オファーが届く。 | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

オファーが届く。


 パリーヤス・オネでの魂のシーズンが終了しオフに突入 …。

 その間、「続投が決定」していたパリーヤス・オネからまさかの「無言の解雇通告 」を受けチームを失い、行くあてもチャンスも何もないまま、「世界一危険な都市」であるサン・ペドロ・スーラにて、たった1人、孤独な時間を過ごす事となりました(自身の誕生日年越し さえも1人で孤独に過ごした)。


 「この先、一体どうなるのか…?」


 全く先が見えない中で過ごす、孤独な時間…。しかし、過去に世界中で何度となく似たような状況に陥ってきた自分は、不安は当然ありながらも、冷静さだけは失いませんでした。


 「『今やるべき事』『今できる事』を、ただただ全力でやって、あとは天命を待つしかない」


 …こう、開き直っていました。いや、もはや「悟り」の境地に入っていました。



 では、この「今やるべき事」「今できる事」とは一体、何なのか…?

 自分の人脈を手当たり次第にあたって、自らチームへの売り込み?…いいえ、違います。

 僕は長年、世界各国で選手として散々チーム探しを行ってきて、1つ学んだ事があります。

 
 それは…。


 「『自らチームへの売り込み』をして、成功した試しがない。結局、チャンスは意外なところから思いもよらない形でやってくるので、『向こうから声をかけられる』のを待つしかない」


 …という事です。


 しつこい勧誘や強引な訪問販売を想像してみて下さい。その商品の質の良し悪しに関わらず、「向こうから売り込み」をされると人間は無意識の内に「拒否反応」が出て断ります。これをプロサッカーの世界に置き換えると、この状況から契約し成功まで辿り着くのは容易ではありません。「自らチームへの売り込み」を行うとどうなるのか?不当に下に見られる、足元を見られて酷い扱いを受ける、それどころか、門前払いをされて全く相手にすらされない事もしばしば…。これでは、上手くいかないのです(少なくとも自分の場合はそうでした)。交渉のスペシャリストである代理人ならまだしも、僕はそうではありません。


 2009年に母校である立正大学体育会サッカー部の杉田監督からオファーを受けて選手を引退し「GKコーチ」に転向 してからは、選手時代と違って自ら売り込むのではなく、基本、常に「向こうから声をかけられるのを待つ」というスタンスでここまでやってきました。


 しかし「待つ」と言っても、何もしないで待つ訳ではありません。直感で思い付く「今やるべき事」「今できる事」をやりながら待つ…。今回、僕がやったのは、「1人でトレーニングして、いつ呼ばれても大丈夫なようにコンディションだけは整えておく」「ホンジュラスサッカー協会公認GKコーチングライセンスを取得 する」、そして自分が「パリーヤス・オネを退団」した事を知ってもらわないとオファーなど届くはずもないので(第3者は、まだ僕がパリーヤス・オネで働いていると思ってますからね)、「ブログやフェイスブック、ツイッターを通じて『パリーヤス・オネ退団』を発表」…。主に、この3つです。


 あっと言う間に1ヶ月の月日が流れ、オフも終わり、ホンジュラスリーグの全チームがプレシーズンを開始した状況になっても、未だにチームが決まらない…。オファーが届かない…。昨年、レアル・ソシエダを退団してからパリーヤス・オネに入団するまでも待ちに待ちました が、あの時はギリギリ「プレシーズンが始まる前日」にオファーが届いて、何とか滑り込む事ができました。ところが今回は、すでに全チームのプレシーズンが始まっており、どのチームもほぼコーチングスタッフの体制が決まってしまっている…。この状況からオファーが届く可能性は、ほぼ、ない。今回こそは、駄目なのか…?





 諦めかけた、その時…。1本の電話が僕のもとに入ってきます。



 相手は、古巣であるレアル・ソシエダ の会長でした。


 
 「Yojiが必要だから、帰ってきて欲しい」



 …古巣からの、正式なる「獲得オファー」でした。

 
 会長に聞いたところによると、「フェイスブックを通じてYojiがパリーヤス・オネを退団した事を知ってオファーを出した」との事でした。苦しい状況の中でも諦めずに信じて行った「今やるべき事」「今できる事」が、正に的中。その効果を発揮した瞬間でした。



※ここ「万里男」の家(家を1軒、丸々貸してもらっていた )で、古巣レアル・ソシエダの会長から電話で獲得オファーを受けました。

万里男の家!2013年12月

 


つづく



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