ジャブを立て続けにもらった。
猪田の足がよろめく。
彼は今年30歳になる。
ボクサーとしては、もう老境に入っているといってもいい年齢だ。
高校を卒業してからプロの道に進み、これまで36戦して、28勝8敗という戦績でありながら、一度もタイトルを取ったことがない。
猪田は、引退を賭けて最後の試合に臨んでいた。
この相手を倒せば、日本チャンピオンになれる。
相手は、猪田より10歳も若い。今売り出し中の、新進気鋭のボクサーだ。
5ラウンド目、ここまで猪田は、相手のテクニックに翻弄されて、自分らしい試合をさせてもらえていない。
ぜがひでもタイトルを取りたい猪田は、気ばかりが焦り、まるで蟻地獄に落ちた蟻のようにもがいていた。
ストレートを、まともに顔面に浴びた。
崩れかける身体を、最後の気力を振り絞って踏ん張る。
相手は嵩にかかって、もう一発ストレートを浴びせてきた。
執念がそうさせたのか、猪田は本能的に相手のパンチを躱しながら、踏ん張った勢いで相手の懐に飛び込み、強烈なフックを放つ。
相手のボクサーが膝から崩れ折れ、レフェリーがカウントを数える。
10カウントを聞いたとき、猪田の両拳が、天に向かい高々と突き上げられた。
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