侵略及び間接侵略に対し」を削る。
削る必要はないと思うのであるが、なぜか削る。
次に、防衛出動に対して「存立危機事態」を追加する。
第七十六条
内閣総理大臣は、次に掲げる事態に際して、我が国を防衛するため必要があると認める場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。この場合においては、武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号)第九条の定めるところにより、国会の承認を得なければならない。
一 我が国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態又は我が国に対する外部からの武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至つた事態
二 我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態
というように、「我が国と密接な関係にある他国に」という第二号を設ける。
このほか、自衛隊の行動に必要な各種の権限等や特例の措置を定める。ただし、我が国に対する直接攻撃や物理的被害を念頭に置いた措置は、存立危機事態では適用しない。
(適用するものの例) 特別の部隊の編成、予備自衛官及び即応予備自衛官の防衛招集 など
(適用しないものの例) 防御施設構築の措置、公共の秩序維持のための権限、緊急通行、物資の収用、業務従事命令 など
となっており、わが国に対する直接侵略及び間接侵略に対して削り、日米同盟における軍事措置を加えているわけで、文言上であってもこれは反対する。
これをなぜ削除するかについて、藤末参議院議員が質問主意書を出しており、政府の回答は抜粋すると以下のものである。
「自衛隊法第三条第一項の『直接侵略及び間接侵略に対し』を削ることにより、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態における自衛隊の行動が自衛隊の主たる任務に含まれることを明らかにすることとしている。」
よく理解できないが、わざわざ削除する必要はないと考えるため、この部分について反対する。
目次
平和安保法制その8/189-閣72 事態対処法改正による自…