データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.2 | Peanuts & Crackerjack

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使用している用語についての詳細はこちら → 【 用語集 ( Acronyms, Abbreviations & Jargons ) 】


6月に入り、交流戦も折り返し地点を過ぎるとともに
梅雨の声、そして夏の声が徐々に聞こえだす時期を迎え

ライオンズも2012年シーズンの48ゲームを終了し
ちょうど全日程の1/3を消化したこととなりました。

ということで、シーズンの1/6を消化した24ゲーム終了時点で用いた手法を使い
シーズン1/3消化時点での救援陣の成績を客観的なデータで振りかえると共に
またそのデータの推移をグラフを用いて示していき

“イメージ”として悪評のすっかり定着してしまったライオンズ救援陣について
果たしてそれは主観的なイメージだけではなく客観的なデータとしてもあらわれているのか、

またそうならば一体ライオンズのリリーフ陣のどの部分のデータが最も悪く
これから集中的に改善していくべきなのかを分析していければと思います。

( ※参照 : 2011年シーズン → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣 vol.4 & RECAP 】
        2012年シーズン、24ゲーム消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.1 】


【 パ・リーグの各球団および平均データとの比較 】


今回は多少順番を入れ替え、ライオンズ投手陣の残した成績についてその先発陣と救援陣との
比較の詳細データについては最後にまとめて観ていただくとして

まずはパ・リーグ5球団の成績と、またライオンズを含んだリーグ平均の成績、
そしてライオンズ全体・ライオンズ先発陣・ライオンズ救援陣の成績を
ひとつの表の中に様々な指標を使って表示し

その後グラフで2011年シーズンの最終実績 → 24ゲーム消化時点 → 48ゲーム消化時点の順で
その推移を追っていきながら様々に分析していければと思います。

  ※なお、ライオンズ以外の他チームおよびリーグ平均のデータは
   えるてんさんがプロ野球 ヌルデータ置き場にて集計なさったものを利用させていただきました。

   この場を借りて心より御礼申し上げます。

それでは初めに、6/6終了時点(=ライオンズ48ゲーム終了時点)での
各チーム、及びライオンズ先発陣/救援陣のデータを表にてご覧いただきたいと思います。
$Peanuts & Crackerjack-relief12060604
そして続いて、視覚的にわかりやすく観ていただくために
順を追ってそれぞれのデータの推移を折れ線グラフにて観ていただきながら
多少分析を施していければと思います。


< ① WHIP >

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まずは、1イニング消化(=3アウトを奪う)間に何個の安打+死球を奪われているかを表すWHIPから。

5/3時点ではチームごとにかなりの差があったWHIPですが
6/6時点ではその差がだいぶ縮まってきていますね。

ただし、ライオンズ救援陣についてみると、依然として非常に高い値を継続
それがライオンズ全体の成績の足を大きく引っ張っていることは変わらず大きな課題であると言えますね。

それでは、続いてWHIPで全体的に観た成績をもう少しそれぞれの細かい部分に分けて詳細に観ていき、
ライオンズ救援陣のこの高いWHIPの中の、一体どこに問題が潜んでいるかを探っていきたいと思います。


< ② 被打率および被BABIP >

Peanuts & Crackerjack-relief120606avg Peanuts & Crackerjack-relief120606babip

それでは、手始めに被打率およびそれに大きな影響を与える
インフィールドに飛んだ打球の被打率である、被BABIPを観ていきたいと思います。

特に被BABIPについては、ある程度投手陣がコントロールできる部分もありますが
加えて野手陣の守備の力、そして“一握りの運”に左右される部分も大きいため

基本的に一定のメンバーが守備に就くひとつのチーム内では
打球が数多く打ち返されていき、データが数多く蓄積されていけばいくほど
同じ様な値に収束していくことが知られていますので

多少その差が縮まったとはいえライオンズの先発陣と救援陣との間に
まだまだ大きな差が存在することはある程度“一握りの運”に左右されていると観てよく

被BABIP、そしてそれと似た推移を示す被打率においてのライオンズ救援陣の物足りない成績は
もちろん今後もライオンズ救援陣の整備が進んでいくことが前提ではありますが
そこまで問題視するべきものではないと言えます。


< ② 被IsoDおよびBB/9 >

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続いて、被出塁率-被打率で算出される被IsoDと9イニング消化(27アウトを奪う)あたりの四球数であるBB/9を観ていきますと

まずひとつここに、ライオンズリリーフ陣の改善点が観られますね。

5/3終了時点でもリーグ最低水準の非常に物足りない成績だったものが
改善の兆しをみせるどころか、さらにまた大きく悪化しており
ライオンズ投手陣全体の成績の足を大きく引っ張っていることは非常に懸念すべき傾向で

今後いかにこの“四死球数の多さ”を減らしていくか
明確にライオンズリリーフ陣の最優先課題のひとつに挙げ続けていってほしいところですね。


< ③ 被IsoPおよびHR/9 >

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続いて、被長打率-被打率で算出される被IsoPと9イニング消化(27アウトを奪う)あたり被本塁打数を示すHR/9を観ていきますと

ここでも上の被IsoD及びBB/9と同じように
5/3終了時点でも突出してリーグ最低水準の非常に物足りない成績だったものが
改善の兆しをみせるどころか、さらにまた大きく悪化しており
ライオンズ投手陣全体の成績の足を大きく引っ張っていますから

今後いかにこの“被本塁打を中心とした被長打の多さ”を減らしていくかもまた
明確にライオンズリリーフ陣の最優先課題のひとつに挙げ続けていってほしいですね。


< ④ K/9、そしてFIP >

Peanuts & Crackerjack-relief120606k9 Peanuts & Crackerjack-relief120606fip

最後に、9イニング消化(27アウトを奪う)あたり奪三振数を表すK/9のデータを示すと共に

まとめとして、与四死球数・被本塁打数・奪三振数といった
100%投手陣が担うべき成績を防御率に似せて表したFIPという指標のデータを示します。

奪三振についてはそれが多くても少なくとも、
かたや高い値を記録し続けるホークス投手陣、かたや低い値を継続するファイターズ投手陣といったように

それはそれそれのチームの投手陣の特徴として観ることができ
つまりはそれが大きくそのチームの投手陣の成績を左右するものではない、ということが
グラフから観てとれますね。

そして、最後にFIPのデータを見ると
ここまで観てきたように、奪三振数はある程度リーグ平均値に近い値を記録しながらも
与四死球・被本塁打数でいずれも突出して物足りない値を記録してきたため

当然ではありますがライオンズ救援陣の成績は突出して悪く、
また5/3時点から改善の兆しを魅せるどころか逆に更に悪化しており

その成績に大きく足を引っ張られてライオンズ投手陣全体としても
リーグ最低水準の非常に物足りない成績を残すこととなっております。


< まとめ >

このように主に四死球数および被長打数のおかげで
非常に物足りない成績を残し続けているライオンズ救援陣ですが

そのひとつの対策として、ライオンズ救援陣の投げるイニング数を減らし
その分ライオンズ先発陣の投げるイニング数を増やすということも考えられます。

ただ、以下グラフで9イニング内での先発陣と救援陣との27アウトの分担割合を示しますが
$Peanuts & Crackerjack-relief120606inning

どれだけ先発陣が優秀でできるだけ長いイニングを消化し続けていっても
結局平均2 1/3イニングは継続して消化し続けていることには変わりないのですから
基本的にその対策、考え方は非常に無理があることは明白です。

ですから、結局はあたりまえの、そして長年同じように挙げ続けてきた対策、
つまり救援陣の再建、それも何にも増して四死球数・被長打数を減らすことしか
このライオンズのディフェンスを改善していく方法はない、ということになります。

ちょうど今日6/7にライオンズのフロントオフィスは
シーズン途中の補強第一号として、Ortiz選手の獲得を発表しましたが

それはつまり、優秀なオフェンスでもって何とか物足りないディフェンスを、
それも特にリリーフ陣をカヴァーしていこうというメッセージを発信したということです。

今の私にとって、この補強はこれまでの編成陣の手法を踏襲したものとしか捉えることができず
もし編成陣のしごとがこれだけで終わるのであれば、

本質的な問題解決にはならずただ単に問題を先送りしただけで、
まだまだなかなか“安定して”優勝争いをするチームを構築するまでには遠いと観て取れ
少なくともその方針や意図を今、外から理解することは非常に困難であります

ただ、おそらくこのブルペン陣の再構築が最大の、そして最優先の“眼の前の”課題だと
他の誰よりも重々理解しているであろうライオンズ編成陣が

それでもこれまでと変わらず、ある意味頑固に自分たちの方向性を貫き、
周りの声などに左右されず、ひたすら我が道を堂々と自信を持って進んでいくというその姿勢は
結果がどう転ぶにせよ、素晴らしいトップの意思決定だと一定の評価をしたいと思います。

トップは、特にある程度数年単位での中長期的範囲で、チーム全体として、
安定的に優秀な成績を残していくことがしごとのフロントオフィスのトップは

途中経過がどういう風に推移していき、そこでどれだけ批判を受けようとも
変わらずに自分の方針を信じ続け、貫き続けるべきで
年単位での最終結果のみで評価されるべきポジションです。


観戦しそして手元にあるデータを分析する“今、ここにいる”私には
この動きはもちろん理解の範疇を超えるものですが

どうか今シーズンが終了した後、また数年後に
ライオンズのディフェンスがどんどんと誇れるものへと改善されていき

その“近い将来”にいる私が、あの時の動きにはこういった意図、方針があったのだと
敬意と驚嘆と感動と共に深く分析できることをただただ願うばかりです。


それでは、最後に6/6終了時点のライオンズ投手陣の生データおよび

そのライオンズ投手陣の分担イニングをそのまま9イニングに凝縮し
“モデルの試合”を構築しそれぞれの安打数、四死球数などの本数、個数を表示したデータ、

そして先発陣と救援陣の残してきた成績を比較しやすくするために
どちらも9イニングを先発陣だけ、もしくは救援陣だけで担当したと仮定した場合の
それぞれの安打数、四死球数などの平均本数、個数を表示したデータを一挙に表示し

今回はこのあたりにして終了したいと思います。

次回は72ゲーム終了時点(シーズンの1/2消化時点)を予定しております。



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