ひとりぼっちのウォークマン -20ページ目

カイユボット「パリの通り、雨」

これは映画の一場面を描いたものなのか、


パリの街角のようだが、

すっきりとして、とても都会的な絵だ。


まず、石畳の路面に驚かされる。

光が反射して、

なんて美しいのだろう。

カイユボット「パリの通り、雨」

そして、腕を組んだ素敵な紳士、淑女は、

これからどちらへ。


観劇? それともお食事?


街も、洗練されていて、

とても美しい。


雨は描かれていないようだが、

傘をさしている、


傘もファッションの一部なのかもしれない。


また、

皆んな、黒い服に、黒い傘、


カイユボットは、この絵の中に

いろいろな色を入れたくなかったのだ。


なるほど・・・・・


とてもシックで落ち着きのある、

そしてお洒落な絵だ。


カイユボットのセンスの良さに脱帽。


今晩の

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、

この街角を歩きたい・・・・




カイユボット「床に鉋をかける人々」

これは写真なのだろうか。

まるで、

カメラのレンズを通して見ているような・・・・

そんな錯覚に陥ってしまう。


この絵は部屋の床を削る3人の男を描いた

カイユボットの「床に鉋(カンナ)をかける人々」

である。

カイユボット「床に鉋をかける人々」

しかし、

この絵からは写真にはない「温もり」が伝わってくる。


板の質感、

削られた板と、まだ削られていない板、

あちこちに散らばったカンナくず、


3人の男たちの鍛え上げた柔らかい筋肉、


描写の1つ1つが、とてもリアルだ。



そして、季節は夏なのだろうか。


汗を拭きながら、

蒸し暑い部屋で床を削る音と、

男たちの息遣いが聞こえてくる。


この絵には、

今まで観てきた絵とは違った面白さがある。


それは現実味を帯びた臨場感だ。


そして、端の方に置かれた一本のボトルも、

これは、ワインか、それとも・・・・


今晩の

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、

この仕事場で共にワインを・・・・





ミュシャ「ヤロスラヴァの肖像」

ミュシャの絵はポスターばかりでなく油彩画も多い。


いままで観てきたポスターとは一転して、

装飾的な要素はなく、


ミュシャの精神がそのままキャンバスに、

表されたものが多い。


この絵は25歳の娘を描いた

「ヤロスラヴァの肖像」である。


ヤロスラヴァの肖像


それにしても、なんと強烈な視線なのだろう。


美しく凛とした芯のある女性を描いているが、

少年のようにも見えてくる。


両手を顎に乗せ、

真直ぐ前をみつめる彼女の眼差しは、

何か強い意志を感じさせる。


この目で何を訴えているのか・・・・


何を語りたいのか・・・・


頭にはチェコの民族衣装の白い布を巻いて、

祖国チェコを守る女神のようだ。


これは、ミュシャの祖国愛の表れか。


しばし、この場に立ちつくしてしまう程だ。


今晩の

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、

ミュシャの祖国チェコへ・・・・





ミュシャ「椿姫」

この絵は舞台女優サラ・ベルナールが主演した

「椿姫」のポスターとして

ミュシャが描いたものである。


19世紀フランスで、

あの有名になった「椿姫」は

名門の青年と高級娼婦マルグリットの

純愛を描いたものだが、


その純愛は青年の父親によって引き裂かれて

悲恋となってしまうのである。

ミュシャ「椿姫」

なんと、優美で華やかなポスターなのだろう。


主人公のマルグリットは白い椿を好んだことから

椿姫と呼ばれていた。


ポスターの中で女優サラの周りには、

きらめく星が散りばめられ、

恋人を想う乙女心を現してか、

幻想的な雰囲気が漂っている。


しかし、上部には、

イバラが絡みつくハートが描かれている。


やがて訪れる悲しい結末を予感させているのか。


ポスターは隅々まで観ると、

いろいろなことが発見できて面白い。


今晩の

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、

この舞台を観劇に・・・・





ドラクロワ「ミソロンギの廃墟に立つギリシア」

この瓦礫の上に立つ女性は何者なのだろう。


「もう・・・ 

おしまい・・・・  !!」

とでも、叫んでいるかのように見える。


この絵は

トルコのオスマン帝国に全滅にされたギリシャを

描いている。


いわゆる、ギリシア独立戦争である。


中央に描かれる悲愴な表情を浮かべる若い女性は

ギリシアを象徴したものである。


ミソロンギの廃墟に立つギリシア

ここはステージの上で、

美しい女優が血のついた瓦礫の上に立ち、

何かを訴えているかのような・・・・・


そんな舞台の一場面でも観ているような錯覚に陥る。


涙を浮かべ両手を広げ、あられもない姿で、

どうすることも出来ない絶望感を表している。


こんなに美しい女性までもが、このように・・・・・・

戦争とは、全てを狂わしてしまうのか。


右側の奥にはオスマン帝国の兵士が

三日月の帝国旗を上げて勝ち誇っているかのようだ。


女性の左膝の瓦礫の下にあるのは

戦死したバイロンの右腕ともいわれている。


ドラクロアは

英国出身の詩人バイロンをとても尊敬していた。


バイロンは

オスマン帝国の支配に抵抗していたギリシャを、


強く支持し、この戦争に参加し、

この地ミソロンギで戦死してしまった。


・・・・・


ドラクロアの深い、深い悲しみが伝わってくる。


今晩の

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、

この激戦の地ミソロンギへ・・・・





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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ドラクロワ「アルジェの女たち」

前回のピカソ「アルジェの女たち(バージョン"O")」

の元となった

ドラクロア「アルジェの女たち」を取り上げる。


この絵はアルジェリアの首都アルジェの

ハーレムに住む女性たちを

描いたものである。

ドラクロワ「アルジェの女たち」

独特の雰囲気を漂わせている3人の女性、

何をしているのだろうか。


手前には水タバコが置いてあり、

無表情で何となく気だるそう、


ジメッとした湿気も伝わってくる。


あまり幸福そうには見えない。


しかし、左上から差し込むアルジェりアの太陽の光が、

窓もないこの暗い部屋に、

唯一の希望の光のように差し込んでいる。


その光によって、女性の洋服の赤い色、白、

スカーフのオレンジ色やパンツのグリーンが、

浮き立って見える。


とてもカラフルだ。


この色だけが救いのようにも見える。


ドラクロアは狭く暗い部屋に

差し込む光に照らされて浮かび上がった、

女性たちが着ている衣装の

色彩の美しさに目を奪われたのかも知れない。


今晩の

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、

このハーレムに再び・・・・





ピカソ「アルジェの女たち(バージョン"O")

なんと綺麗な絵なのだろう。

鮮やかな色と、鋭角な線が魅力的だ。


でも、それだけではない、

なぜか、見入ってしまう。


この絵は

ピカソの

「アルジェの女たち(バージョン"O")」である。

ピカソ「アルジェの女たち)」

ドラクロアの描いた「アルジェの女たち」を

モチーフとして描いている。


ここはハーレムというから、

女性だけの特別な部屋なのだろう。


でも、この絵からハーレムは想像しかねる。

カラフルで明るく楽しい女性の園のような・・・・・


どこからか音楽も聞こえてくるようで、

楽しい気持ちにもなれる。



これはピカソだからこそ、出来ることかも知れない。


ピカソは、

他の画家からモチーフを借りて、

また、別の世界を広げてしまう。


すごいことだ。


そんなピカソが私を惹きつける。


今晩の

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、

このハーレムを覗いてみたい・・・





マネ「鉄道」

この絵のタイトルは「鉄道」、

なのに鉄道らしきものはない。


鉄柵の向こうに白い煙が見えるが、

そこに蒸気機関車が・・・・・

きっと。

マネ「鉄道」

発車の瞬間でも見ようと

駆け寄ってきたのだろうか、

鉄柵に把まって向こうを見ている少女がいる。


当時、化け物?のような蒸気機関車は

珍しく、ちょっと怖い、でも夢のある、

好奇心ワクワクの乗り物だったのだろう。


婦人の膝の上では、

子犬が気持ちよさそうに眠っていて、


読書をしていたと思われる婦人は、

何かに気付いたように、顔を上げている。


誰かに声をかけられたのか・・・・・


誰かが通っただけなのか・・・・・


何でもないことなのかもしれない。


今晩の

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、

このベンチで・・・





モネ 「ヨーロッパ橋、サン・ラザール駅」

この白いモクモク? は、

何だろう。


蒸気か、煙か、


まるで街中を、

このモクモクで覆ってしまっているかのように。


これはフランスのサン・ラザール駅を描いた

モネの「ヨーロッパ橋、サン・ラザール駅」である。

モネ 「ヨーロッパ橋、サン・ラザール駅」

正面に見える大きな建物がサン・ラザール駅で、


右には、多くの画家によって描かれた

ヨーロッパ橋、


左手前には蒸気機関車が見える。


この現場は蒸気、煙に包まれ、

そして機関車のけたたましいゴオーという

爆音と振動が、

鳴り響いているのだろう。


絵の前に立っているだけで、

熱気と振動、音が伝わってくる。


すごい迫力で。


モネは、この駅のとりこになってしまっていたのだ。

だから、

見るたびに違うこの情景を何枚も描き残した。


これが「サン・ラザール駅」の連作

となったのである。


今晩

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、

今も残るサン・ラザール駅へ・・・




モネ「睡蓮」1930年

モネは、同じ題材で沢山の作品を残している。

その代表的なものが睡蓮だ。


この「睡蓮」は1903年に描いたものである。


モネ「睡蓮」

今まで見てきたモネの「睡蓮」とはちょっと違う。


薄ぼんやりと霞んだ「睡蓮」ではなく、

なんと透明感のある鮮やかな青なのだろう。


これはこれで、とても美しい。


そして、水面には木々の緑を、

こんなにも映しているのだから、


水も澄んでいるのだろう、

空も青く・・・


この絵を描いた季節は、

陽の光が明るい、今頃かもしれない。


モネはこの場所で、

見逃したくない沢山の場面に出会って、

その瞬間を捉えていたのだろう。


それはモネにとって

最高に幸せな時間だったに違いない。


今晩の

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、

ジヴェルニーのこの青い池に・・・・