使用している用語についての詳細はこちら → 【 用語集 ( Acronyms, Abbreviations & Jargons ) 】
2011年シーズンにその1/3、1/2、2/3、そして終了時点で、
また2012年シーズンにはシーズンを6等分しそのそれぞれの消化時点で
“イメージ”として悪評のすっかり定着してしまったライオンズ救援陣について
果たしてそれは主観的なイメージだけではなく客観的なデータとしてもあらわれているのか、
またそうならば一体ライオンズのリリーフ陣のどの部分のデータが最も悪く
これから集中的に改善していくべきなのかを詳細に見ていきましたが
( ※参照 : 2011年シーズン、48ゲーム消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣 】
2011年シーズン、73ゲーム消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣 vol.2 】
2011年シーズン、97ゲーム消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣 vol.3 & 牧田投手の先発・救援別成績 】
2011年シーズン、全日程消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣 vol.4 & RECAP 】
2012年シーズン、24ゲーム消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.1 】
2012年シーズン、48ゲーム消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.2 】
2012年シーズン、72ゲーム消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.3 】
2012年シーズン、96ゲーム消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.4 】
2012年シーズン、120ゲーム消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.5 】
2012年シーズン、全日程消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.6 (FINAL) & RECAP 】 )
今シーズンも同じ手法を用いて、特にライオンズの救援陣の成績に着目しながら
昨シーズンと同じく24ゲーム(シーズンの1/6)終了ごとに客観的なデータで振りかえり
またそのデータの推移をグラフを用いて示していきたいと思います。
【 防御率について 】 ( ※再掲 )
投手を評価する指標として最も用いられるのが防御率ですが
この指標はある程度1人で長いイニング、連続して打者と対戦する先発投手用の指標であり
かわるがわるマウンドに上がり、人数をかけて失点を防いでいく救援投手にとっては
非常に不適切な指標だと判断し、ここではばっさり切り捨てております。
※失点、自責点ともに打者でいう“得点”-つまり「被得点」-であって
本来は打者と同じように“打点”-つまり「被打点」-のほうがより重要。
さらに言うと、打者の打点がランナーを置いての打席の多い打者に多くなるのと同じように
投手の「被打点」もランナーを置いての登板が多い救援陣に多くなるのもあたりまえで
よってこの投手の「被打点」もデータとして比較して使用するのは意味がない。
だとすれば、ライオンズ救援陣を評価するデータとして何を抽出するか。
・・・答えは代わる代わる打席に立つ、打者用に築きあげられた指標を
投手用にひっくり返して用いること、となります。
【 パ・リーグの各球団および平均データとの比較 】
まずはいつもどおり、パ・リーグ5球団の成績とまたライオンズを含んだリーグ平均の成績、
そしてライオンズ全体・ライオンズ先発陣・ライオンズ救援陣の成績を
ひとつの表の中に様々な指標を使って表示し
その後グラフで 2011年シーズンの最終実績、2012年シーズンの最終実績、
そして2013年シーズンの24ゲーム消化時点、48ゲーム消化時点、
72ゲーム消化時点、96ゲーム消化時点、120ゲーム消化時点、
そして2013年シーズンの最終実績 の順でその推移を追っていきながら
様々に分析していければと思います。
※なお、ライオンズ以外の他チームおよびリーグ平均のデータは
えるてんさんがプロ野球 ヌルデータ置き場にて集計なさったものを利用させていただきました。
この場を借りて改めて心より御礼申し上げます。
それではまず初めに4/25終了時点(=ライオンズ24ゲーム終了時点)での
各チーム、及びライオンズ先発陣/救援陣のデータを表にてご覧いただきたいと思います。
そして続いて、視覚的にわかりやすく観ていただくために
順を追ってそれぞれのデータの推移を折れ線グラフにて観ていただきながら
多少分析を施していければと思います。
< ① WHIP >
まずは、1イニング消化(=3アウトを奪う)間に何個の安打+四球を奪われているかを表すWHIPから。
ライオンズ以外の他のチームがすべからくその成績を悪化させている中で
逆にライオンズは先発陣そして救援陣ともにその成績を
2011年そして2012年の平均どちらと比べても明らかに良化させており
あらためて、ライオンズが今シーズンここまでの24ゲームを16勝8敗と
そのちょうど2/3において勝利を挙げていっている
その一つの大きな要因がここにも明確に表れていると評価できます。
ただし、救援陣の成績、という観点で観ていくならば
ライオンズ全体の成績とその先発投手陣の成績がほぼ同じところにあることから
この先発陣と救援陣の消化してきたイニング数の比率を
9イニングの中に表したグラフの推移を観ていただいてもわかる通り
今シーズンここまでは先発陣が非常に長いイニングを消化し続けている中で
これまでのシーズンと比べてみても特に今シーズンは
救援陣の残した成績がまだまだ"small sample size"の域を出ないことも確かであり
もちろん、できうる限りその素晴らしい成績を継続してほしいと心より願いますが
これまでのシーズンと比べてみても特に今シーズンは
救援陣のこの素晴らしい成績をうのみにせず、
まだまだ注意深くその推移を追い続けていく必要があるといえます。
さて、それでは続いて以下いつも通り、WHIPで全体的に観た成績をもう少し
それぞれの細かい部分に分けて詳細に観ていきながら
ライオンズ救援陣のこの非常に素晴らしいWHIPの中でも
いったいどの部分がもっともその素晴らしさを誇っているのか、
そして一方でそんな素晴らしい成績の中でも
今後の長いシーズンを考えた上で、そのうち
足を引っ張っていく可能性の高い危険な兆候を見せている部分があるのかについて
順を追ってひとつひとつ探っていきたいと思います。
< ② 被打率および被BABIP >
それでは、手始めに被打率およびそれに大きな影響を与える
インフィールドに飛んだ打球の被打率である、被BABIPを観ていきたいと思います。
被打率そして被BABIPにおいて、こちらも上で観たWHIPのデータと同じように
ライオンズは全体、先発陣登板時、救援陣登板時、そのどのデータを観ても
(バファローズのディフェンスを除き)全体的にどのチームもその成績を悪化させている中で
実に対照的に、その成績を急激に良化させていることがよくわかります。
ただし、この被打率やそして特に被BABIPのデータについては
ここまでの2011年および2012年シーズンの最終的なデータを観ていただいてもわかるとおり
経験的に、シーズンの終了する時位にそのデータが蓄積されていけば
その値はどのチームもほぼ同じ点に収束していくことが広く知られていますので
ライオンズの成績も、今後長いシーズンを消化し経過していく中で
疲労やそして相手チームの研究の深化と共にある程度悪化していくことが予想され
そう言った意味では被打率や被BABIPのデータにおける優秀さは
残念ながら一般的にはそのチームのディフェンス、それも特に
投手陣の優秀さをあらわすものと評価することはなかなか困難なのですが
それでも特に2011年の、そしてそこまでではないにせよ
2012年のホークスのディフェンスのように
シーズン終了時点でも一際飛びぬけて優秀な成績を記録することはあるのですから
ライオンズも今後もできうる限りその被打率の優秀さ、
そして被BABIPの優秀さを長く継続していき
シーズン終了時点でもその優秀さを記録として残してほしいと願います。
< ③ 被IsoDおよび(BB+HBP)% >
続いて、2011年および2012年シーズン、そのいずれにおいても
ライオンズリリーフ陣の最大の改善点のひとつであった
被出塁率-被打率で算出される被IsoDと
その総被打席の中に占める四死球数の割合を示す(BB+HBP)%を観ていきますと
(※ (BB+HBP)%はW%として日々のBoxScoreにも選手別に記載しております)
まずは、全体的にどのチームもその成績を悪化させている中で
非常に対照的に、ライオンズの投手陣が全体として優秀な成績を残していることがよくわかります。
ただしそれはライオンズ先発陣が
非常に優秀な成績を残していることに拠るところが非常に大きく
ライオンズ救援陣においては、もちろんリーグ全体として成績が悪化する中ではありますが
それでもまだまだ改善すべきである点であるということは確かであり
今後長いシーズンを消化しリリーフ陣の登板機会が増えていく中で
この四死球数の多さがライオンズのディフェンスの足を引っ張っていく危険性も忘れずに
ライオンズ救援陣は今後も四死球数の更なる、徹底的な減少に向けて取り組んでほしいと願います。
中でも、個人名を挙げて申し訳ないのですが
W%について、ライオンズの他の投手たちが軒並10%以内の成績を残している中で
(※ 被打席数5のみの武隈さんは除く)
22.4%を記録しているデニスさんや20.7%を記録しているランディさんは
安定した成績を残せるように、早くその制球について修正を図ってほしいと願います。
< ④ 被IsoPおよびHR% >
続いて、こちらも2011年および2012年シーズン、そのいずれにおいても
ライオンズリリーフ陣の最大の改善点のひとつであった
被長打率-被打率で算出される被IsoPと
その総被打席の中に占める本塁打数の割合を示すHR%を観ていきますと
ここでは今シーズンここまで、ライオンズリリーフ陣は
どちらも非常に優秀な成績を残していると高く評価できます。
特に被本塁打については昨日4/25 マリーンズ戦で
篤志さんが1本、大石さんが1本と計2本を被弾しましたが
それまではライオンズ救援陣が浴びた本塁打はなんと0本でした。
本塁打以外の長打、つまり二塁打や三塁打についても
IsoPのデータを見る限り、ライオンズ救援陣は
HR%と同じように非常に優秀な成績を残していますから
こちらについても心配する要素は今のところ無いと言ってよく
今後長いシーズンを経過していく中で
当然リリーフ陣の登板機会も増えてくると思いますが
そんな中でも、被本塁打を中心とした被長打について
できうるかぎりこの優秀な成績を継続してほしいと願います。
< ⑤ K%、そしてFIP >
最後に、その総被打席の中に占める三振数の割合を示すK%のデータを示すと共に
総括として、与四死球数・被本塁打数・奪三振数といった
100%投手陣が担うべき成績を防御率に似せて表したFIPという指標のデータを示します。
奪三振率について観ていきますと
上で観た被IsoPおよびHR%と同じように
こちらもライオンズブルペン陣はリーグ上位の優秀な成績を残していることがよく表れています。
ここでは31%の非常に優秀なK%値を誇るランディさんが
そのブルペン陣の優秀な成績を大きく引っ張っていっていると言え
ランディさんは今後、その優秀な奪三振率をできるだけ継続していきながら
一方でその物足りない四死球率をできるだけ早く、改善していってほしいと願います。
最後にFIPについて観ていきますと
ここでもライオンズ投手陣は先発陣、救援陣ともに
リーグの他のチームが軒並みその成績を悪化させている中で
ほんとうに対照的に、1チームだけ先発陣救援陣問わずに
まずまず素晴らしい成績を残すことに成功していると総括できます。
< まとめ >
ここまで今シーズンここまでのライオンズのディフェンスのデータ、それも特に
ライオンズ・リリーフ陣のデータを観てきましたが
結果総括としては
“So far, so good”
このフレーズに尽きると言えます。
もちろんまだまだシーズンの1/6を経過しただけ、それも
ライオンズのリリーフ陣に限って言えば
先発陣が非常に優秀な成績を残しかなりのイニングを消化していることがあり
今後データが蓄積していくにつれ大きく変動する可能性ももちろん留保する必要がありますが
それでもシーズン最初から目を覆わんばかりの非常に物足りない成績を残してきた
2011年シーズン、そして20112年シーズンと比べれば
この“small sample size”の中でもこれだけ優秀な成績を記録してくれたことは
もちろん大きく歓迎できる、非常に喜ばしいことであると高く評価できます。
それでは、最後に今2013年シーズン、24ゲーム(シーズンの1/6)消化時点の
ライオンズ投手陣の生データおよび
そのライオンズ投手陣の分担イニングをそのまま9イニングに凝縮した
“モデルの試合”を構築しそれぞれの安打数、四死球数などの本数、個数を表示したデータ、
そして先発陣と救援陣の残してきた成績を比較しやすくするために
どちらも9イニングを先発陣だけ、もしくは救援陣だけで担当したと仮定した場合の
それぞれの安打数、四死球数などの平均本数、個数を表示したデータを表示し
次回48ゲーム終了時点でも継続してライオンズの投手陣が、リリーフ陣が
優秀な成績を残してくれることを心より願いながら
今回はこのあたりにして終了したいと思います。