「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしています」
女将さんが、素敵な笑顔で送ってくれた。
そんな女将さんに手を振りながら、俺はがっかりしていた。
周りになにもない場所にありながら、半年前から予約しないと部屋が取れないほどの人気の宿だった。わずか五部屋しかないというのもあるが、この宿は、ここ数年バンパイア伝説で有名になっている。
この宿が建っている村は、古くからバンパイアが隠れ住んでいたという伝説がある。
で、数年前、宿に泊まった奴が、バンパイアと遭遇したという記事をネットにアップしたのがきっかけで、ブームに火が付いた。なんでも、危うく血を啜られそうになったのを、命からがら逃げてきたというものだった。そんな記事が、立て続けに載った。
中には、ふすまのに映った巨大な蝙蝠の陰の写真までアップしている者もいた。
怪奇マニアの俺としては放っておけるはずもなく、半年間わくわくして、やっとゆうべ一泊五万の大枚をはたき泊まったのだが、何事もなく一夜が過ぎた。
所詮、ネットなんか信用するもんじゃないなと思いながら、俺は白けた気分で家路に着いた。
「毎日満室で潤うわぁ」
すべての客を送り出したあと、女将が従業員に満足そうな顔を向けた。
「ね、言ったでしょ。ネットの威力は凄いわね。世間にばれることを恐れながら、ちまちま人間を襲うより、お金を儲けて、血液銀行から闇で買えばいいんだから。お蔭で、毎日新鮮な血を味わえるし、私たちも安全だものね」
夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。
ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?
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無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。
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小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。
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世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。
果たして、勝者は誰か?
奪われた物は誰の手に?