渡部端子さん。島根県の医療費削減で入院費500円が4万200円になり、故郷をあとにした。「つらいものがあります。」と語る。

奈良県平群町では学童保育が月1000円から4000円にあがる。

------------------------------------------------

NHKでは市区町村の全てにアンケート調査を実施したが、住民負担検討は56%に上がった。自治体財政健全法の成立によって、この傾向が強まった。

大返済時代現場からの報告と題しての今夜の番組内容。

------------------------------------------------

まずは熊本県長洲町。財政危機とは無縁と思われていた町だが、急遽座談会が催され、町長が財政内容の説明。赤字の内容を住民に説明し、住民負担を求めることとした。手数料増額や、高齢者・就学者への補助打ち切りなどの方策によることを実施する予定。

突然負担を求められて、納得できないと語る住民。しかし、給食センター廃止、6億円あまりかけて造った「金魚の館」も閉館し、年間500万円の削減をもくろむ。

法人町民税は5万円→6万円になる。

夕張市の破綻が引き鉄になり、自治体財政健全化法ができたが、「公営事業」の赤字が今までは自治体の財政に加えられていなかった。健全化法により、こういった公営事業も組み入れることになった。

長洲町の町長もこれができたときは「大変だなあ。」と思ったと語る。長洲町は「下水道事業」が20億円の赤字。町本体は3億円の黒字で、これまでは特別会計=公営事業の会計ということで、後回しにしていいものという認識だったが、この先送りにしてきたツケが今、住民に回ってきている。

-----------------------------------------------

NHKでのアンケートによると財政再生団体および早期健全化団体になると思われるという回答が29%にも達する。

その中から奈良県平群町が取材された。公社の多額の借金が重くのしかかり、全国で例を見ない「固定資産税」の値上げに踏み切った。

町内に住む田中友子さん51歳。固定資産税が去年より9700円も増えていた。夫をガンで亡くし、自分もガンの療養をしつつ生活している。遺族年金が頼りだ。さらに心配なことは、知的障害のある娘、咲花さん21歳への補助金も減らされる。咲花さんは支援施設の作業所で働いている。月間7万5千円の収入でなんとか生活していたが、補助金が減らされるため、今後の生活に不安を抱えている。遺族年金は子供の咲花さんには引き継がれないため、自分がいなくなったあと咲花さんを町が支えてくれるかどうかがその原因だ。

-----------------------------------------------

長洲町では、下水道事業の赤字が何故このように(20億円も)累積されたのかの責任を問う声が住民からあがった。下水道事業が10億円を越えたのはバブル崩壊後からだ。その当時の町長である宮田さんに取材。「その頃は町が疲弊していたので、失業対策を考えた。」また下水道事業は国がその半分を補助するという文書が出て、国・中央政府は下水道事業の拡大を奨励しているとされた。

事業のPRのため、2億3千万をかけて金魚の泳ぐ町として当時は新聞にもとりあげられ、亀井静香大臣から表彰も受けていた。次々と下水道整備を行い、誰も住まない場所にさえも立派な下水道が出来上がった。工事代金は年々膨れ上がり、借金も増える一方だった。

当時は、赤字を問題視する人は、議員にも一般住民にもいなかった。下水道会計が「地方債財政」として報告されていたが、これが借金であることを認識する人はいなかった。

平成10年にピークを迎え、その後減ってきたが、借金はそれからどんどん増えていった。

借金する相手は「公営企業金融公庫」政府の銀行である。自治体は破産することは無いという前提のもと、無審査で融資を行い、今や200兆円の融資残高がある。

当時の総務省事務次官の嶋津昭さんが、当時の模様を語る。「全体として国が景気対策を進め、それが自治体に波及していたわけなので、国にも責任はある。」と語る。

-------------------------------------------------

こうした「大返済時代」

端的な例が、島根県から鳥取県に転居した渡部さん。夫は重い障害を抱え寝たきりになっており、年金ではたちゆかなくなり、医療費がただになる鳥取県に移り住んだ。

ほとんどの人は負担が重くなっても、動くことはできない人がほとんどだが、自己防衛をする必要があり、松江市の板垣さん。住民票の世帯分割。両親と住む板垣さんだが、両親との世帯を分けることによって、医療費補助削減に対応できる。相談員も苦肉の策でこの案を勧めている。

しかし島根県は当然、この形を望ましい形とは思っておらず、福祉課の課長さんも困惑。

ところが移住した渡部さんも鳥取県も医療費補助が変わるということになった。流動食の費用が無料→2万円となるという。

-------------------------------------------------

熊本県長洲町、3月末に「金魚の館」が休館。20億円返済までは再開しない方針だ。橋本町長も4月1日に施政方針を議会で述べ、4月になって再び住民説明会が開催された。国民健康保険料が2万3千円も上がる。

住民の橋口征一郎さん。今まであまり関心を払ってこなかったが、意識をしてみていかないといけないと語る。

-------------------------------------------------

弱い立場にある人の生活が脅かされ、住み慣れた町を離れる人が出てきているこんにち、総額200兆円にものぼる自治体借金について私達も自分達のこととして考えていかないといけない。

------------------------------------------------

国も自治体も借金まみれなんだね。景気対策って借金しないとできないことなのかね。いったい誰がこういうことを進め、かつほったらかしていたのか。脱力感に捉われてしまった。国や地方公共団体は税金が入るから絶対に安泰だという神話はもはや、神話になっているのかも、低成長時代は法人からの税収入も限られるだろうし、入るほうが少なくなったら、出るほうもおのずと絞らなければならないはずなのに、今までやってきたから、国が補助してくれるから、ということでは立ち行かない時代。役人がほんとに危機感を持って現状を改善していかないといけないんだけど、う~ん。