疳の虫ってそもそも何? | 春月の『ちょこっと健康術』

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おはようございます ニコニコ


疳の虫の手当てについては、「疳の虫・不安を抑えるツボ 身柱」 「夜泣き・疳の虫・下痢…小児の諸症状に効くツボ」 「夜泣き・疳の虫のリフレクソロジー」 「子供のためのリラックスオイル」 とご紹介していますが、疳の虫って、そもそも何なんでしょうね?


不機嫌になっていると「虫の居所が悪い」、何か悪いことが起こりそうだと「虫の知らせ」なんてことをいいます。コミックの「蟲師」を読まれた方はご存知と思いますが、何だかわからないもの、いわば病気の原因に対して、昔は「虫」がいるせいだと考えたんですね。実際に寄生虫が原因になったりもしますが。


疳の虫、中医学では疳積といって、脾胃の失調が長期化して、気や陰が消耗することで起こる栄養障害と考えられています。3歳前後に多く、おなかがはったり、眉間の静脈が浮き出たり、からだがやせてきたり、髪の毛がうすくなったりします。ひどい場合は、成長発育にも影響して、種々の病気の誘因となります。


あくまで私見ですが、イメージ的に、疳積よりも疳の虫のほうが症状が軽いというか、疳積の前段階に疳の虫があるように感じています。おとなでいえば、肝鬱気滞がちょっと長引いて、脾胃に横逆(おうぎゃく)した、肝の疏泄(→東洋医学講座 No.10 )がうまくいかないために、脾胃の運化や昇清・通降(No.11 No.15 )に影響がおよび始めた状態なんじゃないかと思うんです。


ストレスがあったり、精神的な緊張が続いたり、何かいいたいことをグッとがまんしたり、がまんしきれずに怒りが爆発したりすると、肝鬱なりやすい。食べ過ぎの状態が続いて食積になったり、好き嫌いが激しくて偏食があったり、外邪や痰飲・お血によって気の流れがじゃまされたりすると、気滞を起こしやすい。肝鬱は気滞を誘発し、また反対に気滞は肝鬱を誘発します。


肝鬱気滞になった場合に、どんな症状がでるかは、「肝が不調になるとどうなるか?」 「東洋医学講座 No.35 気の停滞」 をみてくださいね。


疳の虫があると、夜泣きもしやすい。ということで、疳の虫や夜泣きの薬、ほんの十数年前くらいまで、宇津救命丸(うづ・きゅうめいがん)とか樋屋奇応丸(ひや・きおーがん)のコマーシャルがTVで流れてました。宇津救命丸は1597年から(→株式会社宇津救命丸HP )、樋屋奇応丸は1622年から(→樋屋製薬HP )ということなので、どちらも江戸時代からある漢方薬なんですね。


こうした市販薬を使うのもひとつの手かとも思いますが、どうせ漢方薬を使うのならば、やはり漢方医さんにみていただいたうえで処方してもらうほうが、よく効くだろうと思います。疳の虫・夜泣きといっても、原因や症状はそれぞれでしょうから。


ご家庭で手当てするならば、先にご紹介したツボやリフレクソロジー、アロマセラピーなどもいいですが、お風呂上りや寝る前に、背骨の両脇を、くびのつけねから腰まで、スプーンの先で軽くこするのもよさそうです。胸と胸を合わせてお子さんをだっこした状態で行ってくださいね。


来週、疳積についてくわしくお話しますね。一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


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アロマセラピーの目次→新月
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