裕也がスピードを上げた。

 後ろの車は離れずに付いてくる。

 ハヤブサと呼ばれる走り屋の裕也でも引き離せない。

 こんな相手は初めてだった。

 裕也は少し焦った。

 深夜の二時。

 山道での熱いバトルが繰り広げられている。

 街灯もない曲がりくねった細い道を、四つのヘッドライトが右に左に揺れる。

 一人でゆったりと流していた裕也のバックミラーに、パッシングの光が映ったのは五分前だ。

 裕也の走り屋魂が燃えた。

 クラクションを鳴らすと同時に、アクセルを思い切り踏み込んだ。

 今日の相手は、いつもと違った。

 五分も走れば、悠々相手を引き離しているはずなのに、ぴたりとついてくる。

 余裕すらありそうにみえる。

 今、裕也は焦っている。

 早く振り放そうと、さらにアクセルを踏み込む。

 そこへ、相手のハイビームにしたヘッドライトの灯りが飛び込んでき、裕也の目が一瞬眩んだ。

 裕也の車はカーブを曲がり切れず、谷底へと突っ込んでいった。

 

 

 

 

真実の恋?(現在連載中)

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