渋谷。
大食漢の仲間と集まり、今日は完全に割り切ったうどんのチートデイです。
3年連続ビブグルマンという肩書きに加え、海外の方がわざわざ日本のうどんを食べに来るというテレビ番組を観て、これは一度体験しておかねばと思い、足を運んだのが香川一福ARTです。
店に入った瞬間、いわゆる“うどん屋”の文脈とは少し違う空気を感じました。
打ち立て、切り立て、茹で立てという王道は押さえつつ、空間はどこかモダンで洗練されており、外国人客が多いのも自然に馴染んでいます。うどんというローカルフードを、きちんと世界に向けて開いている印象です。
まずは肉ごぼうぶっかけ。
麺はエッジが立ち、箸で持ち上げた瞬間にその強さが伝わってきます。噛めば反発があり、そこから小麦の甘みがじわりと広がります。甘辛く炊かれた肉は主張しすぎず、香り高いごぼうが全体に土っぽい奥行きを与えています。ここにバターを加えると、出汁と肉の旨味を包み込むようにコクが増し、和の料理が一気に多国籍な表情を見せるのが印象的でした。
生姜焼きうどんは、完全に攻めの一杯です。
生姜の鋭さが最初に立ち、その後から甘辛いタレと油分が追いかけてきます。うどんでありながら、どこか定食的な満足感があり、身体が内側からじわっと温まります。チートデイという言い訳が、ここでしっかり肯定される感覚です。
海老天たまごあんかけうどんは、安心感と完成度の象徴のような存在でした。
ぷりっと揚がった海老天、出汁の効いた餡、卵の柔らかな丸み。それぞれが主張しすぎず、麺をすするごとに一体感が増していきます。派手さはありませんが、こうした一杯があることで全体の満足度が確実に底上げされます。
そしてブラックカレーうどん。
スパイスはしっかり立ちながらも重すぎず、後味に嫌な残り方をしません。麺に絡むカレーの粘度も計算されており、最後まで勢いが落ちない仕上がりです。ここで合わせたハイボールが驚くほど良く、炭酸のキレとウイスキーの苦味がカレーの余韻を心地よく断ち切り、自然と次の一口を呼び込みます。これは明確に相性の良い組み合わせだと感じました。
うどんでここまで振り幅を持たせながら、なおかつ芯がぶれない。
海外の方がわざわざ食べに来る理由も、ビブグルマンを取り続ける理由も、すべてが腑に落ちました。
満腹でありながら、妙に軽やかな余韻が残る、そんな一日でした。



















