人気作家チヨダ・コーキの文学は、現実逃避の文学。現実と虚構がごっちゃになり、若い世代に絶大な影響を与える。しかし、人は大人になり、現実を受けとめるにつれて、コーキから離れていく──。
それでも、チヨダ・コーキは言います。
「大人になるのを支える文学。……それで構わないんです」
「その時期を抜ければ、それに頼らないでも自分自身の恋や、家族や、人生の楽しみが見つかって生きていける。それまでの繋ぎの、現実逃避の文学だと言われても、それで構いません。自分の仕事に誇りを持っています。だから逃げません」
(辻村深月、『スロウハイツの神様(下)』より)
私たちは、子どものころに読んだ全ての本を覚えているわけではありません。でも、私たちは、自分が読んできた、忘れ去られた本に支えられ、その本によってつくられている。そう思います。
この本の解説で、西尾維新さんも力強く言っています。
断言してもいい。人間は触れてきた作品通りの人間になる。
![]() |
スロウハイツの神様 下/辻村深月【1000円以上送料無料】
803円
楽天 |