茅原家の兄妹:藤谷治

テーマ:

これも1週間の通勤時間で読了。暑い夏にはホラーだよねというわけで読んだが“衝撃的な結末”があるのだけれど、なんとなくうっすら感じていたようなことだった。「現代への警鐘」とは何を指すのか。過去の人の死の真相は。塔の男は誰なのか。実験、とはいったい何なのか?などなど考えるのは楽しいしが答えは無く、もやもや感満載。新次郎が父親かよ!

★★☆☆☆

----------------------------------------------

“新潟市一家溶解事件”そして謎めいた“手記”―。大学を卒業して十三年後、交流が途絶えていた友人・茅原恭仁からの招待を受けた「私」は、山間の別荘地にある彼の自宅を訪ねる。恭仁はその洋館で夜な夜な何かの研究に没頭しており、彼とともに暮らしている妹の睦美は、別人のようにかつての快活さを失っていた。恭仁の研究とは何なのか。招待の目的は何か。「私」はこの奇妙な兄妹の謎にからめとられてゆく。織田作之助賞受賞で初戴冠の著者による、奇妙極まる怪異譚にして恋愛譚。

AD

死龍:藤岡真

テーマ:
今週はコレ。なんだか似た感じのものを読んだばっかりだった気がする。
短めな章分けで場面も人物も複雑・多数、人名の多さがとにかく読みづらくなんだかんだ40人くらいでてきてしかも入れ替わりもあって整理するのが大変だった。
ああ象さんがね!ってあたり本物の死龍の名前がでてきてからは色々と動き出し面白くなったきて、ラストまで盛り上がっていくのかと思いきや、えっ、飯島七瀬ってそんな魅力的な女性に描かれていたっけ?という微妙な展開にビックリ。大鷹は結局どういう役回りだったか消化不良に終わった。

★★☆☆☆
----------------------------------------
新宿歌舞伎町で発生した台湾マフィアの抗争事件。
喧噪のなか幹部が警官に射殺され、報復を恐れたその警官はある行動に出たのだが……。
ハードボイルドな悪漢小説の装いにちりばめられた伏線と仕掛けの効いた藤岡マジック!
死龍
AD

五十坂家の百年:斉木美津

テーマ:
暑い夏にはちょっとヒンヤリするものがいいね。
というわけで、冒頭に4体の骨が家の中から発見される。さてこの4人とは…。というのが3人まではわかってうなづけるけど4人目がなぜか唐突な感じだった。
ちょっと体感温度が下がる気がするのでこの夏にどうぞ。

★★★☆☆
-------------------------------------
その朝、双子の老姉妹が手に手をとり崖から飛んだ。葬儀のため集まった家族は、武家屋敷の床下から四体の遺骨とある秘密を掘り起こす…怒涛のカタルシスを呼ぶ、淫靡で切ない長篇ミステリー。
五十坂
AD

ダークシティ:永瀬隼介

テーマ:
暑い夏に、あんまり考えずにドンドン読めて、なんかスッキリした。
最初はなんだこのクソ野郎はという印象の登場人物だが、ピューリッツアー賞を目指す女性ジャーナリスト涼やガンちゃんこと岩尾が登場するや俄然面白くなり、最後の黒幕との取引まで息もつけないくらいスリルがあった。
うーん、日本政府がカジノ誘致に必死なのは、パチンコ業界ともからんでるんだ。なんてナルホドな状況もそれとなく織り込んで、決して絵空事だけという非現実感で終わらせていない。

★★★★★
--------------------------------------------
東京の郊外で、警備会社からの現金6億円強奪に成功した翔太だったが、逃走途中に仲間が何者かによって射殺され、現金を奪われてしまう。一夜明け、からくも逃げ切った翔太が目にしたニュースは、仲間の射殺事件だけで、現金強奪事件は報道されないまま。元記者の級友の力を借り、真相を究明しようとする翔太たちの前に、FBI帰りの謎の男が現れる。そんな中、新たな刺殺体が発見され…。翔太が手を出した「6億円」に隠された真実とは。闇社会で蠢く絶対悪の正体とは―。欲望と狂気が交錯する街で繰り広げられる超弩級のサスペンス長篇。
ダークシティ

禁断のスカルペル:久間十義

テーマ:
今週はこれ!日経新聞に去年の5月まで連載されていたので、ご記憶の方も多いと思いますが、新聞小説なので、次はどうなる!が短い間隔で展開されるので飽きない。
この作者の医療小説はとても安心して読める。
僕の嫌いな官僚の嫌いである部分も良く描かれていてフムフムという感じ。
ただし人間関係の設定がいかにも「小説ですから」で、東子たちの前に立ちはだかる審議官の一人が、交通事故で死んだといわれていた東子の実の父大倉(死んだ母は大倉と不倫関係で東子は非嫡子)だったり、終盤で再婚した元夫の拓馬が中学生になった東子との娘絵里香の移植手術の依頼に来るといった現実では「無い、無い、絶対無い」関係性だが、モノガタリとしては面白い。
場所が東北で、初めが2008年なので、大震災でどうなるかという興味もあって先を読むのが楽しみだった。
臓器移植(主に本作では腎臓移植)の小説は人間模様もハッキリ描けるせいか「ハズレ」が無い気がする。

★★★★☆
-------------------------------------
自らの過ちが招いた家族との別離。生きる望みを失った女性医師が流れ着いた東北の病院で目にしたのは、卓抜な技術を持つ医師たちによる、禁断の手術だった。なぜ人は病気の腎臓を移植してまで生きねばならないのか?3・11により、一瞬にして懐かしい人々の命が奪われる過酷な体験を経て、その意味は次第に明かされる…。日経連載時に大きな反響を呼んだ、医療小説の新たな傑作!
禁断のスカルペル
今週はこれを読んだ。いつもならこの書評には掲載しない類だがあえて載せてみる。東北人必見とりわけ会津人必見であろう。戊辰戦争における慶喜と容保、あえて革命の「血祭」にあげられた会津の悲惨さ、その後の冷遇が胸に痛い。「東」「蝦夷」といわれ軽蔑されてきた東北人はどこかで目にもの見せてやりたいところだが、現実はなんとも歯がゆい。それはともかく紀行・歴史が好きな人にはたまらない一冊。
>★★★★☆
-------------------------------------------------
東北は「日本」という国家にとって、まさしく千年の植民地であった。
西の人である司馬が抱えた東北への贖罪意識は、司馬その人の精神の深みに根差したものではなかったか。
震災後、真の復興において根底に敷かれるべき思想を問い続けてきた著者が読み解く、司馬遼太郎の東北紀行。
東北を行く

鬼忘島:江上剛

テーマ:
金融の入門書でもあり、沖縄離島の観光案内でもあり、伝統紹介でもあり、暴力団もからむのでちょっとハードボイルド的なテイストもあり、最初はムムム?と思ったけどだんだん面白くなってきて、最後はハラハラする捕物劇までそれなりに読めました。
銀行が融資とマネロンで膨らんでいくからくりや、金融庁の内部の話、新興銀行の実態や、沖縄離島の造り酒屋の苦闘、綺麗な島、島の人々の結束。ハッピーエンドっぽい終わりかたではあるが、もうちょっと工夫があっても良かったのにという後味でした。
★★★★☆
---------------------------------------
中小企業を餌食にして拡大を続ける銀行・JIB。その死命を制するデータを手に、男は伝説に彩られた沖縄の離島へ逃亡した。必死に男のあとを追うJIB幹部と、結託する凶悪な暴力団。金融庁長官の密命を受けて、捜査官・伊地知耕介も島に向かう。はたして男を救うことはできるのか。極秘のデータとは。静寂な島が修羅場と化していく―経済小説の名手が渾身の筆で描く極限の金融サスペンス!
鬼忘島

水族館の殺人:青崎有吾

テーマ:
蒸し暑くて鬱陶しい梅雨に読むにはまずまずの作品。
水族館に行きたくなった。
推理ものとしてもほんとに良く練られていて、最後の最後に真の「動機」の解明もされて、スッキリ!

★★★★☆
---------------------------------------
夏休みも中盤に突入し、向坂香織たち風ヶ丘高校新聞部の面々は、「風ヶ丘タイムズ」の取材で市内の穴場水族館である、丸美水族館に繰り出した。館内を館長の案内で取材していると、サメの巨大水槽の前で、驚愕のシーンを目撃。な、なんとサメが飼育員に喰ついている! 駆けつけた神奈川県警の仙堂と袴田が関係者に事情聴取していくと、容疑者11人に強固なアリバイが……。仙堂と袴田は、仕方なく柚乃へと連絡を取った。あのアニメオタクの駄目人間・裏染天馬を呼び出してもらうために。平成のエラリー・クイーンが贈る、長編本格推理。好評〈裏染シリーズ〉最新作。
水族館の殺人

ギャラリスト:里見蘭

テーマ:
これも1週間もの。重松君を連想しながら読了。
ストーリーは日本画の最後の巨匠の作品がクリスティーズで安くオークションにかけられるところから始まり 画商と絵画投資ファンドの駆け引きがメイン。
そこここに近代までの著名な画家が出てくるので、絵に興味があれば一層楽しめると思う。絵のことなんかカラキシ知らない僕でも、一応村上隆は知ってるしね。
芸術の市場性というか、どうやってえの価値・値段が決まるのか、世界の大金持ちはどんな心持で絵画を求めるのか、日本の閉鎖性とか、もろもろの芸術の世界が垣間見られて面白かった。
ただ主人公の真治がラストにこうなっちゃうのかとちょっと後味が悪かった。
芸術とカネのかかわり、どっちにもかかわらない僕にも興味深かった。
★★★★☆
----------------------------------------
日本画最後の巨匠・門馬岳雲の作品が、クリスティーズのオークションで売り飛ばされた。それも、日本では考えられない安値で。これを契機として暴落する日本の美術市場。仕掛け人は、天才ファンドマネージャー・江波志帆。彼女の狙いはいったい…。グローバル化の波が押し寄せる美術市場で、画商たちの戦いが始まる!
ギャラリスト
これは衝撃的だ。おっそろしく暴力的だが魅了されてしまった。
ほんとに加害者に甘い日本社会だとは思うけど、復讐するにはとてつもないエネルギーと時間が必要で、さらに一人では難しい。それを可能にしたのがこの小説。しかも中学生という設定。
櫂と文稀が最後は和解するのかという甘い期待もすかされて、文稀が回復するのかどうか怪しいラストが待っていて、うまいなぁと感心してしまった。
現実にはとても難しい「いじめ」に対する復讐劇。ある意味スカッとするところあり。恐る恐るですが「お薦め」です。
★★★★☆
---------------------------------
中学3年生の緒方櫂は、従兄妹の未来を奪った加害者に復讐を誓った。自分の左目は見た者を石にする“邪眼”だと称する高橋文稀は、15歳の誕生日に自殺する計画を立てた。夜の公園で出逢った二人は、文稀が死ぬまでの間、櫂の復讐に協力する契約を結ぶ。予行演習として、少年法に守られ罰せられない犯罪者たちを一人ずつ襲っていくが、彼らの制裁は次第にエスカレートしていき―。復讐の意味を問いかける衝撃作。
セカイが