クリニック5日目 ② ~リタリン処方~ | 空飛ぶ猫の旅

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ぼくら みんな 旅の途中

ところで、先生はいつも診察室のドアをあけて通路に

出て、次のクライアントの名を呼びます。


クライアントが返事をして、近くまで歩いてくるのを

確認し、アイコンタクトがとれるまでそこに立って出迎え

ます。


そんな先生の物腰に、いつもキモチがほんわかする。


たいていわたしは読みかけの雑誌を戻したり、荷物が

はみ出そうなバッグを抱えなおして、ばたばたと

『小春さ~ん』 『は、は~い!(きゃ~)』 って先生の

もとへ小走りして行くんだけどね(笑。先生が待ってて

くれるから。


クリニックでは、対社会クール小春は遠慮なく姿も

カタチも隠しているようで、自分で可笑しい。


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さて、それで、先生はわたしの方へ向き直り、丁寧に

話を始めました。


『これまでいろいろと聞いてきたけれど、あなたのことはね、

おかあさんも心配してきたんだと思いますよ。ハラハラして、

ね(笑。


あなたに対する思いも相当なものだったんじゃないかと

思いますよ。だから、あれやるなこれやるなと言うしか

なかったんじゃないかな。おかあさんにはお会いしてない

からなんとも言えないけれどね。


あなたはそれを欲求への制御と感じて、キモチが穏やか

ではなくなったのでしょう。あなたは、止められると余計に

暴走してしまう傾向があるでしょう?(笑。本当は止めては

いけない人なんです』



先生はACのことはいま問題にしてないなって思った。

ACはあたりまえのようにそこにあるから。


先生はADHDにからめて、わたしたち母娘について話を

してくれてるんだ。そう感じた。


たしかに…。おかーさん、いろいろ心配かけ続けてて

ゴメンヨ。めんどうばかりかける娘だったよね(;´▽`A``



『それでね、僕はここで一度診断をしておきたいと思います。

診断といっても、確定したものとは言えません。

なぜなら、ADHD診断で必要な基準のひとつに、7歳以下

で発症している、ということがあるからね。でも、あなたの

場合、幼稚園の記憶があまりないんだもんね…。


でも、あなたは間違いなくADHDでしょう。


あなたの場合は特に「注意」の面で強い症状

表れていて「多動」はあまりないようだから、

ADDね。


あなたの場合、「注意」の面で強く出ていることは

間違いないよね?(大きく頷くわたし)

それと、「衝動」。「注意」の部分に引き寄せられる

ように「衝動」があり、「多動」がある。そんな感じ

がしますね。


そういうわけで、7歳以下のことがきちんと診断できていない

けれど、この質問事項に答えてみてもらえますか?』


(※「注意の面で」というのは、要するに「不注意」ってこと)



先生は、ADHDに関する10数個程度の質問事項が

書かれたペーパーを読み上げていきます。


YESで即答できることもありましたが、こちらから質問

して自分の言葉で言い換えたりしてアタマをまとめつつ、


『コレコレこういうコトならありますけどね?(笑』 

『うん、それそれ。あるんだね~、やっぱり。(YES、と)』

みたいなやりとりが多かったです。わたし、べらべら

喋っていました(笑。



いくつ答えたか忘れてしまいましたが、8、9割ほどが

YESになったかと思います。



この質問事項は事後承諾的な形式的なモノで、これまでの

セッションの小テストのような感じがしました(笑。



先生と一緒に時間をかけてさかのぼったわたしの歴史。

「7歳以下に発症しているはず」という、診断する側に

便利そうな区切りが空虚に思えた。


先生に話した数々のこと。それだけで十分診断可能だと

いう感触をお互いに持てたんだと思う。




あ、ひとつ思い出したので書いておきます(^O^)/


あれこれ入ってくる刺激に反応しておきながら、それらの

ことはちゃんと覚えていない。そういうことはありますか?


そんなカンジの質問(笑。


小春 『この間、ドライブしながらアタマを駆け巡ったこと を、

   人に説明できるように意識してみたんです。そしたら、

   ホントにわたし、ありとあらゆる情報に気が行っていて、

   アタマのなかはいろんな思いつきなんかで大変なこと

   になってるんです。アタマにロール紙つけて印刷して

   出してしまいたいと思ったほどで(笑。たとえばそういう

   こと、ですかね? だって、そういうの全部覚えていたら

   アタマおかしくなっちゃいますもん。覚えているワケが

   ないです(笑』


先生 『うんうん。そういうことだよ(笑。(YES、と)』


あ、それと、お喋りとか、ある状況下での落ち着かなさに関する

質問で「多動性」を測ろうとしていると思われるものもあったなぁ。


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先生 『さて、それで、どうしようか。ADHDに治療法はない

   けれど、リタリンという薬を出すことはできます。でも、

   このリタリンもADHDの薬として認められているわけでは

   ないから、うつの薬として出すことしかできないんだよね。


   僕は個人的にはリタリンを使いたくはないんです。脳に

   直接作用するし、嗜好性(って言ったけかな?)があるし、

   効かなくなって量が増えていってしまうことがあるからね。

   だから、生活に支障がそれほどない人には出さないように

   はしています。


   さて…、あなたはどうしたい?』



小春 『リタリンのことは少しだけ勉強しました。ADHDの人が

   飲むと、今までの自分はなんだったのかと思うほどの

   クリア感があるとかで…。試してみたいなぁとは思って

   いました…』


先生 『うん。効かない人はまったく効かないんだけど、効く人

   は、薬が効いているのがハッキリ分かるそうだよ。それに、

   効き目が切れてきたのも分かるって。薬が切れてくると

   まったくアタマが動かなくなるって言う人もいるよ』


小春 『…試してみたいです』


先生 『うん、わかった。ただし、これは用量を必ず守ってね。

   それと、夜は飲まないこと。覚醒させる薬だからね、

   脳が覚醒しっぱなしはよくないから。週末は休薬日に

   するとかしてコントロールしてね。効き目がうれしくて

   余計に飲んでみたり、なんてことはしないように。上限を

   ちゃんと決めて、様子を見ながらやっていってみましょう。

   

   あなたになら出してもいいと思ってたんです』



ん。よくわかんないけど、最後のひとこと、うれしかったな(笑。



先生 『副作用としては、頭痛や食欲減退、チックが出ること

   などがあります』


小春 『頭痛がしたときに頭痛薬を飲んだりしてもいいん

   ですか? チックは、たとえばリタリンを途中でやめても

   治らないかもしれないってことですか?』

    (食欲減退は今現在よろこばしい。笑)


先生 『どうしようもないときはいいけど、飲むと頭痛が常習化

   しちゃうから飲まないほうがいいかもね。チックは、そう

   いうこともあります…』



≪最後、感想編に つ・づ・く≫


【2007.9.8 追記】

感想編は割愛します(爆)