平和安全法制その3/189-閣72 自衛隊改正法 | 国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

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2015年11月21日 13:14

我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案

第189国会 内閣提出法案第七十二号

平和安保法制その3

 

同法案は以下の10法の改正案となっている。

1.自衛隊法

2.国際平和協力法

国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律

3.周辺事態安全確保法 → 重要影響事態安全確保法に変更

重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律

4.船舶検査活動法

重要影響事態等に際して実施する船舶検査活動に関する法律

5.事態対処法

武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和及び独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律

6.米軍行動関連措置法 → 米軍等行動関連措置法に変更

武力攻撃事態等及び存立危機事態におけるアメリカ合衆国等の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律

7.特定公共施設利用法

武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律

8.海上輸送規制法

武力攻撃事態及び存立危機事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律

9.捕虜取扱い法

武力攻撃事態及び存立危機事態における捕虜等の取扱いに関する法律

10.国家安全保障会議設置法

 

まず自衛隊法改正から。

自衛隊法は、

・在外邦人等の保護措置

・米軍等の部隊の武器等の防護

・平時における米軍に対する物品役務の提供の拡大

・国外犯処罰規定

の四つを改正。

 

① 在外邦人等の保護措置

外国における緊急事態に際して生命又は身体に危害が加えられるおそれがある邦人の保護措置を自衛隊の部隊等が実施できるようにする。(第84条の3)

これをなすには以下の三条件が満たされなければ実施できない。

ⅰ. 保護措置を行う場所において、当該外国の権限ある当局が現に公共の安全と秩序の維持に当たっており、かつ、戦闘行為が行われることがないと認められること。

ⅱ. 自衛隊が当該保護措置を行うことについて、当該外国等の同意があること。

ⅲ. 予想される危険に対応して当該保護措置をできる限り円滑かつ安全に行うための部隊等と当該外国の権限ある当局との間の連携及び協力が確保されると見込まれること。

 

この保護措置のため許される武器使用権限は、いわゆる任務遂行型の武器使用が可能で、危害許容要件は正当防衛・緊急避難となっている。

 

この法制施行前であると、自衛隊員が海外で拉致、誘拐された場合、また日本の民間人が同様の場合も、自衛隊はその人々を救出することができない。これは自己保存型武器の使用は認められているが、任務遂行型の武器使用を認められていないためである。したがって、この法改正がないと、誘拐された自衛官を救うには、犯人を説得する以外に方法がない。

 

よって、大筋でこの改正はすべきであると考えるが、もしそこに自衛官が邦人救出のために、突撃し、誤って無関係な民間人を誤射した場合、その自衛官個人に刑事的責任が課せられ処罰されることに対しての政府による保障が明確ではない。これらを明確にし、責務をはっきりとさせるべきである。これに限らず、この平和安保法制全体にこれが言える。

 

② 米軍等の部隊の武器等の防護

自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に現に従事している米軍等の部隊の武器等であれば、当該武器等を防護するための武器の使用を自衛官が行うことができるようにする。(第95条の2)

 

戦闘状態になった場合、敵がまず攻めるは米軍の武器であろうことは予想がつく。その米軍の武器を自衛隊に守らせるという法律である。もちろん米軍の要請があったときにであるから、米軍が自衛隊に任せることはまずありえず、米軍自身で警備するとは思うが、今回の法改正ではこれが明記されている。

 

そして拡大解釈路線を進む安倍内閣であるから、米軍の戦闘機や護衛艦なども武器として解釈は可能である。したがって、自衛隊が米軍の戦闘機や護衛艦に対して、邦人が乗っていなくても警護すべしということは成り立つのである。

 

【対象】

○米軍その他の外国の軍隊その他これに類する組織の部隊

○自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動(※)に現に従事しているものの武器等

(※)共同訓練を含み、現に戦闘行為が行われている現場で行われるものを除く。

【手続】

○米軍等からの要請があった場合

○防衛大臣が必要と認めるときに限り

○自衛官が警護を行う

(※)条文上の手続とは別途、運用の考え方を国家安全保障会議で審議する方針。

【武器使用権限】

○人又は武器等を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。

○危害許容要件は正当防衛・緊急避難。

米国では軍に一般の司法権は及ばず、米兵の犯罪や軍紀違反は軍法会議で裁かれる。日本は憲法76条がこうした特別裁判所の設置を禁じている。したがって日本では自衛官のなしたことは刑法上の犯罪として処罰されうるのである。

 

③ 平時における米軍に対する物品役務の提供の拡大

米軍に対する物品又は役務の提供に関しては、以下の活動を実施する自衛隊の部隊等と共に現場に所在して同種の活動を行う米軍を対象に追加

1. 自衛隊法第81条の2第1項第2号(警護出動)に掲げる施設及び区域に係る同項の警護(※施設及び区域内での警護を行う米軍が対象)

2. 海賊対処行動

3. 弾道ミサイル等を破壊する措置をとるため必要な行動

4. 機雷その他の爆発性の危険物の除去及びこれらの処理

5. 外国における緊急事態に際しての邦人の警護・救出等(改正後の自衛隊法第84条の3(在外邦人等の保護措置))

6. 船舶又は航空機による外国の軍隊の動向に関する情報その他の我が国の防衛に資する情報の収集のための活動

 

これについて中谷防衛相は、「核兵器は核弾頭を持っており、分類は弾薬に当たる」と述べた。つまりは核兵器の輸送もこの法改正によって可能であるとの明言である。

 

④ 国外犯処罰規定

この法律は、自衛官は国内で不当に武器を使用した場合は逮捕されても、国外で武器を不当に使用しても処罰対象にはならない。そこで参議院からは法律に不備があるとされた。しかし修正かまわず可決である。

 

以下に係る罰則について国外犯処罰規定を整備する。

1. 上官の職務上の命令に対する多数共同しての反抗及び部隊の不法指揮

2. 防衛出動命令を受けた者による上官命令反抗・不服従等

 

以上が政府による平和安保法制中の自衛隊法改正部分である。自衛隊員の法的擁護はなされておらず、国外において戦争をさらに悪化させる要因を持っているため反対する。ただし、全てを国会の事前承認項目とするならば賛成しやすいが、その場合は党議拘束を禁ずる手立てを打ったほうが良い。

次にその4で、国際平和協力法の改正について述べる。

 

目次

平和安保法制その1/189-閣72 総論1

 

平和安全法制その2/189-閣72 総論2

 

平和安全法制その3/189-閣72 自衛隊改正法

 

平和安保法制その4/189-閣72 国際平和協力改正法

 

平和安保法制その5/189-閣72 重要影響事態安全確保法

 

平和安保法制その6/189-閣72 船舶検査活動改正法

 

平和安保法制その7/189-閣72 事態対処改正法

 

平和安保法制その8/189-閣72 事態対処法改正による自…

 

平和安保法制その9/189-閣72 その他諸法

 

 

平和安保法制その10完/189-閣73 国際平和支援法