ここでは
個人心理学(アドラー心理学)における
家族の構成や誕生順位による
子の傾向について説明していきます。


< 目次 >
・第一子
・中間子
・末子
・単独子
・男ばかり、女ばかりの家庭
・上が男の子、下が女の子

■第一子

第一子はきょうだいの中で
唯一、完全に親を独占した経験
持つ子です。

親にとっては初めての子であり、
その権力は絶大で
親を支配してその恩恵を享受します。

しかし、
次の子が生まれると
その絶大な権力の座から
外されてしまいます。


アルフレッド・アドラーはこれを
「玉座から退位させられる」
と表現しています。

常に注目の中心にいたのに
その注目の中心の座を
次の子に取られてしまうわけです。

第一子は、
親を完全に独占していた分、
第二子以降の子が
退位させられたときよりも
大きなショックを受けます。

第一子は
退位させられた後も
その玉座は自分のものだ、と信じて
取り戻す行動をとろうとします。

赤ちゃん返りをしたり
問題行動を起こしたりして
注目の中心を取り戻そうとします。

親のかかわり方次第ですが、
そこで適切に第一子にかかわらないと
第一子は人生に有用でない面へと
進むことになります。

その典型としては
他のきょうだいとの競争で
勝利することが人生の目標と
なること
です。

これは状況によっては
第二子以降の子も
人生の目標をそのように
設定することもあります。

一方で、
第一子が玉座から
退位させられたと感じない場合

あります。

それは、
次の子が10歳とか20歳とか
第一子ととても年齢が
離れている場合や、
別々に暮らす場合などに起こります。

例えば、
第一子が幼くして
生みの親から育ての親に渡されて
育ての親と自分だけで生活する場合です。

また、第一子は唯一、
自分の上にきょうだいがいない子です。

そのため、
マイペースで保守的な性格に
なりやすい傾向があります。

■中間子(ちゅうかんし)

中間子とは
上と下にきょうだいがいる子です。

上と下にきょうだいがいるので
親の注目の中心に置かれる時間が
最も短い子
です。

中間子は生まれたときは
家庭の注目の中心に置かれますが、
次の子が生まれると
第一子と同様に玉座から
強制的に退位させられます。

第一子のように完全に親を
独占していたわけではないので
第一子よりショックは少ないとはいえ
その玉座を取り戻そうとはします。

そこでの親のかかわり方次第ですが、
適切にできない場合には
人生に有用でない面へと
進むことになります。

問題行動によって
注目の中心を取り戻そうとしたり、
他のきょうだいとの競争で
勝利することが人生の目標に
なったりすることもあります。

ただ、
「人生の先輩」としての
上の子がいるので、
上の子と自分とを
比較する傾向があります。

中間子は
「人生の先輩」を
生きるペースメーカーとして
追随しますが、
いつかは追い抜きたいと思います。

そのため、
革新的な発想をよくします。

■末子(まっし)

末子は、すえっ子のことです。

末子は唯一、
下にきょうだいがいない子です。

そのためアドラー
「永遠の赤ん坊」と表現しています。

上の子がいるので
完全ではないにしても
注目の中心に置かれ続けます。

つまり、
玉座から退位させられることが
ないのです。


そのため
甘やかされて育ちやすい子です。

甘やかされる、とは、
自分の課題を他者が進んで
肩代わりしてくれる状況です。

末子はただ
「困った顔」や
「悲しい雰囲気」

つくるだけで、あとの面倒なことは
親や他のきょうだいが片付けてくれる
といった状況になりやすいわけです。

そんな有利な状況のために
力を消耗することがなく
常に力に満ち満ちています。

その力で
他のきょうだいを打ち負かそうと
することもあります。

しかし、
はやり年上には同じ土俵では
勝ちにくいために、
違う土俵を選びたくなる傾向
あります。

アドラーは、
科学者の家庭であれば
音楽家か商人になろうとし、
商人の家庭であれば詩人に
なるかもしれない
、と
指摘しています。

この傾向が末子の
「自分は他の子と
違っていなければならない」

との信念を深めることになります。

ただこれは、
同じ土俵での競争を避ける、
という意味で勇気の欠如
表しています。

それが「臆病」となると、
自分の課題を他者に肩代わり
させようとするときの武器として
その「臆病」を使うことも考えられます。

一方で、
末子はすぐ上の子と
年齢がとても離れている場合には
第一子と同じように
親を完全に独占する経験を
することもあります。

また、
親のかかわり方次第ですが、
末子であっても、
人生に有用でない面へと進んだ場合に
他のきょうだいとの競争に
勝利することを人生の目標と
掲げてしまうこともあります。

■単独子(たんどくし)

単独子とは、一人っ子のことです。

一人っ子は
自分の上にも下にも
きょうだいがいないため
常に注目の中心にいることができます。

生まれてから注目の中心の座に据えられ、
そこから強制的に
退位させられることもない子です。

そのため甘やかされて育ちやすく、
家庭以外の場であっても
常に自分が注目の中心にいるべきだ、と
信じやすい傾向
があります。

家庭以外の場では
なかなかそれがうまくいかないので
いつしか
「どこでも自分が注目の中心にいること」
が人生の目標になりがちです。

■男ばかり、女ばかりの家庭

男ばかりの家庭の中に
女は自分ひとり
、という状況。

この状況では
その女の子は困難な状況にいます。

こんな状況においてアドラーは
とても物静かで女性らしく成長するか、
反対に、
男性に憧れて
男の子にように振舞って、
男の子のように成長したいと思う、
と指摘しています。

男ばかりの家庭では
何かと「男性優位」な状況です。

その中での
「唯一の女」という事実が
その女の子に劣等感を与えるのです。

その劣等感の補償の方法を
「自分は女である」という方面と、
「自分も男だと思われたい」
という方面との、
どちらかを選ぶことになる
、というわけです。

これは反対の状況である
女ばかりの家庭の中に
男は自分ひとり、という状況
でも
同じことが言えます。

■上が男の子、下が女の子

第一子が男の子で、
第二子が女の子の状況。

アドラーは、この2人には
絶えず激しい競争がある
、と
指摘しています。

第二子である女の子は
第二子というだけでなく
女であるという理由でも
前へと駆り立てられます。

女の子は自分を訓練して
兄を追い上げていきます。

幼い頃は男性より女性の方が
発達が早いので、兄は妹に
圧倒されることになります。

妹は力に満ち満ちており、
兄を追い上げるという目標のためか
自立的です。

追い上げられる兄は
どうすることもできずに
妹との競争で勝利することを
諦めてしまいます。

他者と競争を続けるだけの
力を持ち合わせていない
、と
感じてしまうのです。

結果、逃げ道を探すこととなり、
芸術の方へと進むこともあります。

その後、
人生の有用でない面へと進むと
神経症や犯罪、精神病と
かかわることになります。

そのためアドラー
(親は)男の子と女の子の間の
競争を減らすように導き、
誰しも努力することで
よりよく発達できると示すことで、
適切に導くことができる

としています。





お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ10年目、常楽でした。




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