抑鬱亭日乗 -4ページ目

抑鬱亭日乗

複数の精神疾患を抱える者の独言を忌憚なく収録する
傾いた視線からこの世はどのように見えるのか

 京都の地方紙を購読している。

 紙面の端にカラーで顔写真が印刷されている。

 桂小枝に似た60代のオッサンである。

 

 その記事を読むと、中学生の時の英語の先生ではないか。

 校長を務め、定年退職は隠居生活を送っているものと思っていたが、教育に関する活動に携わっているようだ。

 任期は3年と記されていることから、何らかのポジションに就いたと考えられる。

 

 この先生にはいくつかの忘れられないエピソードがある。

 

 中学3年の1学期、最初の英語の授業で先生は警告した。

 「おい、この中で大学受験を考えてる奴はいるか?」

 小学生の頃から、小生は大学へ進学すること決意していたためか、今でも鮮明に覚えている。

 

 「大学入試ではなぁ、第一志望に合格することはでけへんのやぞ。覚悟しとけ」

 「俺はなぁ、第6志望の大学に行ったんや、第1志望にから第5志望まで全部落ちたんや」

 「結局なぁ、京都〇国〇大学にしか行けへんかったんや」

 「大学入試は厳しいぞ」

 

 大学進学を考えていたため、これらの先生の言葉が脳に突き刺さった。

 小生は中学卒業後、当時スパルタ教育による国立私立難関大学への進学実績を誇っていた高校に入学した。

 高校3年間を受験勉強に費やした結果、運よく第一志望の大学へ進学することができた。

 先生の嘘つき。

 3年間、しっかりした指導を受けると、成績は伸び、合格できるではないか。

 

 先生の第一志望はどこの大学だったのだろう。

 中学生の時に本人に聞かなかったのが今でも悔やまれる。

 ようやく一年で一番厳しい時期が終わった。

 精神、肉体ともに疲弊している。

 この数日間、意欲が湧いてこない。

 これが一時的な現象であればよいが、長く続くとあの疾患の悪化を懸念せねばならない。

 

 最終日になり、多くの資料を持ち込んできた御仁がいる。

 その御仁は同業他社に依頼したのだろうを推測していたが、最終日の昼に現れた。

 当然、期限には間に合わない。

 期限後であるため、付帯税が課されることから、なるべく早く終わらせねばならない。

 それを二等兵の小生がやらされることとなった。

 即ち延長戦に突入である。

 

 

 現在、繁忙期を迎えている。

 やらねばならぬことが期日に間に合うかどうか不透明である。

 キャパシティーを大幅に超えているため、奴隷のように使われる。

 

 今年もあの現象が始まった。

 歩行者の信号機が夜になると走る。

 帰宅する頃に小生の乱視が悪化し、歩行者信号の脚が5本くらいに見える。

 漫画で描かれる走るシーンが現実のものとなっている。

 

 期限に間に合わないと、延長戦に突入する。

 これだけは避けたい。

 電話は突然かかってくる。

 何の前触れもなしに。

 

 固定電話が+から始まる電話番号を表示している。

 出ようかどうか迷ったが、好奇心が刺激され、出てしまった。

 無機質な自動音声が流れる。

 このままでは2時間後に電話が使えないようになる旨を伝えてきた。

 やれるものならやってみよ。

 

 自動音声が最後にオペレーターと会話するなら、「1」を押せという。

 放置するとどうなるのか知りたくなってしまったので、数秒間、放置した。

 すると、「1」を押していないにもかかわらず、オペレーターが登場した。

 「1」を押しても押さなくてもオペレーターにつながるらしい。

 

 オペレーターは「総務省通信~」と名乗る。オペレーター氏との会話を記しておく。

 

 小生 「どちらさんですか?」

 オペ 「わたくし、総務省通信~と申します」

 小生 「要件は何ですか?」

 オペ 「先程、自動ガイダンスで案内しましたが・・・」

 小生 「総務省っちうことは、国家一種の試験合格したん?あ、今は国家総合職か、まあええわ。どこの大学出てんの?

     めっちゃ、賢いんとちゃうん?東大?京大?早稲田?慶応?同志社?案外、立命か?え、どこ出てんの?どこや?」

 オペ 「あのぅ、間違えました」

 小生 「ん?何を間違えたん?ちうか、総務省の人間が電話してくるわけないやろ」

 

 本当はもっとオペ氏と会話をしたかったが、一方的に電話を切られてしまった。

 報道によれば、所属を総務省と名乗り、個人情報を聞き出そうとしているらしい。

 オペ氏は筋書きにないことを矢継ぎ早に言われたら、それに対応できないらしい。アドリブに極端に弱いのだ。

 

 総務省を名乗る御仁から電話があったら、こちらから一方的に質問攻めをすることを推奨する。相手に考えさせる時間を与えずに話し続けるだけで先方が勝手に電話を切る。ケンカを売っておいて何だその対応は。

 

 詐欺電話は犯罪である。 

 

 先月下旬、インフルエンザA型に罹患した。

 職場で感染したものと思われる。

 インフルエンザにかかるのは1997年以来である。

 当時は長野オリンピックが開催された時期であった。

 

 前日から体調が思わしくなく、起床すると37度代の微熱が続いていた。

 風邪を疑い病院へくこととした。

 1月はインフルエンザが流行し、患者が多いのか、電話で初診を告げると冷たく断られた。

 2度とあの病院には行かない。

 別の病院はウェルカムだったので、世話になることにした。

 

 受付で体温を計測すると、38度を超えていた。この時に、流行性感冒を疑った。

 隔離室へ誘導され、30分ほど読書をして診察を待つ。

 完全防備をしたベテラン看護婦さんが登場する。

 青のアイシャドウが印象的だった。

 小生の右の鼻の穴に棒を突き刺し、強い力でグリグリツンツンし始める。

 10秒と言っていたのに、15秒も突き刺した。小生の目は涙目になっていただろう。

 

 20分後、医者に呼ばれ、先程の検査結果を知らされる。

 インフルエンザA型に丸印がつけられていた。B型とコロナには何も記されていない。

 タミフルを投与すると、熱は治まるという。

 しかし、タミフルを呑んで2~3日間、高熱と経験したことのない頭痛に悩まされた。

 「あのヤブ医者が、タミフルがきかへんやんけ」と布団の中で診察してくれた医者を呪った。

 

 だが、タミフルを呑んで4日目にようやく効果が現れ、高熱は頭痛はどこかへ飛んで行った。

 診察してくれた医師に「ヤブ医者」と謗り続けたことに己の器の小ささを再認識する。

 手洗い、うがいを励行し、職場でマスクを着用し続けてもインフルエンザに罹ることを思い知らされた。