あの日 | 抑鬱亭日乗

抑鬱亭日乗

複数の精神疾患を抱える者の独言を忌憚なく収録する
傾いた視線からこの世はどのように見えるのか

 あの時からもう30年が経ったのか。

 今でもあの時の記憶が鮮明に残っている。そして、いつでも引き出せる。

 日常の重要なことはすぐに忘れてしまうのに。

 

 1995年1月17日、午前5時46分。

 熟睡しているはずの小生は午前5時45分に突然、目を覚ました。

 あの地震が起きる30~40秒前だった。

 瞼を開き、ボンヤリとしていると地鳴りのような音がこちらへ向かってきた。

 

 「ん?」と声にならぬ声を出した瞬間、大地震が起きた。

 今までに経験したことのない大きな地震である。

 地震はよく「縦揺れ」又は「横揺れ」と表現される。

 あの時の地震はどちらの揺れ方でもなかった。

 語彙に乏しいため、稚拙な表現しかできないが、グルングルンと家が円を描くように横に回転する感覚の地震だった。

 

 タンスが倒れそうになったため、両親がそれを押さえていた。

 食器棚から食器は落ちなかったが、食器棚の扉は全て開いていた。

 「ガスや、ガス」という父と母はガス漏れが起きてないか確認を始めた。

 それから眠ることなく、朝を迎えた。

 あの日、生まれて初めて死を意識した。

 電視台を視ると想像したことのない映像が放送されていた。

 

 ヒトは自然の前では無力であることを思い知らされた。