外道たちの餞別:伊兼源太郎

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今週はコレ。期待しなかったけどスゴく面白くてスイスイ読めた。バイオレンス系で最初はムムッやりすぎかな?と思ったが、どんどん引き込まれていった。

伏線の張り方が巧みで、無駄な会話などなし。人生を病で終わろうとする主人公の会話は意外に深くて会話の伏線や登場人物の存在意義がよく出来ているし登場人物の描き方がみんな魅力的。、ラストの対決シーンはゾクゾクした。

映画になりそうな筋だが、果たして映画化は?

★★★★☆!

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大学に入学してすぐに知り合った南部と門脇は、互いの一風変わった正義感に意気投合した。だが、行きつけの居酒屋で巻き込まれたトラブルが原因で、南部の彼女がいたぶられ死ぬ。しかも二人に突きつけられたのは、その様子を収めた映像をばらまくという脅しだった。一度は屈服せざるを得なかった彼らは、いつか復讐をと願いながら、悪事に手を染めていく。だが、門脇には不治の病による死期が迫っていた…。横溝賞作家、渾身の社会派エンタメ!!

 

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貘の檻:道尾秀介

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2週間かかった!行方不明になっていた女性の死。薬で逃避しようとしていた、男の記憶の中にひそんでいた魔物。ってところで「薬」や「夢」がちょっとわかりにくくてその部分を読み飛ばしても全く平気だった。筋は生まれ育った寒村で起こる不可解な出来事と次第に明らかになる過去の真実。狭いムラ社会の中の、息苦しさと圧迫感、愛する者のため、誰もが少しずつ思い違いをし、連鎖してゆく哀しい罪。という感じで、方言の部分は、読み辛かったけど、中盤からラストにかけての、伏線の回収は見事で、読み応えたっぷりのミステリーでしたが、犯人は君だ!的なノリは期待しないで、だいたいアイツが絡んでいるんだろうなぁというのはきっと読者誰しもが思うに違いない筋立て。 リアリティにはちょっと欠けるけど「昭和の田舎」が堪能できる。

★★★★☆

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真実は「悪夢」の中に隠されている――。幻惑の極致が待ち受ける道尾ミステリーの頂点! あの女が、私の眼前で死んだ。かつて父親が犯した殺人に関わり、行方不明だった女が、今になってなぜ……真相を求めて信州の寒村を訪ねた私を次々に襲う異様な出来事。はたして、誰が誰を殺したのか? 薬物、写真、昆虫、地下水路など多彩な道具立てを駆使したトリックで驚愕の世界に誘う、待望の書下ろし超本格ミステリー!

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惑星の岸辺:梶村啓二

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今年のNO.1になるかも知れない小説らしい小説。よくこんなことが考えられるなあという設定に、静謐で耽美な文章、どこかしらに必ずうならせる文章があり、『人間の存在=他者との記憶の共有』という真理を紡いでいく。だが根底にある喪失感はずっと変わらない。ら物語の底で静かに流れる哀しみがラストでは解き放たれてホッとする。現代版「浦島太郎」の逆バージョンという感じかな。お薦めです。

★★★★★

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宇宙飛行士・甘南備俊介は、木星衛星探査船でのミッション中、太陽面爆発による事故に遭遇する。事故時に人工冬眠に入っていたため、58年9ヵ月後に奇跡的に救出され、地球に生還した。姿かたちは出発時の33歳のままだが、記憶は断片的にしかなく、愛する妻・葵はすでに他界していた。担当医務官、橘ムラサキが彼の復帰を助けるが、訓練が進むうち、甘南備は橘の不思議な挙動に気付く。彼女はいったい何者なのか―。

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茅原家の兄妹:藤谷治

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これも1週間の通勤時間で読了。暑い夏にはホラーだよねというわけで読んだが“衝撃的な結末”があるのだけれど、なんとなくうっすら感じていたようなことだった。「現代への警鐘」とは何を指すのか。過去の人の死の真相は。塔の男は誰なのか。実験、とはいったい何なのか?などなど考えるのは楽しいしが答えは無く、もやもや感満載。新次郎が父親かよ!

★★☆☆☆

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“新潟市一家溶解事件”そして謎めいた“手記”―。大学を卒業して十三年後、交流が途絶えていた友人・茅原恭仁からの招待を受けた「私」は、山間の別荘地にある彼の自宅を訪ねる。恭仁はその洋館で夜な夜な何かの研究に没頭しており、彼とともに暮らしている妹の睦美は、別人のようにかつての快活さを失っていた。恭仁の研究とは何なのか。招待の目的は何か。「私」はこの奇妙な兄妹の謎にからめとられてゆく。織田作之助賞受賞で初戴冠の著者による、奇妙極まる怪異譚にして恋愛譚。

死龍:藤岡真

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今週はコレ。なんだか似た感じのものを読んだばっかりだった気がする。
短めな章分けで場面も人物も複雑・多数、人名の多さがとにかく読みづらくなんだかんだ40人くらいでてきてしかも入れ替わりもあって整理するのが大変だった。
ああ象さんがね!ってあたり本物の死龍の名前がでてきてからは色々と動き出し面白くなったきて、ラストまで盛り上がっていくのかと思いきや、えっ、飯島七瀬ってそんな魅力的な女性に描かれていたっけ?という微妙な展開にビックリ。大鷹は結局どういう役回りだったか消化不良に終わった。

★★☆☆☆
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新宿歌舞伎町で発生した台湾マフィアの抗争事件。
喧噪のなか幹部が警官に射殺され、報復を恐れたその警官はある行動に出たのだが……。
ハードボイルドな悪漢小説の装いにちりばめられた伏線と仕掛けの効いた藤岡マジック!
死龍

五十坂家の百年:斉木美津

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暑い夏にはちょっとヒンヤリするものがいいね。
というわけで、冒頭に4体の骨が家の中から発見される。さてこの4人とは…。というのが3人まではわかってうなづけるけど4人目がなぜか唐突な感じだった。
ちょっと体感温度が下がる気がするのでこの夏にどうぞ。

★★★☆☆
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その朝、双子の老姉妹が手に手をとり崖から飛んだ。葬儀のため集まった家族は、武家屋敷の床下から四体の遺骨とある秘密を掘り起こす…怒涛のカタルシスを呼ぶ、淫靡で切ない長篇ミステリー。
五十坂

ダークシティ:永瀬隼介

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暑い夏に、あんまり考えずにドンドン読めて、なんかスッキリした。
最初はなんだこのクソ野郎はという印象の登場人物だが、ピューリッツアー賞を目指す女性ジャーナリスト涼やガンちゃんこと岩尾が登場するや俄然面白くなり、最後の黒幕との取引まで息もつけないくらいスリルがあった。
うーん、日本政府がカジノ誘致に必死なのは、パチンコ業界ともからんでるんだ。なんてナルホドな状況もそれとなく織り込んで、決して絵空事だけという非現実感で終わらせていない。

★★★★★
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東京の郊外で、警備会社からの現金6億円強奪に成功した翔太だったが、逃走途中に仲間が何者かによって射殺され、現金を奪われてしまう。一夜明け、からくも逃げ切った翔太が目にしたニュースは、仲間の射殺事件だけで、現金強奪事件は報道されないまま。元記者の級友の力を借り、真相を究明しようとする翔太たちの前に、FBI帰りの謎の男が現れる。そんな中、新たな刺殺体が発見され…。翔太が手を出した「6億円」に隠された真実とは。闇社会で蠢く絶対悪の正体とは―。欲望と狂気が交錯する街で繰り広げられる超弩級のサスペンス長篇。
ダークシティ

禁断のスカルペル:久間十義

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今週はこれ!日経新聞に去年の5月まで連載されていたので、ご記憶の方も多いと思いますが、新聞小説なので、次はどうなる!が短い間隔で展開されるので飽きない。
この作者の医療小説はとても安心して読める。
僕の嫌いな官僚の嫌いである部分も良く描かれていてフムフムという感じ。
ただし人間関係の設定がいかにも「小説ですから」で、東子たちの前に立ちはだかる審議官の一人が、交通事故で死んだといわれていた東子の実の父大倉(死んだ母は大倉と不倫関係で東子は非嫡子)だったり、終盤で再婚した元夫の拓馬が中学生になった東子との娘絵里香の移植手術の依頼に来るといった現実では「無い、無い、絶対無い」関係性だが、モノガタリとしては面白い。
場所が東北で、初めが2008年なので、大震災でどうなるかという興味もあって先を読むのが楽しみだった。
臓器移植(主に本作では腎臓移植)の小説は人間模様もハッキリ描けるせいか「ハズレ」が無い気がする。

★★★★☆
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自らの過ちが招いた家族との別離。生きる望みを失った女性医師が流れ着いた東北の病院で目にしたのは、卓抜な技術を持つ医師たちによる、禁断の手術だった。なぜ人は病気の腎臓を移植してまで生きねばならないのか?3・11により、一瞬にして懐かしい人々の命が奪われる過酷な体験を経て、その意味は次第に明かされる…。日経連載時に大きな反響を呼んだ、医療小説の新たな傑作!
禁断のスカルペル
今週はこれを読んだ。いつもならこの書評には掲載しない類だがあえて載せてみる。東北人必見とりわけ会津人必見であろう。戊辰戦争における慶喜と容保、あえて革命の「血祭」にあげられた会津の悲惨さ、その後の冷遇が胸に痛い。「東」「蝦夷」といわれ軽蔑されてきた東北人はどこかで目にもの見せてやりたいところだが、現実はなんとも歯がゆい。それはともかく紀行・歴史が好きな人にはたまらない一冊。
>★★★★☆
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東北は「日本」という国家にとって、まさしく千年の植民地であった。
西の人である司馬が抱えた東北への贖罪意識は、司馬その人の精神の深みに根差したものではなかったか。
震災後、真の復興において根底に敷かれるべき思想を問い続けてきた著者が読み解く、司馬遼太郎の東北紀行。
東北を行く

鬼忘島:江上剛

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金融の入門書でもあり、沖縄離島の観光案内でもあり、伝統紹介でもあり、暴力団もからむのでちょっとハードボイルド的なテイストもあり、最初はムムム?と思ったけどだんだん面白くなってきて、最後はハラハラする捕物劇までそれなりに読めました。
銀行が融資とマネロンで膨らんでいくからくりや、金融庁の内部の話、新興銀行の実態や、沖縄離島の造り酒屋の苦闘、綺麗な島、島の人々の結束。ハッピーエンドっぽい終わりかたではあるが、もうちょっと工夫があっても良かったのにという後味でした。
★★★★☆
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中小企業を餌食にして拡大を続ける銀行・JIB。その死命を制するデータを手に、男は伝説に彩られた沖縄の離島へ逃亡した。必死に男のあとを追うJIB幹部と、結託する凶悪な暴力団。金融庁長官の密命を受けて、捜査官・伊地知耕介も島に向かう。はたして男を救うことはできるのか。極秘のデータとは。静寂な島が修羅場と化していく―経済小説の名手が渾身の筆で描く極限の金融サスペンス!
鬼忘島