『まなの本棚』の中で、芦田愛菜ちゃんが辻村深月さんの大ファンだと言っていました。触発されて、辻村深月さんの『スロウハイツの神様』を読んでみました。
この本に登場する“赤羽環”は、人気若手脚本家として活躍し、誰に対しても強気に振る舞います。愛菜ちゃんは、彼女を「好きな登場人物」の一人として取り上げていました。
…母親への思いや、つらかった過去など、触れてほしくない部分があるからこそ、自分を装うことで、心をガードしている。そんなモロくて繊細な部分を持ちながらも、強く生きていこうとする環さんは、とても人間らしくそれも魅力的に感じます。
(芦田愛菜、『まなの本棚』より)
環の魅力は、どんなところにあるのか。
例えば、環は、人に「なぜ、小説やアニメ、漫画ではなく、脚本を書くのか」と聞かれ、こう答えます。
「私、絵も小説も書けないの。セリフとセリフの間にまだるっこしい感情を自分で書き込むなんて、絶対無理。ストーリー単体でいいの。泣きながら、とか笑いながら、とか書けば、後は役者なり絵コンテなりが処理してくれるでしょう? 人間の感情なんて、あとは観る側が勝手に解釈すればいい」
(辻村深月、『スロウハイツの神様』より)
一見乱暴なようなこの環の言葉。でも奥底には、環が人の思いを大切にする気持ちが隠れているように感じます。
「自分の思いを人に押しつけることなんてできない」
「相手には相手の解釈があっていい」
だから、振る舞いは素っ気なくて個人主義のようですが、やっぱり環は魅力的なのです。
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スロウハイツの神様(上) (講談社文庫) [ 辻村 深月 ]
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