データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.6 (FINAL) & RECAP | Peanuts & Crackerjack

Peanuts & Crackerjack

Dedicated to the Saitama Seibu Lions organization and its players, baseball itself, and those who want to know what counts most in a given situation you are in and to make right decisions in a confident manner everytime. May the 'dose of luck' be with you!




使用している用語についての詳細はこちら → 【 用語集 ( Acronyms, Abbreviations & Jargons ) 】

前回エントリーでは得点数及び失点数に着目し
2012年のライオンズについて、長年にわたって続くもはや伝統といっていい

そのオフェンスの素晴らしさとそして逆に
そのディフェンスの拙さ、物足りなさをみていきましたが

その物足りないディフェンスについて、中でもその物足りなさの最大の要因といってもいい
“イメージ”として悪評のすっかり定着してしまっているライオンズ救援陣について

これまでも今シーズン144ゲームを6分割しその各消化時点でそれぞれ

果たしてそれは主観的なイメージだけではなく客観的なデータとしてもあらわれているのか、
またそうならばいったいライオンズのリリーフ陣のどの部分のデータが最も悪く
これから集中的に改善していくべきなのかを詳細に見ていきたいという動機から

2012年シーズンのリリーフ陣の残した成績をデータで示し
ライオンズ先発陣や他チーム投手陣のデータとの比較で観ていくという分析を施してきましたが

今回は2012年シーズンの最終的な総括として
144ゲーム(=シーズンの全日程)終了時点においてその最終的な結果、成績を客観的なデータで振りかえると共に
またそのデータの推移をグラフを用いて示していければと思います。

( ※参照 : 2011年シーズン → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣 vol.4 & RECAP 】
        2012年シーズン、24ゲーム消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.1 】
        2012年シーズン、48ゲーム消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.2 】
        2012年シーズン、72ゲーム消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.3 】
        2012年シーズン、96ゲーム消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.4 】
        2012年シーズン、120ゲーム消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.5 】


【 パ・リーグの各球団および平均データとの比較 】


まずはいつもどおり、パ・リーグ5球団の成績とまたライオンズを含んだリーグ平均の成績、
そしてライオンズ全体・ライオンズ先発陣・ライオンズ救援陣の成績を
ひとつの表の中に様々な指標を使って表示し

その後グラフで2011年シーズンの最終実績 → 24ゲーム消化時点 → 48ゲーム消化時点
→ 72ゲーム消化時点 → 96ゲーム消化時点 → 120ゲーム消化時点 →

そして2012年シーズンの最終実績 の順でその推移を追っていきながら
様々に分析していければと思います。

  ※なお、ライオンズ以外の他チームおよびリーグ平均のデータは
   えるてんさんがプロ野球 ヌルデータ置き場にて集計なさったものを利用させていただきました。

   この場を借りて改めて心より御礼申し上げます。

それでは初めに今2012年シーズン終了時点(=ライオンズ144ゲーム終了時点)での
各チーム、及びライオンズ先発陣/救援陣のデータを表にてご覧いただきたいと思います。
Peanuts & Crackerjack-Lions_relievers2012FINAL_rankings

そして続いて、視覚的にわかりやすく観ていただくために
順を追ってそれぞれのデータの推移を折れ線グラフにて観ていただきながら
多少分析を施していければと思います。


< ① WHIP >


Peanuts & Crackerjack-Lions_relievers2012FINAL_WHIP Peanuts & Crackerjack-Lions_relievers2012FINAL_legends

まずは、1イニング消化(=3アウトを奪う)間に何個の安打+四球を奪われているかを表すWHIPから。

あらためて、シーズン最序盤といえる24ゲーム(全体の1/6)消化時点では
実に1.60近くものWHIPを記録していた、突出してぼろぼろだったライオンズ・リリーフ陣
シーズン後半戦に突入したあたりからめきめきとその成績を良化させはじめ

最終的にはもちろんそれでも値自体はまだまだ悪い水準に留まるものの
何とか1.40を切るまでに大きく良化させてきたことは大きく歓迎してよく

よくぞここまで盛り返してこれたものだと今では非常に感慨深いものがありますが

さて、それでは続いて以下いつも通り、WHIPで全体的に観た成績をもう少し
それぞれの細かい部分に分けて詳細に観ていきながら

ライオンズ救援陣のこのまだまだ高いWHIPの中の、
一体どこに引き続き問題が潜んでいるか
、そして一方で

シーズンが深まるにつれそのWHIPを継続して良化させていくことに成功したのは
そのうちのどの部分が良化したからなのかを順を追ってひとつひとつ探っていきたいと思います。


< ② 被打率および被BABIP >

Peanuts & Crackerjack-Lions_relievers2012FINAL_AVG $Peanuts & Crackerjack-Lions_relievers2012FINAL_BABIP

それでは、手始めに被打率およびそれに大きな影響を与える
インフィールドに飛んだ打球の被打率である、被BABIPを観ていきたいと思います。

被打率そして被BABIPにおいて、最終的な結果を観ても
やはりホークスのディフェンスの頭一つ抜け出た優秀さが目を引きますが
それでも2011年の、圧倒的に突出した優秀さを再現する水準とまでには至らず

この2点の指標における成績が、2013年のホークスではどのように推移していくのか
非常に追っていきたい、興味惹かれる点として残りましたが

一方でライオンズとしては、これもシーズン序盤の、それも
リリーフ陣登板時における突出して物足りない成績があったものの

シーズンを終えてみれば結局はそれでも特に被BABIPについて、そして被打率共に
ライオンズ先発投手陣とまずまず大差ない水準にまとめてきたことをみてもわかるように

やはり被BABIPは投手陣のディフェンスに対する貢献度を測る指標というよりは
どちらかといえば野手守備陣のディフェンスに対する貢献度を測る指標として観たほうが
改めて、より適当である
と言えそうです。

そういった観点から観てみれば

ライオンズの野手守備陣のディフェンスに対する貢献度
他チームと比較してまずまず合格点の水準にはあると評価できるものの

もちろんまだまだ良化させていき、リーグに誇るものへと
どんどんと強化していく余地がじゅうぶんにあることも確かで

もちろん更なるライオンズ野手守備陣のフィールディングの向上をも
2013年以降のライオンズの取り組むべき課題として持ち続けてほしい
と願います。


< ③ 被IsoDおよびBB/9 >

Peanuts & Crackerjack-Lions_relievers2012FINAL_IsoD Peanuts & Crackerjack-Lions_relievers2012FINAL_BB9

続いて、ライオンズリリーフ陣の最大の改善点のひとつである

被出塁率-被打率で算出される被IsoD
9イニング消化(27アウトを奪う)あたりの四球数であるBB/9を観ていきますと

こちらももちろんまだまだシーズン序盤の物足りない成績の蓄積が影響して
ライオンズリリーフ陣の数値自体はまだまだ大きく物足りないものであり続けていますが

シーズン中盤以降その成績を継続して良化させることに成功したことは高く評価してよく

来シーズンこそは是非是非序盤から、いや開幕当初から四死球数を極力奪われないようにしていくこと
明確にライオンズリリーフ陣の最優先課題のひとつに挙げ続けていきつつシーズンを通して継続し

その上で是非、ライオンズ投手陣全体としても
その成績を素晴らしい水準で維持していってほしいと願います。


< ④ 被IsoPおよびHR/9 >

Peanuts & Crackerjack-Lions_relievers2012FINAL_IsoP Peanuts & Crackerjack-Lions_relievers2012FINAL_HR9

続いて、こちらもライオンズリリーフ陣の改善点のひとつである

被長打率-被打率で算出される被IsoP
9イニング消化(27アウトを奪う)あたり被本塁打数を示すHR/9を観ていきますと

ここではライオンズブルペン陣が前回120ゲーム消化時点では
HR/9を上昇させるなど被本塁打について多少気がかりなデータが現れていたものの

結局シーズン終了時点では再度その値を大きく良化させてくることに
成功したことは高く評価していい点であり

結局、被本塁打を中心とした被長打についてもこれまでの指標と同じく
シーズン序盤の突出して物足りない成績中盤以降継続してどんどんと良化していくという
2012年シーズンを通しての推移、という傾向がここでも表れているといっていいでしょう。

ですから、上述の四死球数についての分析とまったく同じ結論となりますが

来シーズンこそは是非是非序盤から、いや開幕当初から本塁打および長打を極力浴びないようにしていくこと
明確にライオンズリリーフ陣の最優先課題のひとつに挙げ続けていきつつシーズンを通して継続し

その上で是非、ライオンズ投手陣全体としても
その成績を素晴らしい水準で維持していってほしい
と願います。


< ⑤ K/9、そしてFIP >

$Peanuts & Crackerjack-Lions_relievers2012FINAL_K9 $Peanuts & Crackerjack-Lions_relievers2012FINAL_FIP

最後に、9イニング消化(27アウトを奪う)あたり奪三振数を表すK/9のデータを示すと共に

総括として、与四死球数・被本塁打数・奪三振数といった
100%投手陣が担うべき成績を防御率に似せて表したFIPという指標のデータを示します。

奪三振について観ていきますと

ライオンズ救援陣はシーズンの最終盤においては残念ながら
その値を多少減少させてきたと観て取れるものの
それでもリーグ上位といっていい水準を誇っているといってよく

また、かたやリーグの中でも最少水準にあると言っていいライオンズ先発陣とは
大きくその特長を異にすることは非常に興味深い点であります。

この、ライオンズ内における先発陣=三振数は比較的少ない/救援陣=三振数は比較的多い という図式は

果たして2013年シーズンも継続していくのか、そして更に言うならば
このある意味極端な対比の図式はチーム編成上の意図を乗せたものなのかどうか
この点についても興味深く追い続けていければと思います。

いずれにせよ、来る2013年シーズンもライオンズ・リリーフ陣は
その誇るべき特長となりつつある三振を継続して数多く奪い続けていってほしい


そう心より願います。

最後にFIPについて観ていきますと

ここでもライオンズブルペン陣は上述の指標の数々と
まったく同じように推移していったことが観て取れますが

一方で、先発投手陣も実はリーグ最低水準の成績に留まっていることも
ライオンズ投手陣全体を観ていく上では非常に気がかりであると言えます。

原因としては、リーグ平均から多少優秀な四球数、そして多少物足りない被本塁打数に加え
何よりリーグ最少クラスの三振数が大きく影響していることが考えられますが

どちらかといえばその三振数の少なさをどうこうしようというよりは

2013年シーズンは先発投手陣も、もちろん救援陣との相乗効果の中で
更に四死球数や被本塁打数を減少させていくことに優先的に取り組んでいってほしい
と願います。


< まとめ >


シーズン序盤で渡辺監督が決断した、

涌井さんの先発投手からクローザーへの配置転換および

その陰に隠れがちではありますが

昨シーズン終盤にリリーフ・エースとして、先発投手が比較的早いイニングに
特に僅差の得点差で走者を得点圏に残して降板した後の緊迫の勝負の数々で

スプリッターを大きな武器に素晴らしい成績を残し続けた篤志さんが
2012年シーズン序盤にはまた2011年シーズン序盤の物足りない篤志さんに逆戻りし

リリーフ陣の構成上、いやライオンズのディフェンス構成上において
クローザーと同等の、いや言うならば最重要ポジションであるといっていい
そのリリーフ・エースのポジションに大きな穴が空いたことを受け

シーズン開始前には先発投手として目されていた
2011年ドラフト1巡目で獲得した才能あふれる十亀さんをそこへと配置したこと


この大きくわけて2点の英断は

もちろんそのポジションにおいて涌井さん、そして十亀さんが
素晴らしい投球を魅せ、素晴らしい成績を収めたことこそ最優先に称賛されるべき
ではありますが

今シーズンのライオンズにとって非常に功を奏した大英断だったと
渡辺監督をはじめとした首脳陣の皆さまに惜しみない拍手を贈りたい
と思います。

(※もちろん、上で挙げた2人ほどの突出した成績を収めるまでには至らなかったものの
  こちらも2010年ドラフト1巡目獲得の大石さんを救援陣に配置したことも
  忘れてはならない首脳陣の素晴らしい判断であったと評価できます)

ただ、それでもやはりライオンズ救援陣の残したどの指標における成績を観ていっても
同じようにシーズン中盤以降継続して良化していくものの
結局は残念ながらシーズン序盤のゴタゴタが最後まで足を引っ張り

ライオンズ投手陣全体としても結局はリーグ最下位水準に留まる
非常に物足りない成績に留まったことは大きな反省点として残り


来る2013年シーズンは今シーズンクローザーを務めた涌井さんが
おそらく先発投手陣へと復帰することでしょうから

昨2011年シーズンにクローザーを務めた牧田さんが
今2012年シーズンに先発投手陣へと復帰した後、クローザーが定まらず
非常に苦しんだこの2012年シーズンの序盤の闘いの轍を踏むことのないよう

2013年シーズンこそは開幕時点から安定したクローザーとリリーフ・エース、
そして安定したブルペン陣を私たちにじゅうぶんに魅せ続けてほしい

心より願います。


それでは、最後に今2012年シーズン終了時点のライオンズ投手陣の生データおよび

そのライオンズ投手陣の分担イニングをそのまま9イニングに凝縮し
“モデルの試合”を構築しそれぞれの安打数、四死球数などの本数、個数を表示したデータ、

そして先発陣と救援陣の残してきた成績を比較しやすくするために
どちらも9イニングを先発陣だけ、もしくは救援陣だけで担当したと仮定した場合の
それぞれの安打数、四死球数などの平均本数、個数を表示したデータ、

更には9イニング内での先発陣と救援陣との27アウトの分担割合の推移を示したグラフを一挙に表示し

来シーズンこそは、シーズン序盤から、そして開幕当初から継続して
安定した成績を残す、誇れるリリーフ陣を魅せ続けてほしいと心より願いながら

今回はこのあたりにして終了したいと思います。


Peanuts & Crackerjack-Lions_relievers2012FINAL_rawdata


Peanuts & Crackerjack-Lions_relievers2012FINAL_InningsEaten