(再録)思わせぶりな謎で引っ張る・⑤(終)(加筆修正) | せいぜいひまつぶしの小話

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5年目から創作系ブログとして新装開店しました。
色々と思うところ書いてます。講談社への抗議不買は一生続けます。
2022年12月からは小学館もリストに加わりました。
「人を選ぶ」とはつまり「自分は選ばれた」ということです。

思わせぶりな謎で引っ張る

①、 ②、 ③、 ④、 

 

思わせぶりに『謎』を引っ張って客引きに利用するのは、借金をするようなものです。
法的な義務なんかありませんがそれ以前の道義的責任として、借りた分はキッチリと
『答え』を返さなきゃなりません。

『答え』にもなっていない手がかり程度のあいまいな情報だけ垂れ流してお茶を濁したり、
次から次へと新たな『謎』をバラ撒いたりするのは多重債務に陥ってるのと変わりません。
もっと言えば債権者からの督促に対し「そのうち」とか「後でまとめて」なんて
若干キレ気味に反論してくるようなヤツに限って返さないのも、
それらの反論が債務者自身の口からではなく、コンテンツに群がる信者と養分どもの
便器に向かったケツの穴みてーな口から吐き出されるという多少の違いはありますが、
それ以外の要素は借金とまったく同じです。

この理屈でいけばエヴァンゲリオンみたくテレビシリーズでまとめきれなかったどころか
年単位でほったらかしにしながらときどき思い出したよーにナンかやって誤魔化してるのは、
さしずめ“不良債権”といったところでしょうか。中学生ぐらいの頃にテレビで見た
何かのドキュメント番組で、バブルの崩壊でアホみたいな額の借金をこさえた婆さんが
毎月千円ずつ返してるエピソードが取り上げられてましたが、元本の返済だけでも
余裕で万年単位もかかる上に利子すら払えていない
という、完全な不良債権化を

回避するためだけの無意味な行動を含めたこれらの状況に、非常に酷似しています。

昔やってたサラ金のCMでは最後に必ず「ご利用は計画的に」なんて言われてましたが
まさにその通りでして、借り入れ前の段階から計画と準備をキチンと整え、
それを少なからず実行に移してようやく返済の目途が立つのが借金というものです。

思わせぶりに引っ張ってきた『謎』は中盤終わりくらいまでに『答え』を出しておかないと
必ず破綻するというのは今も変わらない意見ですが、それ以外では“借金のように考える”
というのも、せめて損をしないための有効な手段だと考えています。
借り入れの大小を常に意識していれば仮に踏み倒されたとしても、そこまで

ついてきた読者視聴者はもちろん作品そのものに与えるダメージの予想も立てやすくなりますし、
予想出来る痛みに対して人間は意外と強いものです。

たとえば『ゴルゴ13』が引っ張ってきた謎はせいぜい“デューク東郷の正体”くらいで、
これなら最終回1話か、長くても単行本1巻分くらいあれば十分回収可能だろうと予想が
立てられます。しかも基本は1話完結ですから前後のつながりは皆無に等しく、途中の話は
見ても見なくても大丈夫となれば安心して見ていられます。

“借金のように考えて”みれば、返済のアテを複数用意しておくのは破綻を防ぐために
有効な手段です。物語制作に置き換えれば“どうとでも取れるように”してるのが
割と最近の特撮でよく見かける展開だったりします。やはり生身の人間が演じる以上は
ある日突然失踪するかもしれないし、去年はコロナウイルスの感染者が出たばかリで、
重症化することなく無事に復帰出来たことは本当に良かったと思っていますが、途中で
何が起こるか分からない状況で展開をガチガチに決めてしまうのはやはり危険なことです。

どの方向にでも転ぶ可能性があって、最終的にどうなるかは現場の判断と決断次第、
ということになれば外野に出来ることはせいぜい自分にとってやってほしくない展開に
ならないことを祈りながら見守るだけで、思わせぶりな『謎』に喰いつく連中が必ずやる
深読み(笑)の垂れ流しとマウンティングはこの場合、何の意味もありません。

『ウルトラマンガイア』では、地球と人類を破滅させるべく怪獣を送り込んだりして
毎度毎度ちょっかい出してくる“根源的破滅招来体”なる者の正体が明かされないまま、
最大最強の強敵と侵攻作戦を撃退してテレビシリーズの幕は下りました。
いわば借金を踏み倒された形となりましたが、少なくとも自分はそれで納得しているし、
ただそれだけを機械的に当てはめて良し悪しを断じるのは、上辺だけでしか物事を
見れない愚か者のすることです。おそらくそういう人種はケーキを三等分に切り分けるのも
怪しい
と思うので、コグニティブトレーニングの受講を推奨します。

エヴァと違って根源的破滅ナンたらについて思わせぶりに謎やら手がかりやらそんなモンを
バラ撒いてきたわけでもなし、主人公も別にウジウジしてないし、シリーズ伝統の防衛隊的
存在であるところのXIG(シグ)は、どこぞのネルフなんかと違って腹に一物抱えてるような
胡散臭い組織でもなければ、
ワケも分からないまま戦いに駆り出された少年に物心両面での
適切な支援もしないまま現場に送り込みながら、ただ指組みしてダンマリ決め込んだまま
グラサン光らせるだけの能無しの毒親が司令官やってるわけでもなく、
ついでに言えば
周りの大人はちゃんと大人してるから安心して見ていられます。

反物質に極端子(モノポール)、当時日本で初めて観測に成功したニュートリノといった、
その頃の最新のSFガジェットを盛り込みながら、邪悪な願いに立ち向かう人間の底力と
熱いドラマは、自分にとって踏み倒された以上のものを見せてくれたと思ってますので、
平成3部作の中で一番好きな作品だと、今でもそう言い切れます。

ワケのわかんねー敵になんかウジウジしてる登場人物といったエヴァ以降の悪い影響を
受けてるのはどちらかというと次にやった『ウルトラマンネクサス』の方でしたが、
めでたく打ち切りを喰らって以降のシリーズには

作風が継承されなかったので、それも含めて納得しています。

思わせぶりな『謎』で引っ張るのが客引きに効果的なのはエヴァで証明された通りですが、
“それだけで”釣れるのは分かる俺かっけーしたがる下品なオタクだけです。
最初の頃はそれこそ雨後の筍みたいに色々と出て来たモンですが、ただ“それだけで”
やってると物語が破綻する上に大半の客は下品な腐れオタクどもと違って分かる俺かっけー
したがるゲテモノ食いの趣味なんかありませんから、以降は様々な試行錯誤と取捨選択を
繰り返しながら研鑚が重ねられてきました。あれから20年以上も経ってます。
既にペテンの集金システムと化した不良債権にカモられ続けるよりもっと他のモノに目を
向けた方がよっぽど建設的だと思いますが、それがイヤならせめて養分としての自覚だけは
持って謙虚に慎ましく振る舞ってほしいものです。というわけでまとめます。

・思わせぶりに『謎』を引っ張れるのは
 中盤の終わりまで。それ以上は破綻する。


・『謎』を引っ張ってバラ撒くのは借金と同じ。
 ご利用は計画的に。

・“考察”よりも前にまず“考えて”みよう。

面白いと思ってる俺かっけー分かる俺かっけーしたがる時期は誰にでもあるものですが、
それで今度はステマの巨人にも釣られてりゃ世話ないです。
分かる俺かっけーしながら結局マーケティングの計算通りの想定内に収まっているんだから、
これほどカッコ悪くて滑稽なものは他にありません。

〈終わり〉

 

↓平成3部作の中で一番好きですよ

↓たぶん認知機能に致命的な問題があると思いますのでひと通り