zaka1973の観劇ブログ

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趣味⇒鉄道、路線バス、プラネタリウム、廃墟、観劇(とくにミュージカル レ・ミゼラブルが好き)、さだまさし(最近は、団地、鉄塔、ダム、画廊巡り が追加) 
そのなかで、こちらは観劇の感想を中心としたブログとしています。

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    (※途中数本劇を見ていますが、順番を前後して、こちらを先に紹介します)
※一部ネタバレがあります。ご注意ください

 


 このブログを書くときに、私がこの人を知ったのが・・・から、始まる事が多いから、今回は、そこは注意したいと思います。

 私が「花咲こまり」さんを知ったのは、SHOWROOMでの配信だった。ただ、なぜこまりさんの配信に行くようになったかは、実は覚えて居ない。
 8月ぐらいに、配信を復活するというのと、X(Twitter)でフォローしてくれて、この劇に出演されると伺い、今回行くことにしました。

 銀座で用事を済ませ、丸ノ内線で新宿御苑前へ。そこから徒歩5分ぐらいの場所にあるのが、「サンモールスタジオ」である。40分前にチケットを交換。30分前に会場でした。


 今回見た作品は
マリブステージ公演
「桜並木のアパート」
 作・演出:山本夢人
舞台監督・舞台美術:斎藤樹一郎

 

 


 




 19時、開演である。

 舞台は、新婚夫婦の旦那が、東シナ海で救助活動中に消息を絶って、公的捜索が打ち切られ、現地から、今済んでいるアパートに戻るところから始まる。
 3姉妹の末っ子が、新婚夫婦の鈴木良子、あとは、姉の棚橋杏子 棚橋優子 の3人の会話から始まる。そして、姉のひとりが、翌日から民間による捜索になり、お金がかかることから、テレビ局を入れて、報酬を捜索費用に充てたらどうかと、言うことから、テレビ関係者、アパートの住民を巻き込み、ストーリーが進んでいき、このアパートには幽霊が現れると言う話が出てきて、幽霊が登場してくる。
 そして、テレビ局の演出なのか、インチキ除霊師が現れるが、なぜか、遭難して幽霊になった、一彦の声が聞こえ、さらに、アパートの住民や大家さんまで巻き込んでいく物語。

 一瞬コメディ要素が多い気もするが、実はシリアスなシーンが多くて、その中にほどよくコメディー要素が入り、ずっと緊張感が張り詰めることが無く、ほどよい感じで物語を見ることが出来るのが、良かった。

 で、これも毎回書いているが、私は無意味なダンスが入る劇が苦手である。ダンスの意味意を考えてしまい、前半と後半のつなぎが、見えにくく鳴ってしまうからである。だが、今回もこのダンスは意味があり、それが後半への流れにうまくつながる。(あれ?おれ、劇中のダンスの苦手、克服している???)

 先にも述べたが、どちらかというと、シリアスなシーンが多く、ドキドキしながら見る劇である。その中でも今回、この劇が伝えてたい言葉が、だんだんと伝わってくる。そして、なぜか、どこかで感じる空気感。それが不思議であったが、最後の方のシーンで、その謎がわかった気がした。 最後は一彦が見つかるんだが、その見つかる場所が、「長崎県・・・・」そう、私が心の故郷として居る長崎、あの懐かしい空気感、どくとくの空気感、長崎の香りがどこかにあったんだなぁと思いました。

 最後は、この題名に似合う桜の風景で終る。終わり方も心地が良い。とても良い劇であった。

 
 終演後は、演者さんと面会の時間が、わずかながら会ったので、花咲こまりさんともお目にかかれて、充実なひとときを過し、会場をあとにしました。

 いろいろなご縁があって、演劇関係の役者さんも増えてきました。そういう出会いをたいせつに、1作品、1作品、楽しんでみていきたいと思います。

(※途中数本劇を見ていますが、順番を前後して、こちらを先に紹介します)
 

 考えて見たら、ミュージカルが好きとか言いながら、ミュージカルの作品自体は、ほとんど見た事がない事に気がついた。 
 見た作品は、「アニー」を1回 「魔女の宅急便」を1回、 そして「レ・ミゼラブル」を34回。だから、ミュージカルがすきというより、レミゼが好きと言うべきかもしれない。しかも、全部大きな劇場である。

 9月22日、ついに切り捨ててもアラフォーと言えなくなった年齢を迎えた私。誕生日が休みか通院日は、大抵どこかに出かけている事が多い、2015年の時は、静岡県の清水まで出かけて、レミゼを見たぐらいだ。で、今年はどう過そうかなぁと思ったとき。8月に行われた「こえすきLIVE」を見に行ったときに、お話をした、「天満綺実」さんが出演する劇が、この期間行われるので、それを見に行くことにした。

 今回見た作品は
吉岡平追悼公演ガールズハイパーミュージカル
「タイラーF〜フォーエバー」
原作 吉岡平
脚本演出 麻草郁
製作総括 朝倉薫

 小劇場でのミュージカルは初めてなので、楽しみにしていた。特に8月末に、流行病になってしまい、観劇予定が3本見れなかったので、なおさらである。

 新宿駅から、白61系統で、劇場の前のバス停にで下車。バス停の反対側が今回の目的地「シアターブラッツ」である。

 


 開場時間になり、チケットを受け取ると、受付の人から「最後尾列ですが大丈夫ですか?」とお声がけをいただいた。実は観劇は、一番前はすきではないのである。数列後ろの方が、舞台全体を見るのに、視野が広くなるのと、客席の観客の様子も見れるので、劇場全体の空気が見れるからすきなのである。

 



 14時丁度「タイラーF〜フォーエバー」TERRA組公演が始まる。

 舞台は宇宙での話。主人公のライターが映画で復活すると言うことろから、映画撮影のシーンなどから始まる。ただ、物語は、場面展開が早く、最初は、どこがどう繋がって居るか、わからない状態からも、台詞や歌を聴いていると、だんだんと繋がりが解ってきて、最後のほうは、すべてがつながっていく。その感覚は謎解きのように面白い。
 一番印象に残ったのは、ゴザ16世の役を受けた新人役者のニーナに、本物のゴザ16世に書けた言葉であった。

 ちなみに、「天満綺実」は、映画の助監督「イシロー」役。男性の役で、舞台が終ったあとのサイン会の時に、「男の役でしたけれど大丈夫でした?」と聞かれ、もちろん「大丈夫だった」と答えた。実際そうであったから。ただ、女性に見えた部分が無かったわけではない。それは、天満さんの演技が原因では無く、私の思いコミによる物で、それが脳内変化されたからである。

 どういうことかというと、劇が始まる前に、天満さんのブロマイドを購入した、その雰囲気と、衣装の色から、なんとなく、レミゼのエポニーヌを連想してしまった。エポニーヌも、仲間からは、小僧と呼ばれていたから、そういう意味では、間違えで無いのかもしれない。 劇を見ているときに他の劇の印象が入らないように極力しているが、今回は、それがうまく抜けきれなかった気がする。 

 作品の感想に戻るが、全体的には、コメディ要素も多く、楽しめる作品であった。大きな劇場のミュージカルも良いが、小劇場でのミュージカルも良いなぁと思ったのであった。


 今回は、普段の観劇の感想とは違う形で書くと思う。冒頭にいきなりですが、今回は、朗読劇の感想と言うよりは、その場所の全体的な感想になりそうです。

 2023年06月02日(金) 大雨の中、西新井薬師前から電車を乗り継ぎ、着いた場所は、下北沢。目的地は、下北沢小劇場のとなりにある、「おむすびシアターBARシモキタ」
ビルの地下1階に行き、扉を開けると、そこは既に満員状態。それもそのはず、この日は、ここ、おむすびシアターBARシモキタ 1周年の月だそうで、さらに開場は18:30からである。私が会場に着いたのは21時半前。当然の風景である。



 さて、こんな時間について大丈夫なのかというと、今回お邪魔した おむすびシアターBARシモキタで行われている『Reading&Music LIVE』は、途中の入退場が可能で、営業時間の18時30分から23時30分の間に、朗読劇と歌のライブが3回、全部違う内容で行われるとのこと。6月2日、3日に劇のお誘いがものすごく集中して、さらに、この日は時間まで集中してしまうと言う状態。どうするか迷っていたが、こちらの『Reading&Music LIVE』は、数回お誘いを受けていただけに前から気になって行きたかった場所。時刻表をにらめっこしながら、最後のステージなら間に合うと思い、今回は無理して行くことにしました。

  私が着いた時間に、お帰りになる方お多く、そのタイミングと重なったのもあり、すこししてから、席に通されました。偶然にも隣の席は、鉄道ライターの土屋さんで、1年以上ご無沙汰して居たので、御挨拶と、演劇などについて、適度に話す。(なぜか、土屋さんとは鉄道の話をしないんだよねぇ)

 おむすびシアターBARシモキタ は、BAR と名のっているとおり、食事や飲み物を飲みながら、ゆっくり過しながら、音楽や朗読を楽しむというスタイルらしい。その代わり、各ステージがおわると、ワンドリンク以上の注文をして欲しいとのことです。

 しばらくは、今回お誘いをいただいた 俳優の「谷口礼子」をはじめ、隣席の土屋さんや、お店の人と話しながら、和気藹々とすごします。で、料理を頼んで、届いたところで3rdステージが始まるタイミング・・・・・ドリンクならともかく、食事は・・・でも、食べないと冷めちゃうし、 こそーり食べながら 朗読劇を楽しみました。

 演者は、今回お誘いいただいた「谷口礼子」さんをはじめ、「浅田光」さん、「関口ふで」さんの3人

 さすがベテラン、普段と違う環境でも、普通にこなしていく姿は、印象的でした。あ、ここでも、完全な牢毒と言うより、少し動きはありました。

 朗読劇で印象的だったのは、反対の性格男女が、女性が男性の嫌なところを言っていきながら、話が進んでいくんだが、その男性の性格が、なんか、自分に重なる部分があって、自分も気をつけないとと思いました。


 朗読劇とライブが終り、そろそろ終電の時間というのもあり、演者さん達とお話しと御挨拶をしました。



 今回お誘いを受けた「谷口礼子」さんを初めて知ったのは、旅と鉄道という雑誌で飯田線の秘境駅の特集でその時の旅人が谷口さんでした。それから、ローカル鉄道演劇をはじめ、谷口さんの劇を見るようになり、お誘いもいただけるようになりました。 「浅田光」さんは、どちらかでお見かけしたことがあるはずなんですが、いまだに思い出せず、浅田さん本人も、「どこかでお見かけしましたよね?」という状態で。お互い見かけた記憶があるのだが、思い出せない状況でした。 そして、「関口ふで」さんは、昨年末に ふでの会プロデュース『しんしゃく源氏物語』 (https://ameblo.jp/zaka1973/entry-12779594516.html)で主宰をされていた方で、源氏物語の時は、ちょっとした悪役だったので、そのイメージがあったので、初めてお話しした時は、ちょっと緊張しましたが。実際に話すと、すごい気さくな方で(当たり前ですよね)楽しくお話しをしました。

(お願いして、谷口礼子さんと関口ふでさんと記念撮影を)

  23時頃、会場をあとにして、下北沢駅までは、風が強く、傘が差せない状態。ただ、雨が小康状態だったので、急いで駅へ。駅で土屋さん、谷口さん、関口さんとお別れして、台風の時になぜか定時ではしる小田急線に乗って、町田からの最終バスで帰宅しました。

 ちょっと無理をして居どうしたが、どちらも行ってよかったと思いました。


 2023年6月2日 金曜日。この日は台風の接近で大雨であった。そんな中、中井駅で地下鉄から乗り換え、新井薬師前に足を向けて歩いていると、中井駅前の妙正寺川は濁流となって、流れている。

 

 

 

 

 

そんな風景を見ながら、現地にたどり着いた。開場の「中野シアターかざあな」は地下にあるのだが、入口の狭い階段は、雨が入り込むが傘が差せない状態。

 

 

 


なんとか開場について、そのときを待つ。

 今回見たのは、朗読劇で、朗読劇を見るのは、人生で4回目か5回目ぐらい。意外と少ない。普通の劇よりは動きなどが無いぶん、声や、表情ですべてを表現するわけだから、これはこれで意外と楽しい物である。

 現地に着いた時点では、知って居る役者さんは1人(後日もう一人知って居る人が居ると判明)。その人は、配信サービス「SHOWROOM」で配信をされていて、それがきっかけで、今回足を運ぶ事になった。(後日知った人も、SHOWROOMでの配信者。)

 19時にいよいよ開演。その世界が始まる。
 今回見た作品は    朗読劇【After the rain blossom】 

 


お嬢様学校「桜庭女学院」その理事長と、桜庭家の守り神的存在桜子の会話から始まる。
そのあと学園の風景に変り、理事長の孫「桜庭うずね」とその同級生の会話とシーンが変り、そして、桜庭家の秘密の世界に巻き込まれていくという物。
ストーリーの雰囲気で言えば、小説で例えるなら、スニーカーズ文庫(今でもあるのか?)的な内容かも知れない。

 朗読劇というと、座って話すイメージが強かったが、今回は、立ちながら、シーンによって、立ち位置が変るので、朗読劇からちょっとだけ普通の劇に近い形になっている印象でした。

 ドラマCDが発売して居る( https://vicoround.official.ec/ )状態なので、ネタバレは控える発言になりますが、桜子の心のゆがみ、 理事長の金と権力に溺れてしまった結果。 そして、うずねの人を許すやさしさが、心地良い具合に、混ざり合って良かった。あと、今回の役者さんは、声優を目指している人が多いので、声は聞きやすくわかりやすいが、伝わる力が、ほんの少し足りない気もしました。(声に魂を載せきれていないと言うのが正しいかなぁ)
 全体的には、良い作品で、良い劇だと思っています。

 約1時間の朗読劇は終わり、「咲麗あやめ」役の菅野茉由さんのチェキを受け取るときに、少しお話をして、開場をあとにしました。

 その翌々日、Twitterを見たら桜子役の「英真有」さん、普段フルネームで聞いていなかったので、そのときは気がつかなかったが、私が知って居る人で、配信でもお邪魔した人でした。気がついていたら、話す機会があっただけに残念でした。



 

今回の劇を語る前に、まず「MONA」の説明をしないといけない。
MONA( https://mona.style/pc/ )は大阪や名古屋を中心に配布されているファッションテイクフリー雑誌であり、その雑誌に載っているモデルさんを、MONAモデルと呼ぶ。
MONAモデルさんは当然MONAに所属している。
そのMONAモデルさんの中でも、モデルのほかにアーティストとして、そして、演劇の役者として活躍をする人も居る。今回の観劇は、MONAモデルさんが演者で公演を行う劇である。
ちなみに、私がMONAと知合ったのは、ネット配信ツール、SHOWROOMで、MONAに所属しているモデルさんが配信して居てそれを見るようになってからである。



2023年5月13日(土)
3月・4月とすごく忙しい日々を送っていて、それを取り返すようにこの日は動いていた。
朝10時から「すずめの戸締まり~終演記念~」を映画館で見て、

 

 

そのあと銀座の奥野ビルで画廊めぐり。

 

 

 

そして、池袋に着き、ふと目に入った写真展を見学して、今回の目的地、池袋「BIG TREE THEATER」に開場の10分前に着く。

 


知って居る劇場なら、開演45分前に行くのが通例なのだが、初めての劇場、そして、今回は、先ほどの説明通りで、客層も普段とは違う、なので、いつもより早めの行動を行っていた。


開場して、リーフレット、MONA11号などをもらい、劇場内に入る。劇場、小劇場としては大きめの劇場であるが、座席サイズとかを見ると、やはり小劇場の部類になるのかもしれない。どの付近の座席にするか悩んでいたら、ふと、上手中段当たりに、柱の関係で、1席だけの部分があった。座ってみても影になる部分はほとんど無く、横は壁で寄りかかれるし、通路も隣、気兼ねなく見ることができる環境でなので、この席に決めて観劇をすることにする。


元々前の方より、舞台全体と、お客さんの雰囲気もなんとなくわかる、中列付近が心地いいの性格なので・・・・

 




今回見た観劇は
劇団MONA公演
原作:シェイクスピア
脚本:ケバブ大吾
監督:RYO
舞台「ロミオ&ジュリエット」(東京公演)
2023年5月13日(土)18時開演Aチーム ソワレ(夜公演) 

https://mona.style/actor/romeo_juliet//

 

 

 



大阪で活動が多い、劇団MONA、数回大阪まで見に行くことも考えたが、残念ながら、流行病の影響などで、延期などがあり、行けずじまいになっていた劇だけに、楽しみである

開演20分ぐらい前から、出演する演者から4名前説として登場する。
今回の劇は、前説、休憩中、公演後の舞台挨拶の撮影は可能とのこと、当然劇中での撮影は禁止である。

 


前説が終ると、いよいよ開演である。劇が始まると、なんだろう、普段と見る劇と違う。何というか、うまく言えないけれど、舞台上の空気感が普段と違うのである、これは決して悪い意味では無く、何かが違う。瞬時に普段と違う部分は、声の出し方が普段見に行く劇と違う感じがするのだが、演者さんの中には、学生時代から演劇経験者の方も居て、その人の声は、演劇の声の出し方だから、それが混ざったぐらいでは、空気感が違うわけでな無いが、5ヶ月ぶりの観劇のためか、劇場に来るまでにいろいろな心境をめまぐるしく変えていたので、演劇のモードになっていないのか、それはわからないが、先ず感じたのはそこであった。

ストーリーは、シェイクスピアのロミオとジュリエットに基本あわせてあるが、世界は2320年の未来の世界。AIと人間が戦争を起こして、50年後の話で、モダンキュー国(人間ロミオ側)とキャピュレット国(AIジュミレット側)は戦後、仲が悪い状態が続いていた。
ところがあるとき、キャピュレット国でのパーティでモダンキュー国の人間も呼ばれ、そこでロミオとジュリエットが出会う。
未来的空間だが、舞台セットや、雰囲気は中世に近い雰囲気でこれはこれで面白い。だが、始まっている時からの感覚がそれでも無い、では何の空気感が違うのかがわからず、それを引きずりながら、見て居ました。

この劇の演者さんは、モデルや本職をこなしながら劇をやっている人も居る、だから、劇を見るまでは、どこまで演技が出来きるのか?と言う気持ちがあったのも事実。だが、演技は普通であった。
いろいろな劇を見ていると、帝国劇場から、学生が作った劇まで見ている、だから、演技の評価というのは同じ定規で定めるものでは無いとは思っている。だから、先ほど普通とは書いたが、それは人それぞれの感じ方で、曖昧ではあるが、言いたいことは、演技の良し悪しでの空気感ではないと言うことだ。
敵対国を題材にすれば、争い毎も起きる。なので、殺陣の演技も出てくる、動きは迫力があり、いろいろな工夫もみえて、面白い。

さて、前半と後半の間には、15分の休憩があった。そのとき普段はトイレなどに行くのだが、これも初めての経験で、舞台に上がって、セットなどを撮影が許されたのである。先ず舞台上で舞台セットを撮影して良いというのは、初めての経験である。箱の関係で、(物販が舞台上になるのは、何回も経験しているが)
このサービスは、主催者側さんが、どこまでお客さんを信頼してくれているかの表れかもしれない。舞台セットは、劇の命的な部分でもあるわけだから。

 

 



後半は、流れが変る。前半は笑える部分も多かったが、後半は両国の関係は悪くなり、戦いのシーンも増えてくる。
後半の真ん中付近までは、実はそこまで感情移入しないで、普通に見る事が出来ていた。それはたぶん、シェイクスピアのロミオとジュリエットの物語はおおかた知っていから、視野を広く、落着いて見られたのかもしれない。
 だが、国外追放となっていたロミオと別の人と結婚を強制的にさせられるジュリエット・二人を幸せにさせるためにローレンス博士が考える付近から、気がつくと舞台にのめり込んでいた。
ロミオとロミオの父との対立しながらも、ロミオを最後まで応援して居た父の心。
二人をなんとか幸せにしようとするローレンス博士
策士で、キャピュレット国の国王を狙おうとして居たのに、最後は、ジュリエットのために動くAIの執事。
その矛盾と切なさが、すごく伝わってきて、自然と涙が出てくる。

 そして、いよいよクライマックス。 ジュリエットが死んだと勘違いしたロミオ、原作では、ジュリエットを見て自殺したロミオ、そのロミオを見たジュリエットが自殺する流れだった気がしたが、この劇の演出では、ロミオが毒を飲んだところで、ジュリエットが目覚める(AIなので、休止タイマーが切れる)。で、ロミオとジュリエットは最後に話をして、ロミオが亡くなり、そのあとジュリエットがあとを追う演出は、個人的にはよかったと思いました。

二人が亡くなり、最後は、もう争ってどうする、これからは両国はお互い良い方向にしようと最後は、モダンキュー国とキャピュレット国の国王が、手をつなぐ瞬間、一気に震えが来たのと。
前半、感情移入出来ていなかった部分がすべて思いかいされ、それが一斉に流れて、この劇が伝えたいこと、冷静に見て居た部分の感動がすべて目の前に映る感覚、すべての感情が一瞬に心に突き刺さる。こんな不思議な経験は初めてである。

そして、カーテンコールの部分になると、もう普段見る劇場での劇の空気感になっているから驚きである。では最初に感じていた、今までに無い空気感は何だったのだろう。帰宅中に冷静に考えてみてあることに気がついたことがあった。
この演者さんは、モデルをしながら役者もやる。ランウェイを歩く舞台、演技をする舞台、それぞれ違う部分はあるが、舞台上で表現するのは一緒だが、そのときに出すオーラは当然変ってくる。前半部分の空気感が普通の劇と違う感覚だったのは、たぶん、演者さんも気がついていない、モデルとしてのオーラと役者としてのオーラが混ざり合っている空間だから、普段と違う感覚だったのだと、自分で勝手に納得をしました。

カーテンコールののあと、Aチームは千穐楽と言うこともあり、演者さんの挨拶も涙がみられる。ただ、挨拶時も撮影がOKだったので、シャッター音が気になる点は、ちょっとだけ残念な気がしました。このサービスは悪くは無いのだが、シャッター音で挨拶がかき消される部分も多少あったので、カーテンコールの撮影は、NGにして、その代わり、挨拶のあとに1分ぐらいの撮影時間をつくって、そのあと礼をしてはける感じでも良いのかなぁ?と個人的に感じました。

 

 

 



全体的な総称としては、素晴らしい劇で、演者さんが伝えたいことも伝わってくる素敵な劇でした。ただ、今まで感じたことが無い劇でもあり、それに戸惑いながらもみるのも楽しい劇でした。

言い忘れていたが、後ろに教会の窓が現れるのだが、シーンによって、あかりの強弱をつけて、その窓がぼやけて見えたり、くっきり見えたりするのはよかったと思います。

21時すぎに劇場をあとにして、土休日ダイヤだったので、最終バスを気にしながらも、余韻にしたりながら、帰宅しました。

(余韻に浸りたいので、奮発して特急で帰りました。)

 


やはり、演劇はいいねぇ。


演者の皆様、スタッフの皆様。素敵な劇をありがとうございました。

(観劇の感想、感じ方には、個人差があります)

2022年12月09日(金)観劇      ふでの会プロデュース『しんしゃく源氏物語』


 源氏物語、当然名前は聞いたことがある。だが、いざ源氏物語とはどんな作品なのかと、問われると、光源氏が浮気しまくってとか・・・・ そのくらいの今年か出てこない。同じ時代に作られた、枕草子は、たまたまNHK漫画で読む枕草子という番組を見ていたので、なんとなく覚えて居るが、源氏物語に対しては、本当にそのくらいしか知識が無いのだ。 そんな中、今回出演される「谷口礼子」さんから、舞台のご案内をいただき、歴史や古文の疎いので、不安もあったが、いろいろあって、丁度平安時代のことを少し調べていたときだったので、思いきって行ってみることにしました。

 当日は、朝から、日比谷で映画を見て、自分の配信の取材をしに流山まで行って、それから中野に行くと言う結構なハードスケジュールで、会場の到着。19時舞台は始まった。

 



 紫式部の登場から、今回の話は、源氏物語でもそのなかの 第6帖 末摘花(すえつむはな)のお話しであると言う説明から始まる。

 簡単なあらすじは、故常陸宮の娘「末摘花」が光源氏と共にした後、常陸宮が無き後のお家のお話し。末摘花は、源氏が戻ってくるのをひたすら待ち続け、さらに、常陸宮様が無き後、家は貧しくなり、荒れていく。そんな中、叔母が今のうちに家を整理すれば都持ちかけられたり、左近、右近には逃げられたりと屋敷はさらに寂れていくが、末摘花は父の思い出が詰まった屋敷はそのままにしたい、そしてなにより、源氏が戻ってきてくれると信じて待っている。

 最後には、宰相にまで、屋敷から出て行き、残る少将の本音が漏れる。だが、最後には、源氏が「末摘花」のところに寄るところからみんなが戻り、物語は終る。

 まぁ、こんなあらすじでは、何が何だかと言う感じになってしまうだろうが、この物語をみて思ったのは、人間とお金の関係での心の醜さ、そして、末摘花さんの純水な心が入り交じって、古文とか、源氏物語を知らなくても面白い構成になっていました。
 しんしゃくに、しんしゃくを重ねてある部分もあり、現代にあわせた演出、(例えばスマホが出てくるとか)そういうところも世界観に入りやすかった劇でした。

 平安時代とか、古文などを題材にした舞台は、今まで見て居なかったから、今回みて、思っていた以上に面白かったから、今後はこう言う舞台観劇にも、幅を広げようかなぁ。と思いました。

 

2022年10月07日観劇 ◆danke 13th produce stage 「among the boX-Time during a day…-」

福元あかりさんを知ったのは、いつのことだろうか。ネット配信サービスSHOWROOMで知ったのがきっかけ。数年前から、何度か劇場での公演の話は聞いていたが、なかなか行けず、こんかいが、福元あかりさんの初演技を見ることになりました。

大雨のなか、会場の池袋GEKIBAへ向かう。受付を済ませ、開場時間まで雨やどりをしながらすごし、再び会場に戻る。

今回見た作品は◆danke 13th produce stage 「among the boX-Time during a day…-」

舞台は最初、病院の停電から始まり、そして「病院」「エレベータ」「張り込み現場」の3つのステージから成り立つ。
それぞれ、場面は変るが、ストーリーは全部つながっており、いろいろと面白い。
「病院」では、倉庫が舞台なので、箱がたくさん並べてあるが、その箱をつかって、OPの音楽で役者を紹介したり、いろいろと考えられているなぁと思ったのと同時に、ストーリー自体は、笑いがありながらも、それぞれに人間関係が絡み合いながら進んでいく。

次にエレベータのシーン。昔、エレベータのボーイをして居たこともあり、エレベータの演技ってどうしても、細かい部分を気にしてしまう。
ここでは、停電によって4人が閉じ込められるというところからいろいろと話が進んでいく。
まぁエレベータの空間以上に動きがあるのは、表現力を生かすものなので、それは別にかまわない。で、実際これはエレベータではあり得ないんだけれどなぁ?と言うところも無いので安心して見られる(おまえはどこを見て居る)
もちろん、物語もちゃんとしていて面白い。前回の医者の部分と繋がって居て、それがどのように結ばれて行くのか、考えながら見るのも面白い感じだった。
ただ、不覚にも、福元あかりさんの役「ほのか」の存在に違和感があった。それは演技の違和感では無く、空間における違和感である。その違和感は、エレベータのドアがいたところで、解決するが、それでも何かが残る感じがした。

最後は、張り込み現場。病院向のアパートから病院の様子を張り込んでいるシーンから話が進むが、張り込み現場でも人間模様は複雑であった。そして、中盤付近から話が一気に進み、今までの違和感がだんだんとわかってきた。なるほど、そういうことだったのかと、最後は納得できてすっきりする構成になっていた。

全体の感想としては、人(役)の繋がりが、どうつながっていくのかが面白かった。
また、この回は、ちょっと特別で、一カ所、男性役が女性でやっている部分があったと聴いていたが、そんなに不自然な部分も無く進んで居たのは、良かった感じがしました。

福元あかりさんの演技は、なんでしょう。普段のイメージが、そのまま役のイメージという感じなので、配信の時とイメージがちがってこう演技が出来るのか?とかの感覚がほとんど無かったが、当然そのまま普段の福元あかりさんの姿で台詞読みをしているわけでは無い。ちゃんと演技をしているのはわかるし、演技はうまいと思うが、イメージ通りすぎて、それをつかみづらかった(これは役者さんを知って居るからの個人的な感想でもある)ので、今後別の演技を見て、どんな風に写るのか楽しみである。

劇が終り、物販の時に、初めて福元あかりさんとお話をして、そして会場をあとにした。

あ、もうひとつ今回面白いと思ったのは、劇のパンフレットである。
日によって役者が変る劇でもあり、ネタバレを防止するために、パンフレットは、名刺サイズになっていて、QRコードを読み込むと、公演が終ったところから、ページが開放されるシステムとなっている。
そのまま役者さんのツイッターなどにも飛べるというのも、今までに無い感覚であった。
たしかに、荷物にもならないし、ネタバレにもなりにくい。

この劇を見てから、既に2ヶ月が経とうとしている
本来なら、感想はすぐに書いた方が良いのだが、今回のこの劇は、ある意味自分の心の格闘があり、すごく考えさせられる劇となったので、ようやく心が落着いたところで、こんかいはブログに上げてみようと思う。

2022年8月12日 夕方に東京都三鷹市の武蔵野芸能劇場に向かった。

 

 

今回見た劇は 劇団 新劇団公演『壬生魔浪士組 最終章〜魔法少女たちの足跡〜』

https://gekidanshingekidan.wixsite.com/website/%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9-1


 この劇は、幕末の新撰組をモチーフに、新撰組を魔法少女化したオマージュ劇。そして、シリーズ物の最終章ということで、見るかどうかを迷った部分がありました、とにかく出演者に、知って居る方が多い。 過去にご挨拶程度でもお話しした事がある方が、鳥居きららさん、品川ともみさん、谷口礼子さん。 そして、SHOWROOM配信で知って居た小口美雪さん。 
作品も気にはなるので、今回は足を運ぶことにしました。

劇は魔法学園の2人の生徒の再会から始まる。その再開から、過去の魔法学園(新撰組)と 魔薩長のある意味権力争いの話へと話は進んでいく。

登場人物の名前も、新撰組や薩摩同盟などに由来する役名が多く、近藤勇をモデルに「近藤マキナ」、土方歳三をモデルとした「土方ミリカ」、坂本龍馬は「坂本バンビ」など。歴史をちょっとわかれば、楽しめる。

 さて。勢力が衰えはじめた魔法学園は、国との共存を図ろうとするが、それを阻止しようとする魔薩長、両者を説得できればなんとかなると思いながら動く坂本バンビ、大きく分けてこの3グループで構成されて話は進む。

 話が進むにつれ、魔薩長と魔法学園の戦いは、強くなっていく。そして、最初の戦いで、原田佐之助をモデルにした「原田ケイカ」が捕まり、処刑にされるというシーン、それを見た瞬間、私はすごくショックを受けた。
何だろう、こう言う理不尽に思えるシーンは、何回も劇などで見ているし、戦いでそうなるなら、普通にあってもおかしくないシーンである。でも、衣装がプリキュアの世界とかそういう魔法物では、敵に捕まったり、やられても、死ぬことや処刑までは少ない。だが、そのシーンは台詞も「死にたくない・どうして私何も悪いことしていないのに」という台詞で処刑されるシーン、それはショックだったのと同時に、ものすごく考えさせられるシーンあった。
だって、これが、時代劇で着物を着た女性だったら、男の格好をした人だったら、同じシーンでここまでかわいそうとか印象になるだろうか。たぶん普通にそういうシーンで流せた気がする。だが、魔法物の衣装で少女が処刑されると見た情報と情景でそう思えてしまう。と言うことは、日常でも実は悪い人なのに、見た目がよさげだから、そっちの人が悪くない人と思い込んでしまっていることが多いのではないか? と考えてしまった。

これはいまだに解決をしていない自分との格闘でもある。この劇はそれだけ奥が深い。

このさきも、魔法少女たちが死ぬシーンや、処刑されるシーンなどが出てくるが、そのときは、革命家みたいに、死ぬことに対して怖がらない台詞であり、それはそれで受け入れられただけに、余計、見た目などで判断してしまうことの怖さを思い知らされた世界となった。

結果は、魔法学園は戦いに負けて、魔薩長との戦いに幕を閉じるが。最後の最後で、生き残った魔法学園の生徒たちによって、学園は残って居て、最初のシーンにつながっていく。

この物語は、単なる魔法ものでは無く、作・演出の ゴブリン串田 さんのこう言うキャラを使って何かを伝えたいのかが、すごくわかるような気がした劇であった。

 今までいろいろな劇を見て、もっとグロテスクな物語や、だいいちレミゼ好きの私は、死ぬシーンをいくらでも見て居るだけに、いまだにモヤモヤが続いて居るこの劇のシーンは、本当にショックで、ようやく感想が書けるまで落着いたぐらいだ。

今回は現実の世界ではない物語だが、その物語を書いている人は現実の世界の人。だから、劇はその演技を通して伝わってくる事を、感じる劇であった。


あと、個人的感想としては、普段知って居る役者さんとイメージが違う役なので、そこの演技が、見所で、そういう意味でもすごく楽しめた劇でした。

 

この舞台をまだ見ていない方は、ムービーステージ(有料) 
https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=66087&


を見てから進むことをおすすめします。
(2022年6月30日まで配信チケット発売)
シアターキューブリック 20周年記念公演「葡萄酒いろのミストラル」










さて、突然だが、私は、演劇の場面転換などの意味がよくわからないダンスが入るのは、苦手だ。なぜかというと、そのダンスの意味を考えてしまい、前後のつながりを忘れそうになってしまうからだ。たとえそれが一気に場面が飛ぶものだとしても、そのダンスが邪魔になってしまうからだ。

 さて、この舞台は、岡村孝子さんの「ミストラル」のインストから始まり、風の音で役者が動き出す、そして、再び岡村孝子さんの「ミストラル」が流れると、役者さんたちは踊り出す。その姿はまるで美しい。
 おまえ、直前に場面転換の意味の無いダンスは苦手と言ったばかりじゃ無いかと言われそうだが、あくまでも「意味の無い」であって、ちゃんとそのダンスや踊りが、物語に繋がって居たら、当然話は別だ。むしろ、このときは、始まるときである。当然意味がある踊りになっているわけだ。


 話を少し戻そう、風の音が鳴り終わると、メインで出る、「かりん」が動き出し、岡村孝子さんの「ミストラル」が流れて、一気に華やかな踊りに変る。そして、台詞で「東北から東京へと」地名が並び、その踊りが、風であり、また、風に吹かれている何かであるものと見た瞬間にわかる。これはすごく心地良い。 そして、「走れ、ひとりで走れ・どこまでも走れ」という台詞、ここは何かがわからなかったが、いずれわかることになる。 とにかくこの台詞とこの踊りで、何が起こるんのだろうと言うわくわく感がたまらない。

そして、舞台は東京へと移り変わる。そこには、「かりん」という犬とユウキと言う男の子からの話から始まっていく。ユウキが、浜町公園に行こうと言うところから、話は「かりん」の冒険へと発展していく。 
 浜町公園で出会うのは、「しずく」 と言う、タンポポの綿毛。風に身を任せながら、自分の目的地を目指していくタンポポの綿毛。そこで初めて「かりん」と「しずく」がであい、さらに、荷物を運ぶ馬、帝都運送、 悪魔ことバルコック、 贅沢猫や、その飼い主、そして、犬の事務所の所長(犬)、オリオン、文明犬、犬の博士などと出会って、話が進んでいく、その中でも、「しずく」が、東京の風に乗りながら、東京の地名が並ぶところが印象にのこる。それは、なじみがある地名で、景色が浮かぶからかもしれない。


前半は、笑いが多く含まれていると言う感じで進んでいくが、中盤、犬の博士の言う台詞「人間が何かを思い残して死ぬと、その人は、つぎの生を犬として生まれ変わって、その思いを果たそうとする」、そこから、話の雰囲気が変ってくる。


 一人で犬の博士のところから家に帰えることになった「かりん」は途中で迷子になり、バルコックにあったとき、「しずく」にたすけられ「しずく」と空を飛んだ後、オリオンとであい、星を見る、そして、星を見ている。そのとき、「かりん」がトシの生まれ変わりだとわかる。そして、生まれ変わる前のエナさん(岩手の方言で長男を呼ぶときの言葉)との会話で、言っていた「花がきれいな農学校」を探し始めるが探しても探しても、見つからない、その風景を「しずく」が説明してくれる。その「しずく」と再びあったときに、「かりん」は、エナさんは、故郷、花巻に居ると感じとる。この間のシーンで、「えな」さんも登場し、そして、「かりん」は、時々自分が、トシとして、そしてまた別の目線として、説明してくる感覚が不思議でなんともいえない感じだったのを覚えて居ます。

話は進み、よく朝、上野駅から花巻方面への列車に乗り込もうとする。その直前ユウキとの別れ。ユウキは強がりながら「かりん」に「おまえ、なんだか人間みたいだなぁ、うちに居たのは、「かりん」という犬、もうおまえは帰ってくるな」的な言い方をして別れる。だが、別れた後、「かりん」が叫ぶ、

「私は「かりん」、私は犬、ユウキの臭いも、お母さんの臭いもちゃんと知って居る、ユウキの枕も、庭の臭いも、東京の空の臭いも、ちゃんと知って居る。」

 この台詞で、私は一気に涙があふれる。
 だが、そんな余韻に浸る時間は無い、盛岡に向かう汽車が出る時間。色々ドタバタ劇のあとに、「しずく」と「かりん」は列車に乗るが、車掌に見つかり、黒磯付近で飛び降りてしまう。
だが、「かりん」はもう、怖い物は無かった。ひたすら花巻に向かって走って行く。だが、福島から板谷峠という峠を通り、進路は花巻とは違った方向を目指すことになる。そのとき「しずく」が、「かりん」に聴く「あなたのお兄さんの名前、わかるの、」「かりん」は「賢治、宮沢賢治」。その瞬間、「しずく」の顔が強ばる。そして「とてもいえない、宮沢賢治がこの世界に居ないと言うことを。」


板谷峠付近からは、雪景色へと変わって行く。「かりん」は、雪を不思議と思いながら、進んでいく。だが、元気だった「しずく」の体に雪がつき始める。そう、「しずく」はタンポポの綿毛。だんだんと声が弱々しくなっていく。それは、「かりん」の希望に満ちた目と正反対。まるで、いま、自分たちは、間違えた方向に進んでいることを、案じているかのように。その演技はこの舞台で一番美しいと、僕は感じていた。

「かりん」が大きな川と言うと、「しずく」が、おめでとう、北上川よ。と応える。そして、「しずく」は力尽きるが、「かりん」は、それおも気が付かずに進んでいく。

辺り一面が真っ白な雪景色の時、山形の尾花沢で、自分は違った方向に進んでいたことにきつき、「かりん」は一気に倒れ込むが、ここで場面転換というか、一気に話が飛んでいく。「かりん」は銀河鉄道に乗り、そして、宮沢賢治の話の世界を駆け巡る。そして、「飛べるときが来るのを待つんじゃなくて、自分で飛ばなきゃいけない」その台詞から再び場面が変り、えなさん(宮沢賢治)の心と対面する。そして、周りに居る風がささやく「僕はここに居る」「走れどこまでも一人で」と。

再び風が吹いた後、「しずく」と「かりん」は、花巻に居た。二人ともどうやって来たかわからないが、「かりん」が言う「きっと銀河鉄道に乗ってきたんだよと」
故郷に戻った「かりん」はまた東京に戻ろうとする「もう、ここは故郷じゃないから」そして、だんだんと朝になって行き、風が吹き始め、岡村孝子さんの「ミストラル」が流れると、再び風たちが話し始める  宮沢賢治と花巻の風景を。 そして、話はここで終わる。それはまるで、最初の風と踊りにつながっていくかのように・・・・・・・・・・

あらすじでの感想は、こうだが、全体的な感想としては、この不思議な空間はなんだと思った。話が飛ぶところもあるし、とにかく動きが激しのに、それぞれが美しい。
たぶんそれは、所々で出てくる、宮沢賢治本人がそれを和らげているのだろうと思った。
なんだろう、シアターキューブリックの舞台劇は、僕の心をわしづかみにさせる作品多い。
全員が幸せになっているわけでは無い、でも、その不幸さを感じさせないのが不思議な空間である。


 これは僕が感じたことだから、妄想の域だが、もしかしたら、この作品は、岡村孝子さんの「ミストラル」の終わりが先に出来て、そこに向かって物語が作られた気がした。だから、スタート時のミストラルの曲の踊りで、自然とこれが風とわかり、そして、考え方によっては、エンドレスで物語が進んでいくようにも思えてきた。

私がこの劇を見たのは5月28日の昼と夜の2本続けてと、またどうしても見たくなって、6月1日の千穐楽の3本。途中で涙を流すことも多く、これだけ見ても、まだ、探しきれてていない部分は多いと思う。その後配信も見たが、そこで新たな発見もある。
で、恥ずかしながら、千穐楽をみたあとまで、あることがもやっと残った「葡萄酒いろのミストラル」ミストラルは偏西風 つまり、あの物語を駆け抜けた風。では葡萄酒は? それが、なぜかわからなかった。でも、数日経って、ふと自分の頭の中にその答えが舞い込んできた。 何度か迎えた、朝と夕方。 黒い空から、だんだんと赤色に染まり、その赤が薄まると、白色の朝を迎える、そして、風が吹いて、背中を押していく。そして、だんだんと赤色に染まり、再び夜になる。その空の移り変わりは、 赤からだんだんロゼにかわり、白になる。 そして、白からロゼになり、そして、赤になって、夜になる。再び赤からロゼに変り、白になり、風が後ろから押していく。 

そうか、日常なにげに僕たちは冒険をしている、その日常こそが、葡萄酒いろのミストラル だと言うことを。


【俳優別感想】

●かりん役/高橋茉琴

 元気な犬の姿がぴったり合う。それでいて、ユウキと別れるシーンなどに象徴されるように、叫ぶシーン、泣くシーン、などの感情がしっかりしていて、感情が伝わってくる。見事に「かりん」の役を演じきっている感じがしました。


●しずく役/星宏美

 この劇の主役は?と聴かれると、普通は「かりん」と答えるだろうが、私は「しずく」であった。ハキハキと地名や解説をする風景、小悪魔名部分、そして、山形に着いて、雪がまとわりついて、弱っていくシーン、全てが美しく見える。そして、かりんを常に支えながら、ときには、宮沢トシになり、ときには風になり、ときには燕になる。全部がマッチして美しく、流れていく姿にそう感じました。

●ユウキ役/太田朱香

見事に男の子の役を演じきっている。
最初見た時、一瞬子役?と思ってしまったほどだ、声といい、動きといい、男の子であった


●オリオン役/鈴木研

前回、鈴木さんの劇を見たのは、幸せな孤独な薔薇 でした、そのときは孫の役、今回は、そのイメージとは逆にちょっとワルな感じの役。
ちょっとした不良っぽいんだが、実はみんなを思いながら過ごしているオリオン、みんなに好かれた感じがよかったです。


●所長役/井俣太良
あの渋い声、見事に犬の事務所の所長と尾花沢の老木のやくにぴったりな声で素敵だった。

●文明犬役/榎本悟
機械的であって、どこか生臭い、そのバランスがすごくよく出ていたと思います。


●帝都運送役/千田剛士

千田さんの演技って、見れば見るほど味が出てくる、今回も、馬の役でありながら、その働いて疲れている様子などがすごく伝わってくる。
そして、なぜか、前回の幸せで孤独な薔薇の時は、気がついたら千田さん扱で予約していたし、今回は、千田さんの同じ写真を買ってしまったりと。おれ、千田さんのファンなのかなぁ。


●贅沢猫役/品川ともみ

ともみさんの演技は、十二階のカムパネルラ 以来2回目。
今回もちょっと悪役なんだが、実は、寂しがり屋でいい人と言うのが、今回もうまく出ている感じでした。あと、あの飼い主の行動で嫌がる部分も、すごく良い感じでした。


●犬博士役/奥山静香
なんだろう、奥山さんの性格にぴったりというか、全く違和感が無いというか。
ただ、動きがはげしい分、ちょっと心配になってしまったが、はまり役だと思いました。


●水沢役/七味まゆ味

贅沢猫の飼い主だが、アドリブが多い感じもあるが、そのアドリブがとにかくうまい。
土曜日の夜の回に、○越デパートで特注で作ったと言う、猫の翻訳機が、本番中に壊れるというところがあったんだが、次に出るシーンで「さすが○越、もうなおったわ」と言うアドリブ、会場もなごみ、さすがと感じました。


●ミツエ役/冨田恭子
ユウキのお母さん。
昭和初期の母親像が見事に現れている樋感じでした。


●バルコック/片山耀将
 悪役なんだが、なんだろう、あの声質というか、それが、怖さを完全に残しているはずなのに、舞台空間では、そこまで怖いと言う印象にならないなんとも不思議な感覚の声が片山さんの素敵なところだと今回感じました。
片山さんの動きはとにかく細かく、片山さんが演じる駅員さんの上を列車が通ると言うシーンがあるんだが、その表現がとにかくうまいのである。


●賢治/野原のぼ
所々で出てくる宮沢賢治。
その動きは、他の空間とは別で、ゆっくりでまさに賢治という感じであった。
気取りすぎず、でも、賢治らしいあの立ち振る舞いは最高です。


●作・演出 緑川憲仁
緑川さんの舞台劇を最初に見たのは十二階のカムパネルラ。そのときは、こんなに泣けていい劇を作るなんて、素敵で、天使みたいに感じたが、だんだんと作品を見るにつれ、私の心をわしづかみにして、泣かせて、そして、幸せな部分に変えていく、その感情を作品にして居る緑川さんって、もしかして、俺にとっては天使を超えて悪魔(褒め言葉)とも思えてしまう。
それだけ、緑川さんの演出は、素敵で、不思議な空間を作ってくれる。

今回の葡萄酒色のミストラルは、かなり前の作品。十二階のカムパネルラよりもっと前の作品。だけれどそこには、同じような空気が流れていた。


●メインテーマ/岡村孝子「ミストラル」
この劇は、たぶん、この曲が無いと成立しないと思えるほど。
1曲まるまる使う部分は無い、だが、最初と最後に流れるこの曲がないと、全てのバランスが崩れてしまうと思うほど、この曲は重大だとおもう。



【余談】
じつは、この劇は、数年前に一回だけ映像で見居ていたが、生で見るのは初めてだった。で、映像で見て居たとは、それなりのストーリーは覚えて居たが、細かい部分は覚えて居ない。
この公演を見る日。直前に私は神田明神に行き、そして、御茶ノ水駅に向かうため、聖橋を渡って、そこからの風景を数分眺めた。
葡萄酒いろのミストラルでは、聖橋が出てくが、そのときは、聖橋が出てくることは忘れていた。だが、ちゃんと聖橋の欄干から、風景を見ている。これは偶然だったのかなぁ。

 

 まぁ、世の中にはなぜか毎回同じタイミングで出会うと言うことが起きる。 今回見に行った劇のきっかけも、前回この劇場に来たときと同じ状態だった。



 役者の中村舞さんの生配信にお邪魔したとき、「今東京で舞台をやっているよ」で、日程を見てみると、あ、行ける日が・・・・翌日しかなかった。一旦返事は保留にして、結果的に見に行くことにして、中村さんに予約をして、金曜日の午後に、家を出て会場に向かう。途中銀座に寄り道をして、領国に着いたのは開演の25分前。トイレなどを済ませ、駅近くの「両国Air Studio」に向かう。

今回観劇したのは、劇団空間演人「飯田家の最期」



 この劇は、飯田家の父親が他界したことから、長男の「正樹」 次男でオタクの「剛」 そして、末っ子の「明美」の3人で、舞台が進むなら、普通の家だが、そこに弁護士が連れてきたのは、父親の隠し子「岡本ゆうな」だった。さらに、末っ子「明美」の駄目男も同席して、話し合いが行われる。
 話は「常夜鍋」というシンプルだが、長くゆっくり食べられると言うナベを囲みながら、色々と進んでいく。 途中で、弁護士は酔い潰れるは、オタクの次男は妄想するわ、そして、明美の駄目男は、結局金目当てだとわかり、色々進んでいくが、荒れたとき、一旦落ち着かせたり、最終的にまとめるのは「常夜鍋」の存在であった。

そういえば、昔は家族で鍋ってよく囲んだなぁ、と思い出させる部分でもあった。

途中で、弁護士が ゆうなに訳のわからない買い物をさせる。そして、あるシーンでゆうなは、影から様子を見るシーンがあるが、そのときには、なぜそこに居るかがわからず、だが、最終的には、終わるはずの常夜鍋のお肉を買ってくる。そして、弁護士は正解と言う。

 これは私の私感だが、この飯田家の舞台の主役は、常夜鍋なのかもしれない。
今は離ればなれで暮らしている兄弟が、あつまり、そして、隠し子であった「ゆうな」も鍋も囲み、家族になる。

さいごは、後日、 長男「正樹」夫婦が「ゆうな」と話し、 正樹が妹の明美と電話をして話が終わる。オタクの次男をゆうなに家に入れるな と言う台詞があるが、ちょっとだけかわいそうだが、今までの流れを見れば、わかる気がしたのも確か。全てが丸く収まっていない部分が残しているところも、この劇の魅力なのかもしれない。

 60分の短めの劇だったが、内容は濃く、舞台セットもそうだが、全体が懐かしい昭和の家族という感じを思い出して素敵な劇でした。



終了後、両国から、きっぷの関係で御茶ノ水乗り換え、千代田線経由で帰るが、ふと改札横に面白いものが。

この劇を見ながら、ゆっくりと余韻に浸りながら、町田までゆっくり電車で過ごしていました。