眼球は3層構造をしています(線維膜・血管膜・網膜)。それぞれの層には何が存在し、そして、どのような役割をしているのか、理解することが大切です。
しかし、眼球の構造を勉強しようとしたときに、参考資料では上図のような矢状断のものが多く、さらに、立体模型だとそれぞれの層の詳細がはっきり表現されていないものが多いため、眼球の全容はなかなか理解し難いと感じる人が多いのではないでしょうか。
そこで今回は3枚の膜を平面化し、アルバムのような構造にした模型を作成してみました。
まずは1枚目です。これはもっとも外側にある線維膜です。線維膜は前1/6の角膜と後5/6の強膜に分けられます。角膜は無色透明な膜で、コンタクトレンズを置く場所です。強膜は血管が少なく白色に見える膜で、俗にいう白目の場所です。
少し角度を変えて見てみます。角膜は強膜よりも出っ張った(前方に凸)構造をしています。
強膜と角膜の境界部にはシュレム管という管があり、眼房水はここから吸収されます。
次に2枚目です。これは血管膜といわれる膜で、全体的に黒色をしているため、ブドウ膜とも呼ばれます。血管膜は前方から虹彩・毛様体・脈絡膜に分けられます。
毛様体は脈絡膜前方の肥厚した部で、内部には平滑筋性の毛様体筋があり、遠近調節に関わります。
どのように遠近調節をされているかは、別の教材を使用して説明しています。
虹彩は毛様体から起こり、俗にいう黒目の場所です。虹彩の内部には2種類の平滑筋(瞳孔括約筋・瞳孔散大筋)があり、眼球に入る光の量を調節しています。
虹彩の中心には小さな穴があいており、その部を瞳孔といいます。
先ほどの1枚目にあった角膜からも虹彩と瞳孔は観察できます。日本人はメラニン色素が多く集まっているため虹彩は黒っぽく見えますが、白人はメラニン色素が少ないので虹彩の色が薄く青色に見えます。
毛様体を後ろから見てみます。虹彩の裏側には毛様体から伸びる毛様体小帯と、その中心にある水晶体があります。毛様体小帯も水晶体も遠近調節に関わります。
最内層の網膜を眼底から前方に向かって観察したものです。網膜は光を感じない網膜盲部(前1/4)と光を感じる網膜視部(後3/4)に分けられます。網膜盲部と網膜視部の境界を鋸状縁といいます。
網膜(網膜視部)の眼底です。眼科で眼底検査をしたときに観察できる部です。この部は耳側に黄斑という、ものを明瞭に見ることができる部があります。黄斑の中央には中心窩というくぼみがあり、ここが視力のもっとも良い部になります。鼻側にある視神経円板には視細胞が存在しないため、この部の視野は欠損します。視神経円板からは網膜中心動静脈が放射状に出て、網膜の中を広く分布します。