平和安保法制その5/189-閣72 重要影響事態安全確保法 | 国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

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2015年11月21日 14:09

我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案

第189国会 内閣提出法案第七十二号

平和安保法制その5

重要影響事態安全確保法(周辺事態安全確保法の改正)

 

これまでの周辺事態安全確保法を改正し、法律の名前も重要影響事態安全確保法とする案であった。政府が周辺事態法の「周辺」という言葉を削除して重要影響事態法とするのは、自衛隊による活動の地理的制約を外すことにある。

 

周辺であると東アジアまでだが、国にとっての重要な影響とは、主に石油の輸入を指す。すなわちホルムズ海峡での危機に対応できるようにするためである。しかし、ホルムズ海峡以外であっても、地球全体のどこの地域であったとしても、日本に重要な影響を与える事態であるのならば安全確保のために自衛隊の出動は可能であるということになる。

 

目的は、重要影響事態に際し、アメリカ合衆国軍隊等に対する後方支援活動等を行うことにより、重要影響事態に対処する外国との連携を強化し、我が国の平和及び安全の確保に資することとしている。

 

重要影響事態とは、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態とされており、旧来の周辺事態安全確保法に記されていた 「周辺事態」の定義から「我が国周辺の地域における」を削除している。

 

支援対象は、重要影響事態に対処する以下の軍隊等である。

①日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行う米軍

②その他の国際連合憲章の目的の達成に寄与する活動を行う外国の軍隊

③その他これに類する組織

 

その他これに類する組織という解釈は、どこまでも拡大可能である。この平和安保法制では「等」がよく使われており、それそのものでなくても、それに類似するものへの拡大解釈がいくらでも可能となっている。また、質疑で等についての類する事項を大臣に答弁させようにも口ごもるばかりで、答弁には答えない路線まっしぐらであった。

 

それを民主党の閣僚経験者が突っ込んでいるのだから面白い。彼らが大臣だったときも、他の案件ではあるが、まともに答弁しない者ばかりであり、今度は野党席に立って、現在の自民党の閣僚が答弁していないことをさんざん突っ込んでいるのである。議員というのは誰にやらせても変わらないと言われるゆえんである。

 

この平和安保法制は不備だらけであり、国民の反対も多く、憲法に違反しているとの意見も多くある。そうであるならば、もっと時間をかけて手直しを図るべきである。与党はこの審議に時間をかけたというのであるが、小泉内閣でのイラク特措法などは3国会またいで成立させ、最終的には野党の民主党にも飲み込ませたのである。そういう調和型審議の前提が今回全くない。

 

そうでなければ、この法案に反対する第一党である民主党が再び政権を担うことになる。あの時のあのようなずさんな政権を国民はもう一度望もうというのか。あるいは自民党は、もう二度と民主党政権はありえないとしてタカをくくっているのか。

 

そうなると国民は、どちらも選択できないこととなり、ますますの自民党による一強勢力が、法治国家を無視した政治をどんどん続けるようになるではないか。国民が、自民党に対して意見をもっと言うべきである。

 

創価学会員が公明党にものを申しても結局は自民党の言いなりになっていることが証明されている今、全国にいる自民党政治家の支援者たちが言わねばどうにも変わらない。民主党の支援組織などは軟弱地盤であるからそこでいくら頑張っても意味がない。

 

では話を戻して支援の対応措置。

 

①後方支援活動(防衛省・自衛隊が実施する物品・役務の種類)

補給、輸送、修理及び整備、医療、通信、空港及び港湾業務、基地業務、宿泊、保管、施設の利用、訓練業務

(※)武器の提供は含まない。弾薬の提供及び戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備は実施可能に。

②捜索救助活動

③船舶検査活動(船舶検査活動法に規定するもの)

④その他の重要影響事態に対応するための必要な措置

 

これらは特に問題ないと思われるが、弾薬の輸送には核兵器の輸送も可能であるということである。

 

○「現に戦闘行為が行われている現場」では実施しない

(※)遭難者が既に発見され、救助を開始しているときは、部隊等の安全が確保する限り当該遭難者に係る捜索救助活動を継続できる。

○自衛隊の部隊等の長等は、活動の実施場所又はその近傍において戦闘行為が行われるに至った場合、又はそれが予測される場合には一時休止等を行う

○防衛大臣は実施区域を指定し、その区域の全部又は一部において、活動を円滑かつ安全に実施することが困難であると認める場合等は、速やかにその指定を変更し、又は、そこで実施されている活動の中断を命じなければならない

 

これは、安全な場所でないと自衛隊員は動けないといういつもの規定である。

国会の承認については、原則事前の国会承認で、緊急の必要がある場合の事後承認可となっている。これは改正前の周辺事態安全確保法と同様。

 

これまでは、外国領域での活動の実施は不可能であったが、この改正によって可能になる。なお、武器使用権限は、自己保存型のみ。

 

内閣法制局は「要員の生命などを防護する場合(自己保存型)」と「任務の遂行を実力で妨害する企てに対する抵抗の場合(任務遂行型)」の二つに大別する。

任務遂行型は「状況によっては武力行使にあたる恐れがある」として、自己保存型しか認めていなかったが、自衛隊法、国際平和協力法の改正などで任務遂行型を可能とさせた。しかしこの周辺事態安全確保法改正は自己保存型までとした。

 

目次

平和安保法制その1/189-閣72 総論1

 

平和安全法制その2/189-閣72 総論2

 

平和安全法制その3/189-閣72 自衛隊改正法

 

平和安保法制その4/189-閣72 国際平和協力改正法

 

平和安保法制その5/189-閣72 重要影響事態安全確保法

 

平和安保法制その6/189-閣72 船舶検査活動改正法

 

平和安保法制その7/189-閣72 事態対処改正法

 

平和安保法制その8/189-閣72 事態対処法改正による自…

 

平和安保法制その9/189-閣72 その他諸法

 

 

平和安保法制その10完/189-閣73 国際平和支援法