今里は、山を見る度に、故郷のことを思い出す。
今里の故郷は、山に囲まれた土地で、農業を営んでいた。
三人兄弟の長男だった今里は、家業を継いで、古臭い田舎で生涯を終えるのを嫌い、後を弟たちに押し付けて、高校を卒業すると共に、憧れの東京に出てきた。
だが、今里が夢見ていたのとは違い、東京という街は甘くはなかった。
身も心もぼろぼろになった今里は、心底故郷へ帰りたいと思った時期があった。
しかし、引き止める父親に向かって、親子の縁を切ると啖呵をきって家を飛び出した今里に、もはや変える家などなかった。
挫けかけた心を奮い立たせて、今里は必至で頑張った。その甲斐あって、長いバイト生活を経たのち、小さいながら、まっとうな会社に就職することができた。
営業職についた今里は、これまでの苦労を活かしてみるみると成績を上げてゆき、それと共に、会社も成長を遂げていった。
いつのまにか全国展開を図るまでになった会社で課長職に就いて今里は、全国各地を飛び回った。
海のある地域はリラックスできたが、近くに山並みが見える地域だと、今里は落ち着かない気持ちになる。
郷里を飛び出してから20年。あれから一切連絡を絶っているため、家族がどうしているかまったく知らない。
そろそろ、顔を出して謝るか。
旅館の窓から見える山並みを眺めながら、今里はそう決意していた。
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