王国は誰のもの:安萬純一

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わずか3日で読了。ってことは「面白かった」のかな?先が読みたくなることは確かだった。
読みやすいし、探偵役が魅力的だし、グリム童話の要素も詰め込んだミステリーって新しくて面白かった。
最後も爽やかに終わり、莉世の今後が気になったけど、丈の正体が魔女の息子だったり、王様の病気が・・・だったりって、なんか禁じ手だなぁという展開多し。妙に楽しく読み終えたので
★★★★☆
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わたしはどこにも行き場のない人間だ―そう思い悩む女子高校生の莉世は、帰宅途中に大きな帽子をかぶったひ弱そうな少年・丈と出会う。家からほど近い、蕪坂という大金持ちが築いた王国に招かれた丈に同行することになった莉世。ところが中世欧州風に造られたリッフェントローフ城内で、不可解な殺人事件に巻き込まれてしまう。パーティの晩、王が何者かに殺害されたというのだ!王位を巡る権力争いなのか?容疑者はなんと、吸血鬼、狼男、ミイラ男、ゾンビと怪人だらけ。彼らを地下牢に閉じこめたはずなのに、第二、第三の殺人が発生して…。鮎川賞作家・アマン先生が満を持して放つ、“超変”ミステリ!
王国誰
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BLOOD ARM:大倉崇裕

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字も大きくて僅かに通勤時間2日で読み終えた 。内容はミステリー と言うよりも SF 。限界集落も近くにある 山に囲まれた町で何かが起きている 。頻発する地震 、原因不明の停電 、行方不明者の続出 。ガソリンスタンドでアルバイトをしている 沓沢は その夜 、黒岩谷を越えた隣町へ軽トラックでタイヤの配達へ向かう 。そして ひとつの集落が壊滅した恐るべき光景を目撃 。謎の美女 御堂 怜子 とともに 怪物に立ち向かう 。沓沢の祖父 、過去に 思いもよらない秘密が 。という展開だが、とにかく面白くて先に何が起こるかページをめくるのにワクワクした。 とはいえオトナ向けというよりは中学・高校生向けといった趣。

★★★☆☆

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ある山々に囲まれた地方の街で不可解な地震が頻発していた。ガソリンスタンドでアルバイトをしている沓沢の周りでは、奇妙な出来事が次々と起きていた。そして山へ向かった沓沢は、恐るべき現象に遭遇する。
BLOOD ARM

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十三匹の犬:加藤幸子

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犬の視点から書かれていて、その後で飼い主が独白するというスタイルで一家の歴史が時代とともに犬を介して語られる。正直ちょっと読み疲れた。

★★★☆☆

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札幌から北京、そして戦後の東京へ。十三匹の犬たちが語る家族との出会いと別れと一家の歴史。物語の語り手は、一家で飼われてきた歴代十三匹の犬たち。戦前の明るい空気の札幌、戦争中から敗戦後の混乱の中での北京、引揚げ後の米軍の占領に始まる戦後から平成までの東京を舞台に、愛らしい犬だけでなく、臆病な犬、凶暴な犬、殺された犬、様々な犬たちが紡ぎ出す、その犬の一生と家族の歴史。十三章からなる長編小説。

13匹の犬

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骨風:篠原勝之

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鉄の彫刻で知られテレビ出演もあってその風体は良く知ってるゲージツ家の篠原勝之さん。

彼が「文学界」に書いた短編小説と書き下ろし3篇が1冊にまとめたもの。

とにかく驚いたのは文章力。書き留める力はタダモノではない。

殴られ続けていつもおびえて接していた父が死を迎え、骨(粉)となってモンゴルの草原でまかれる表題作「骨風」から、孤独のうちに亡くなった弟との葛藤をつづった「影踏み」まで全部で8編。

身近な死を客観視し、淡々と描写する。周囲の人々もタダモノでは無い人ばかりだし、活写する能力も凄い。

片方の耳が聞こえないうえに嗅覚も失った幼児のときの病気を背負いながら、父親の虐待にも何とか屈せずに生き抜き、でもどこかに「家庭」というものに憧れを抱えてゲージツに打ち込む。僕にはとても真似のできない生き方がそこにあって圧倒された。

★★★★★

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十七歳、家出少年の人生は、挫折、家族解散、借金返済の自転車操業。
愛猫、ビンボー暮らし、ゲージツ、室蘭、深沢七郎、モンゴル草原、青函連絡船、
編み物、ベネチア、父親、どぶろく、スキンヘッド、弟、甲斐駒ケ岳……
老いてなお逃げ続ける脚力で描き切った、崖っぷちの連作集!
文芸誌掲載作から名短篇を集めた『文学2014』アンソロジーに選ばれた
表題作。鉄と戯れ、ゲージツする日々、蜂に刺され鹿が迷いこむ山の生活。
家族と己の生と死を、タフに見つめつづける全8作。
第43回泉鏡花文学賞受賞。
骨風

森笠邸事件:福田栄一

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1週間の通勤時間で読みきり。登場人物も多くなく、屋敷内の事件なので誰が後ろで糸を引いているかはおおよそ検討がつくが、屋敷内に入れない二人が真相に迫っていくところも面白くて、続編としては上出来だと思う。肩の凝らないミステリーとしてお薦め。

★★★★☆

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篠戸市の名家・森笠家で若い男が監禁されていた。男は移送寸前に逃走、広大な敷地で姿を消してしまう。そして、陸の孤島=森笠邸で恐るべき惨劇が!―所長の嶋岡が調査中に階段から転落した事件を機に、姪の美菜子が所長を代行、所員たちの結束も強まり、事務所自体はいい方向に進んでいる。また、嶋岡も徐々にではあるが回復傾向にあった。ところが、以前つき合いのあった地元の名家・森笠家から呼び出しを受けた美菜子は、当主の森笠和史から嶋岡の名誉にもかかわる監禁事件の調査を命じられたのだった…。注目の青春ミステリーの旗手が描く、絶対絶命探偵日常小説!


森笠邸

警視庁外郭団体“犯罪史編纂室”に集まられた“脛に瑕持つ警官達”。電脳世界と言っても過言ではない昨今…空間を飛び交う様々な電子情報を武器に犯罪を未然に防ぐ…千秋が操る“繭”ってX-MANのチャールズが使ってたアレ(ミュータントを探すのに使ってた機械)みたいなモン?等とイメージを膨らませる…刑事ドラマとSF映画を一緒にしてさらに家庭内虐待や電脳世界の危うさ怖さに、ミステリー色をちりばめた様な物語でした。何となくポリスに新藤はからんでいるんだろうなあというのと、りえもひょっとしたらとは思ったものの、まさかの岩崎。キャラクター設定もわかり易く、この時代にマッチした内容でかなり面白く読み終えた。ただ謎解きではないし、敵味方がハッキリしているわけではなく、さらに言えば武志の妻は何故警官を撃ったのか、まだまだ解き明かされない謎が残ったままなので続編があるかも。

★★★★☆

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東京・吉祥寺の雑居ビル。警察庁の外郭団体、犯罪史編纂室。そこに集う面々は、「ちょうかい」、すなわち「懲戒免職」レベルの危険な警官たちばかり。そんな彼らの真のミッション、それは、「これから起こる犯罪を未然に防げ」というものだった。しかし、彼らを束ねるのは、瞬間記憶の持ち主なのに、まさかの鳥頭という、最凶キャリア女子だった―。

ちょうかい

ペンギンのバタフライ:中山智幸

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北島康介の五輪挑戦がある種の爽やかさを運びつつ終わった夜。

今週はこの本を読みました。ほんわかしていながら警句がそこかしこに出て来て、油断なら無い小説だった。

「ゲイルスバーグの春を愛す」「ふりだしに戻る」「ある日どこかで」などの作品で有名なジャック・フィニィへのオマージュといえるような物語が5編。

繋がっているようでいないようで実は繋がっていて、性別も時間も不可思議な作品集。僕は「ふりだしにすすむ」が一番面白く読んだ。

ガツンとはこないがジワッとくるものがあった。

★★★★☆

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あなたの小さな決断が、どこかの誰かを幸せにする――
昔好きだったミュージシャンの事故に巻き込まれて死んだ妻を取り戻すため、佳祐はあの坂道を自転車で逆走して時間を遡ることに成功したのだが。(「さかさまさか」)
「名前をもらってくれませんか」――台風の夜、妻の出産のために訪れた病院で出会ったのは、幼い時に死別した父親だった。(「バオバブの夜)
「ぼくね、きみの生まれ変わり」と白髭の太った老人から言われて……(「ふりだしにすすむ」)
なぜか2年後からメールをくれた彼女の、やっかいな願いごととは。(「ゲイルズバーグ、春」
他人の未来が見えてしまう俺は、自分が神だと思っていたのだが……(「神様の誤送信」)
以上、5つの短編小説が複雑に絡み合って、「バタフライ効果」の如く“奇跡"を生み出していく。あたたかい涙が思わずこぼれる、少し不思議な物語。
ペンギンのバタフライ

虚ろまんてぃっく:吉村萬壱

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今夜放送されたフィギュアスケート世界選手権男子SP羽生君の美しい完璧な演技とは全く対極にある

生理的嫌悪感の強い強烈な短篇集。冒頭の「行列」から何じゃこりゃ。タイトル作の「虚ろまんてぃっく」は最初は読みにくいが、最後の盛り上がりが凄い。「夏の友」は著者の経験かな?。終末小説かと思って読んでいたら、あっと驚かされたのが「歯車の音」。「大穴(ダイアナ)」は性欲しかないわがままな小説家の話。最大の問題作は「家族ゼリー」、冒頭の木村うんぬんからは想像も出来ない状況が徐々に深くなっていく、恐ろしくグロテスクだが、全部を一気に読んでしまった。損したなぁと思いながらも。これは恐るべき短編小説だ。

★★★☆☆

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吉村氏の2005年以降の10の短篇・中篇を一挙収録した作品集。シュールな近未来ものあり、不条理な家族小説あり、不気味で、不穏で、グロテスク、吹き荒れる嵐のように暴走する想像力が、読者を真実の深淵へといざなう。鬼才の筆が炸裂する、圧倒的作品集。

うつろ

ラスト・ワルツ:柳広司

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ジョーカーゲームシリーズ四作目。掛け値なしに面白い!

字も大きいし、2日間で読み終えてしまった。できた順番と逆に掲載されている3作。(ワルキューレは前編と後編あり)

どれもひとつひとつ面白いし、つながりもある。

ワルキューレに出てくる映画監督は早川雪州がモデルだよなあ。とか実在の人物をちょっと重ねてみるのも一興。

結城中佐の過去やD機関以外のスパイも出てくるけど、一つの行動に、二重、三重、四重の意味があるのと。事象をを表から見るか裏から見るか、上から見るか、下から見るか、どこの視点で見るかで全然違うことを示してもいて、スパイものとしては本当にいい。

印象に残ったのは・・・軍人は政治をやりたがり、政治家は戦争をやりたがるが、決してうまくいくことかない。・・・

★★★★★

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シリーズ累計100万部突破の「ジョーカー・ゲーム」シリーズ!

疾走する特急車内、仮面舞踏会、ドイツの映画撮影所――。
加速する頭脳戦、ついに最高潮へ!
日本最高峰のスパイ・ミステリ!

華族に生まれ、陸軍中将の妻となるが退屈な生活に倦んでいる顕子。米大使館で催された仮面舞踏会の会場で、なぜか、ある男のことがしきりに思い出された。目に見えぬ黒い大きな翼を背負っているかのような、謎の男。かつて窮地を救ってくれた彼と、いつか一緒に踊ることを約束したのだった。だが、男のことを調べると意外な事実か浮かび上がり……(「舞踏会の夜」)。 疾走する特急車内。「スパイ殺し」を目的としたソ連の秘密諜報機関“スメルシュ"に狙われるD機関の諜報員を描く「アジア・エクスプレス」、ドイツの映画撮影所で、ナチスの宣伝大臣ゲッベルスと対峙した日本人スパイを描く「ワルキューレ」を収録。

"魔王"の異名を持つ結城中佐が作り上げた、スパイ養成組織"D機関"。
世界各国で展開する"究極の騙し合い"に生き残れ。


ラスト・ワルツ

工作名カサンドラ:曽根圭介

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これは面白かった。尖閣諸島が中国に乗っ取られ、女性総理が誕生した状況という設定。グロテスクな描写から始まって、自衛隊、警察、政治とスケールが大きくなる、総理暗殺という思った以上に壮大なテーマこの陰謀のために知らず知らずのうちにオズワルド役へと誘導されてしまう佐々岡。とある男性の拉致事件を追ううちにこの陰謀に近づいていく刑事の大治郎と嘉子。暗殺は防げなかったものの、犯人に仕立て上げられた佐々岡の脱出劇や大治郎たちの粘り強い捜査、ときどき挟まれる大治郎と娘の掛け合いや大治郎と嘉子のやり取りががホッとさせる。でもなんだか黒幕の謎が解けた気がしなかったし、決して解決したわけじゃないところにもモヤモヤ感が残ったけど、一気読みした。

★★★★☆

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奥多摩山中で、両耳と鼻を削ぎ落とされた男が発見された。警視庁刑事・荻大治郎は、必死に事件に食らいつく。だが事態は、ある“極秘文書”の行方とからみ、日本の政治家やスパイ、ホワイトハウス、元自衛隊の狙撃手までを巻き込んで、激しく、熱く、焦げ臭くなっていく。1億3000万人の日本国民が凍りつく歴史的テロ事件が起きようとしている。それを未然に防ぐことは出来るのか―。気鋭のミステリ作家が放つ謀略小説。渾身の書き下ろし690枚!!

工作名カサンドラ