今年の暑い夏は、昆虫達にもダメージが及んでいる模様で、トンボもあまり見かけません。
元気よく飛んでいるのは、補虫ネットで捕獲したこやつ位なものです。
まあ、このトンボも、狭義の意味では、外来種トンボではあるのですが。
これはウスバキトンボ
一見すると、未成熟のアカトンボのように見えますが、赤とんぼとは違う種類です。
この長大な翅で、遙か南の東南アジアから、こちらへ渡ってきた恐るべき飛翔力を持つトンボです。
軽い身体で、海上に止まって休む事もあるようです。
指に噛みついたトコ。
正直、クワガタに挟まれている立場からすれば、更にオニヤンマとかに噛まれた体験を持つ者にとっては、さしたダメージではないですが、はるばる長い距離を渡ってきた神秘のトンボを捕まえるなんて無粋な事をやった訳なのでこの位は仕方ないと思って噛ませるに任せました。
とはいえ、故郷から北上して分布を拡げたと思ったら、寒くなった途端、すぐに死滅してしまうこのトンボには、なんともいえない畏敬のようなものも感じたりします。
ウスバキトンボ Pantala flavescens
節足動物門 昆虫網 均翅目 不均翅亜目 トンボ科
熱帯アジア原産のオレンジがかった黄色いトンボで、体長50mm内外となり、身体の割に大きな複眼を持ち、同じように大きな翅を拡げると80mm内外となる。御盆や初夏の頃に現れ、空を飛び回る光景をよく見る事から「精霊蜻蛉(ショウリョウトンボ)」「佛蜻蛉(ホトケトンボ)」とも呼ばれる。
世界で最も分布が広いトンボとも云われ、熱帯、温帯域に広く生息し、日本でも八重山諸島で発生している。夏や秋にかけて空を飛び回り、長大な翅によって長距離・長時間の飛行を可能にしている。成熟すると腹部が赤くなるが、科目で同じトンボ科というだけで、アカトンボの仲間では無い。
死滅移動する事でも有名で、羽化した成虫は翅の強さで長距離飛行をして、海上を渡り、北上して分布を拡げ、成長も非常に早く、熱帯では一ヶ月ほどでトンボに羽化するが、水温4度以下では幼虫も成虫も死滅してしまい、日本国内でも八重山諸島以北では定着出来ないが、そうなっても毎年発生しては、死滅移動を繰り返すその生態システムには、未だに解明されていない謎が多い。