大きな音が、耳を揺する。
いつもは気持ちのいい音も、今日に限っては空しく響くだけだ。
夏の風物詩、花火大会。
裕也はここ3年、毎年恋人の洋子と見物していた。
二人は、秋に結婚する予定だった。
だが、マリッジブルーに陥っていた洋子と、一週間前に些細なことで喧嘩してしまった。これまで、喧嘩したことなんてなかったのに。
「私、あなたとは合わないわ」
最後に言った洋子の言葉が、今も耳から離れない。
たった一度の喧嘩で、それも結婚を間近に控えていたというのに。
裕也は、いつも洋子と見物していた場所から、ぼんやりと夜空に広がる光の欠片を見つめていた。
家に閉じこもっていても気が塞ぐばかりなので、ついふらふらと足を運んできたのだ。
花火を見上げていると、横に洋子がいるような気になる。
裕也の右手は、つい洋子を探って動いてしまった。
その手が、いきなり握られた。
裕也が、びっくりして横を見る。
「あなたがここにいたら、もう一度やり直そうと思って」
そこには、浴衣を着てはにかんだように立っている、洋子の姿があった。
裕也が、無言で洋子を抱きしめた。
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