データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.3 | Peanuts & Crackerjack

Peanuts & Crackerjack

Dedicated to the Saitama Seibu Lions organization and its players, baseball itself, and those who want to know what counts most in a given situation you are in and to make right decisions in a confident manner everytime. May the 'dose of luck' be with you!




使用している用語についての詳細はこちら → 【 用語集 ( Acronyms, Abbreviations & Jargons ) 】


7月に入り、そろそろ夏の本格的な訪れを肌でひしひしと感じる時期を迎え
真夏の祭典、オールスター・ゲームがもうすぐそこまで迫ってくる中で

ライオンズも2012年シーズンの72ゲームを終了し
ちょうど全日程の1/2を消化したこととなりました。

ということで、シーズンの1/6を消化した24ゲーム終了時点、そして
シーズンの1/3を消化した48ゲーム終了時点で用いた手法を使い

シーズン1/2消化時点での救援陣の成績を客観的なデータで振りかえると共に
またそのデータの推移をグラフを用いて示していき

“イメージ”として悪評のすっかり定着してしまったライオンズ救援陣について
果たしてそれは主観的なイメージだけではなく客観的なデータとしてもあらわれているのか、

またそうならば一体ライオンズのリリーフ陣のどの部分のデータが最も悪く
これから集中的に改善していくべきなのかを分析していければと思います。

( ※参照 : 2011年シーズン → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣 vol.4 & RECAP 】
        2012年シーズン、24ゲーム消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.1 】
        2012年シーズン、48ゲーム消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.2 】


【 パ・リーグの各球団および平均データとの比較 】


まずはパ・リーグ5球団の成績と、またライオンズを含んだリーグ平均の成績、
そしてライオンズ全体・ライオンズ先発陣・ライオンズ救援陣の成績を
ひとつの表の中に様々な指標を使って表示し

その後グラフで2011年シーズンの最終実績 → 24ゲーム消化時点 →
48ゲーム消化時点 → 72ゲーム消化時点の順で
その推移を追っていきながら様々に分析していければと思います。

  ※なお、ライオンズ以外の他チームおよびリーグ平均のデータは
   えるてんさんがプロ野球 ヌルデータ置き場にて集計なさったものを利用させていただきました。

   この場を借りて心より御礼申し上げます。

それでは初めに7/8終了時点(=ライオンズ72ゲーム終了時点)での
各チーム、及びライオンズ先発陣/救援陣のデータを表にてご覧いただきたいと思います。
$Peanuts & Crackerjack-LionsRelievers20120708a
そして続いて、視覚的にわかりやすく観ていただくために
順を追ってそれぞれのデータの推移を折れ線グラフにて観ていただきながら
多少分析を施していければと思います。


< ① WHIP >


$Peanuts & Crackerjack-LionsRelievers20120708whip

まずは、1イニング消化(=3アウトを奪う)間に何個の安打+四球を奪われているかを表すWHIPから。

5/3時点ではチームごとにかなりの差があったWHIPですが
6/6時点ではその差がだいぶ縮まってきており
7/8時点では更にその差が縮まり、どのチームの成績もほとんど同じ値に収束していきつつありますが

ただその中でもライオンズはその救援陣の突出して物足りない成績に大きく足を引っ張られ
残念ながら多少他のチームより多少悪い成績となっていますね。

そのライオンズ救援陣についてみると、依然として非常に高い値を継続
それがライオンズ全体の成績の足を大きく引っ張っていることは変わらず大きな課題であると言えますが

それでも48ゲーム終了時点、そして72ゲーム終了時点と
多少なりともその成績を良化させていっていることは大きく歓迎すべき点であると言え

続いてWHIPで全体的に観た成績をもう少しそれぞれの細かい部分に分けて詳細に観ていきながら

ライオンズ救援陣のこの高いWHIPの中の、一体どこに引き続き問題が潜んでいるか、そして
徐々にそのWHIPを良化させていったのはそのうちのどの部分が良化していったからなのか
順を追ってひとつひとつ探っていきたいと思います。


< ② 被打率および被BABIP >

Peanuts & Crackerjack-LionsRelievers20120708avg Peanuts & Crackerjack-LionsRelievers20120708babip

それでは、手始めに被打率およびそれに大きな影響を与える
インフィールドに飛んだ打球の被打率である、被BABIPを観ていきたいと思います。

このグラフもチームごとに様々な変動がそれぞれの期間ごとにあり
特にこのシーズン真っ只中の、投手陣に疲労が蓄積される時期に
成績を大きく良化させてきたホークスは一際際立ち
今後どう推移していくかには非常に興味をそそられるのですが、

全体として言えば、2011年修了時の実績がホークスを除き
他のチームはほとんど1点に集まっていたことからもわかるように

特に被BABIPについては、ある程度投手陣がコントロールできる部分もありますが
加えて野手陣の守備の力、そして“一握りの運”に左右される部分も大きいため

基本的に一定のメンバーが守備に就くひとつのチーム内では
打球が数多く打ち返されていき、データが数多く蓄積されていけばいくほど
同じ様な値に収束していくことが知られていますので

ライオンズの先発陣と救援陣との間にまだまだ大きな差が存在することは
ある程度“一握りの運”に左右されていると観てよく

被BABIP、そしてそれと似た推移を示す被打率においてのライオンズ救援陣の物足りない成績は
もちろん今後もライオンズ救援陣の整備が進んでいくことが前提ではありますが
そこまで問題視するべきものではないと言えます。


< ② 被IsoDおよびBB/9 >

Peanuts & Crackerjack-LionsRelievers20120708isod Peanuts & Crackerjack-LionsRelievers20120708bb9

続いて、ライオンズリリーフ陣の改善点のひとつである
被出塁率-被打率で算出される被IsoDと9イニング消化(27アウトを奪う)あたりの四球数であるBB/9を観ていきますと

もちろんまだまだこれまでの悪い成績の蓄積が影響して
ライオンズリリーフ陣の数値自体はまだまだ大きく物足りないものであり続けていますが

ようやく7/8終了時点においてその成績を良化させることに成功したことは
整備がひとつ大きく進んだとある程度高く評価していいと言え

今後も是非継続して“四死球数”を減らしていくこと
明確にライオンズリリーフ陣の最優先課題のひとつに挙げ続けていきながら

その上で是非、どんどんとその成績を良化させていってほしいところですね。


< ③ 被IsoPおよびHR/9 >

Peanuts & Crackerjack-LionsRelievers20120708isop Peanuts & Crackerjack-LionsRelievers20120708hr9

続いて、こちらもライオンズリリーフ陣の改善点のひとつである
被長打率-被打率で算出される被IsoPと9イニング消化(27アウトを奪う)あたり被本塁打数を示すHR/9を観ていきますと

こちらはホークスを除くすべてのチームが、そしてライオンズ先発陣が
明らかにその成績を悪化させていっている中で

ライオンズブルペン陣は被IsoP、HR/9共に非常に大きく良化させ
残念ながらまだ、チームとしては先発陣の成績の足を引っ張っている状態は変わりません

それでも今後に向け、継続して更に良化させていきながら
なんとか先発陣の成績を超え、それをカヴァーするようになってくれる
非常にうれしい限りですね。

今後も変わることなく引き続き“被本塁打を中心とした被長打をどんどんと減らしていき
できればライオンズリリーフ陣の特長となっていくことを楽しみに、期待していきたいところですね。


< ④ K/9、そしてFIP >

Peanuts & Crackerjack-LionsRelievers20120708k9 Peanuts & Crackerjack-LionsRelievers20120708fip

最後に、9イニング消化(27アウトを奪う)あたり奪三振数を表すK/9のデータを示すと共に

総括として、与四死球数・被本塁打数・奪三振数といった
100%投手陣が担うべき成績を防御率に似せて表したFIPという指標のデータを示します。

奪三振について観ていきますと
流石にチームとして素晴らしい成績を誇り続けるホークスには及ばないものの
それでもライオンズ救援陣がそのホークスに次ぐ非常に優秀な成績を残すまでになり

その奪三振率の優秀さと、上で観てきた(まだまだ値自体は物足りない部類に入りますが)
多少改善された四死球率・大きく改善された被本塁打率を中心とした被長打率から

当然のことながらFIPについてもライオンズリリーフ陣は
まだまだ値自体は御世辞にも素晴らしいと言えないものではありますが
その成績を劇的に良化させてきていることは大きく歓迎すべき傾向であると言え

今後も数多くの三振を奪っていき、それを是非ライオンズブルペン陣が誇る
ひとつの大きな、代名詞といえるほどに定着した有名な特長にしていってほしい

そしてそれに導かれるようにFIPの値もどんどんと良化させていってほしいと心より願います。


< まとめ >


前回の【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.2 】において

非常に物足りない成績を残し続けているライオンズ救援陣の大きな原因として
四死球数および被長打数の多さという2点を挙げましたが

今回、シーズンの半分を消化してくる時点においては

程度の差はあれ、また値自体は残念ながらまだまだ水準以下の物足りないものであり続けながらも
それでもどちらも改善させてくることに成功したこと、

更には奪三振数率についてはあと一歩で非常に優秀な部類に入ってくるほどの成績を残したことは

非常に歓迎すべき、そしてとてもうれしい結果であると言えます。

48ゲーム終了時点から24ゲームを経過し、この72ゲーム終了時点において
ようやくとはいえここまで全体的にリリーフ陣の成績を良化させてきた原因としては

1にも2にも涌井さんが復帰し、クローザーとしてどっしりと腰を落ち着けたことで
他の救援投手たちが余計なしごとにアタマを悩ませ、恐れることなく

“苦しむ【チームの柱であり続ける投手】である涌井さんの復活のために、
とにかく少しでも楽な状況を継続していきながら涌井さんまでつないでいこう”というスローガンのもと

自分自分のこなすべきしごとに最大限集中できるようになったことが挙げられますから

改めて、クローザーというポジションは長い間そのチームで実績を積んできたという
安定感から来る信頼こそがまず第一の条件であって

今現在、投球自体はもしかするとクローザーより素晴らしいものを継続していても
まだまだ長年にわたって実績を積み重ね、チームの信頼をがっちりと掴むまでには至っていない

若い優秀なリリーフ投手たちはその前で、ゲームにおいて最もLeverage Indexの高い場面に登板し
そこで未然に大きな危機を防ぎ続けるという役割を担うことがベストなのだということが分かりますね。

まだまだ今シーズンも折り返し地点を過ぎたばかり、
今後の更なるブルペン陣の整備と、リリーフ陣の活躍と成績の向上と
もちろんライオンズのディフェンスの改善のためには必要不可欠であり続けることは変わりないと言え

今後も更にライオンズ救援陣の成績がどう変動していくのかを
もちろん大きく改善していくことを心より願いながら興味深く、追い続けていければと思います。


それでは、最後に7/8終了時点のライオンズ投手陣の生データおよび

そのライオンズ投手陣の分担イニングをそのまま9イニングに凝縮し
“モデルの試合”を構築しそれぞれの安打数、四死球数などの本数、個数を表示したデータ、

そして先発陣と救援陣の残してきた成績を比較しやすくするために
どちらも9イニングを先発陣だけ、もしくは救援陣だけで担当したと仮定した場合の
それぞれの安打数、四死球数などの平均本数、個数を表示したデータ、

更には9イニング内での先発陣と救援陣との27アウトの分担割合の推移を示したグラフを一挙に表示し

今回はこのあたりにして終了したいと思います。

次回は96ゲーム終了時点(シーズンの2/3消化時点)を予定しております。



Peanuts & Crackerjack-LionsRelievers20120708b


Peanuts & Crackerjack-LionsRelievers20120708innings