進むも地獄、退くも地獄。
同じ地獄なら、前に進むしかないと、一郎は腹を据えた。
どうせ、ここまで来たら引き返せないのだ。男なら、ぐずぐず迷っていないで決断あるのみ。そう思い定めて、一郎は止まっていた足を踏みだした。
一郎が歩を進めるいたるところに、屍が転がっている。
一郎は世界的に有名な戦場ジャーナリストで、今、世界で最もほっとな紛争地帯に足を踏み入れていた。
これまで、数々の場数を踏んできた一郎ですら、ここの戦場は酸鼻を極めていた。
この戦場に立つと、人間とは、いかに醜くて、いかに愚かな生き物であるかということを、つくづくと思い知らされる。
一郎は、今ほどこの職業を選んだことを後悔したことはない。
世界が平和になれば、人々が平和の良さに気付いてくれたらと思い、この職業を選び、数多の戦場に赴き、戦争の悲惨さと無意味さを写真に収めては、世界中に向けて発信し続けた。
その功績が認められて、ノーベル平和賞の候補に上がった一郎だが、この戦場を見る限り、人間の将来が案じられた。
修羅場を幾度も見てきた一郎が思うほど、この戦場は悲惨を極めていた。
もう、人間は、いくところまでいくしかない。
そんな虚しさが胸を貫いたとき、一郎の胸を一発の銃弾が貫いた。
これ以上、こんな光景を見なくて済む。
一郎は、笑みを湛えながら、ゆっくりと崩れ落ちていった。
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